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軽トラプロレスについてのインタビュー

どうも!軽トラプロレスのオルカ宇藤です。
久々のnoteは企画もの!

先日新宿歌舞伎町の地下闘技場にて開催されたフリーマーケットイベント「地下闘市場」にてライターの鈴木健.txtさんのの「10分間お試しインタビュー」を受けました。

そちらの模様を文章にまとめていただいたので掲載いたします。

軽トラプロレス創始者・オルカ宇藤のライフワーク


リングを買うより全然安いんで
いいオモチャを手に入れました!




際限なく幅が広がるプロレスの表現方法。その中からオルカ宇藤が生み出したのが「軽トラプロレス」なるシロモノだった。トラックの荷台をリングにしてプロレスを見せるという試みが少しずつ浸透し、お祭り等のイベントに呼ばれプロレスの入り口としての役割を果たしている。そんなオル宇に、軽トラプロレスの現状と将来的展望を聞いた。(聞き手・鈴木健.txt)



発案者は自動車販売業を営む実父
プロレスをやっている風景が目的


――今や軽トラプロレスの第一人者として業界でも高名な宇藤選手ですが、普通の発想からは軽トラの荷台をリングにしてプロレスをやるというアイデアは浮かんでこないと思うんですよ。
宇藤 きっかけは、コロナになったあと僕が大日本プロレスを退団して、そのあとに佐久田俊行、植木嵩行両選手もやめて最初のうちは地下にあるバーのような狭いところにマットを敷いてやっていたんです。それを帰省した時、ウチの親父に話したら「軽トラの上でできるんじゃないか?」って、図面を出して言うんです。
――発案者は父上だったと!
宇藤 実家が車屋なんですよ。自動車販売だけでなく修理、保険と幅広く今は個人事業でやっているんですけど。
――お店の名前はなんていうんですか。
宇藤 「アスクコーポレーション」っていうんですけど、店を構えているわけではなくてつながりだけでもう40年以上愛知県内で営業しています。それで親父が見せた図面の軽トラが、最近買ったやつだったらしくて。仕事の一環でけっこう在庫を持つんですけど、自分の仕事でも使えるように買ったものをレンタカーとしても出すなど幅広くやっていたらしいんです。それが畳1畳強ぐらいあったんですね。僕たちがやっていたイベントも畳1畳でデスマッチもやっていたので、それなら軽トラもいけるんじゃないかと。
――とはいえ、たとえ同じぐらいのスペースだとしてもトラックの上となるとマットとは違うわけで。そこは面白そうなことができるという直感が働いたんですか。
宇藤 すぐに浮かんできたわけではないですけど、親に振ってもらったことが頭の中に残っていました。ちょうど高校の同級生から「サウナハットを作って売っているなら、何か面白いことができるだろ?」という感じで「令和の虎」というYouTubeチャンネルを紹介してもらったんです。そこで「融資してもらえたら軽トラも買えるから、軽トラプロレスというものをやるって言ってみるよ」と冗談半分で出たら、思ったよりスムーズに話が進んで融資してもらえて。お金が入っちゃったからにはやらなきゃならんだろうと、まずは軽トラを買って改造することから始めました。
――普通のトラックの荷台をリングに仕立て上げる。
宇藤 リングの構造と近いようなサスペンションと金属、上に板を乗せてマットの大きさを合わせてという作業です。
――それ専用の材料となるものなんてないですよね。
宇藤 ホームセンターで探してあるものは揃えて、リングのフレーム自体は僕が令和の虎に出たのを見た軽トラのカスタムメーカーさんが「よかったらうちのやつを使ってください」って提供してくださったんです。板は完全にDIY用、マットはお子さんが転んでも大丈夫なように家で敷くやつ。さらに軽トラの荷台用の布があるんでそれを敷いて。ロープは自分で作りました。そのカスタムメーカーさんがジャングルジムみたいなものを作っているんです。そこにカスタムでフックをつけて、メーカーさんが出しているゴムバンドをつけて、その周りにクッションポイントをつけてロープっぽい見た目にしました。
――宇藤選手って、昔からそういう手作業が得意だったんですか。
宇藤 そうですね。大日本の時も自分で凶器アイテム作っていたし、同期の菊田一美ももともと職人で一緒に作っていたらよけい器用になりました。自分で裁縫もできるし、塗っては作り塗っては作りで、必要なものは全部自分で買ったり作ったりして揃えました。
――初の軽トラプロレスは?
宇藤 2022年の9月。当時、婚姻関係にあった世羅りさがやっているプロミネンスの新木場大会でその駐車場を借りて第0試合という形でやらせてもらったのが旗揚げ戦です。
――実際にやってみたら想像以上の狭さだったのでは?
宇藤 それは思いましたけど、最初のプレゼンの時点で狭いよねって突っ込まれた時に「8割方場外です」って返したんです。プロレスは場外乱闘もできるんだから、その醍醐味で喜んでもらうことができるだろうとやってみたら、8割じゃなく9割ぐらいの状態でした。もう全然できなかったです。
――大和ヒロシ選手が千葉テレビでやっている番組「千葉プロレス百景」の中でも何度となく拝見させていただいているのですが、ほぼほぼ場外ですよね。
宇藤 なので、基本的にはマットプロレスなんですよ、やっていること自体は。だけどお客さんの目線から一段上がることで、ちょっとだけ一線を置けると言いますか、そういうイメージで。
――ただ、軽トラの上だとやっぱり動きは制限されますよね。
宇藤 ボディースラムさえもできなかったし、リバースすると相手の足が天井にぶつかっちゃって投げられないので、ロックアップが限界ですね。
――やれる技がロックアップのみ! すごく簡単に言うと無理ということじゃないですか。
宇藤 そう、無理です。無理なんだけどやっているんだぞと。マットプロレスにしても、マットが敷かれていることでプロレスの風景になるじゃないですか。要はロープが張られているものがそこにあって、プロレスをやっていることがわかりやすければいいんです。地域のお祭りに呼ばれてやると初めてプロレスを見る人がほとんどなので、本当にシンプルな攻撃の方が反応いいんです。どこが決まっているのかわからないような難しい攻撃をしても伝わりづらい。殴る蹴るが一番喜ぶという。
――ゴライアス・バードイーターとかソル・ナシエンテというような技をお祭りで出しても…。
宇藤 そうなんです。だからせいぜい逆エビ固めやコブラツイストですね。
――それで実際に始めてみたら、ポンポンお話は来たんですか。
宇藤 いや、来なかったですねえ。イメージとしては大道芸ぐらいの規模感でやりたかったんですけど、大道芸人ってもっと身軽で体とトランク一つでどこでもできちゃうじゃないですか。それに対し軽トラ1台分っていうのがネックになってしまって。軽トラの大きさだとホコ天に入れられないとか、軽トラ1台分を置くスペースはないという話になっちゃって。もっと知名度が上がれば、それを見てウチでもやりたいってなるんですけど、まだそのフェーズにはいけていない。
――車であるがゆえのスペースが必要になると。
宇藤 キッチンカーが入れるイベントだったらOKなんですけど。
――そもそも軽トラをそういう場として使用することの法律・規制はあるものなのでしょうか。
宇藤 公道を走りながら試合をするとなるとダメだと思いますけど、私有地の中に置いて受け身とるのは車中泊に近いと思うんで。
――走りながら試合ができたらエキサイティングなんですが。
宇藤 一回あったのは、3試合あって2試合目が終わったあと3試合目は中央のステージでやってほしいと言われて、設営したまま移動してすぐステージでやったことはありましたけど、やりながら動かすのはNGになる。轢いたりするのも面白いんでしょうけど、プロレスを見たことがない人が引いてしまうと思うんで、実際にやったことはまだないです。
――そうなんですか。グレート・ムタが本間朋晃選手を轢いたり、新木場1stRINGでMAO選手が髙木三四郎選手をはね飛ばしたりしたこともありましたけど。
宇藤 うーん、お子さんが多いので、それはちょっと…。
――勝つには一番手っ取りですよ。
宇藤 そこはお子さんにもわびさびをわかってもらいたいですけど、そこまでハードだと家族連れでもあるので。

軽トラプロレス主体のお祭りを
自分で開くのが究極の目標


――今のところ、プロレスラーの皆さんの反応はどんなものですか。
宇藤 会場に軽トラを持っていくこともよくあるんですけど、それを見て趙雲子龍さんや菊タローさんのようなマットプロレス経験者が「これだったらこういうことができそう」ってアイデアを言ってくれますね。菊タローさんもキャンピングカーで全国をまわっているじゃないですか。それと2台並べたらより大きなスペースでできるとか。
――軽トラvsキャンピングカーでただ単に走ってどっちが先に着くかもできます。
宇藤 それは単なるレースでプロレスじゃないですよ!
――宇藤選手以外で一番軽トラプロレスを経験しているプロレスラーとなると誰になるんですか。
宇藤 Stand Upの室田渓人選手ですね。同世代でキャリアも近くて、意気投合して。もともと役者をやっていて、絵も描いている方なので柔軟なんですよね。プロレスはこうでなければいけないみたいなのがほぼなくて、浮かんだことをなんでも話せるみたいな感じです。
――今までやった中で軽トラプロレスならではの面白いシーンやムーブとなるとどんなものがありましたか。
――そういうのとは違うんですけど、北海道でやった時があって大洗から苫小牧まで自分一人でフェリーに乗って、現地で北海道内のレスラーにオファーをかけて現地集合でやるっていうことをやりました。巡業なのに選手を帯同させずできるという。
――団体行動で選手バスに乗って移動する必要がない!
宇藤 あとは、ニール・ダイヤモンドカッターというデスマッチをやる外国人選手がいて、佐久田さんのイベントに出る前になぜか日本に来て一発目の試合が軽トラプロレスだったという。メチャクチャ気合入ってて試合もすごく盛り上がって、何するんだろうと思ったら屋根の上に登って、地面に寝ている僕に向かってボディープレスしたんです。普通のリングよりさらに高いところで、リング+ラダーぐらいの高さから飛んできました。
――でもそれって、軽トラは一切関係ないですよね。
宇藤 ですね。でも、軽トラの上から飛び越えて舞い降りるという絵が描けるじゃないですか。
――なるほど。今の時点で、海外まで知れ渡っているんですか。
宇藤 日本に来るデスマッチファイターにちょいちょい見せたらけっこう喜んでくれます。まず、軽トラというものが日本らしいんですよね。海外ではあまり小さい車って乗らないので、軽トラは庭の中を走るオモチャみたいなイメージなんです。そこで試合するのはクレイジーだって喜んで。
――海外から招へいされたらいきますか。
宇藤 いいですね! まあ、車は現地調達になると思いますけど。
――現地調達だとまたイチからいろいろ作らなければならないですから、日本から輸入しましょうよ。
宇藤 でも、向こうのピックアップトラックの上でやるのも面白そうじゃないですか。日本から車で移動するとしたら船しかないですから、関税がかかったりして大変でしょう。だから一度車をバラバラに解体して、部品輸出としてやるしかないですよね。やるとしたら今の軽トラがボロボロになってもうすぐ廃車だってなったら、アメリカで最後の時間を過ごすために送って…だったらいいと思います。日本との往復だと、えらいことになっちゃうんで、せめて片道分で。
――こうやって一つのジャンルを確立されたわけじゃないですか。ほかの誰もやっていないことですよ。
宇藤 それほどハネていないからパクられていないだけで、もっと頑張ってドッカン!ってきたら誰かにパクッていただけるかなと思います。
――パクッてもらう分にはいいんですか。
宇藤 もちろんいいですよ! やり方教えますもん。
――そこは「俺様に断りもなくやりやがって!」とはならないんですか。
宇藤 やってもらえたら現地にいって2台並べてできるじゃないですか。
――あー、ダブルリングではなくダブル軽トラ。
宇藤 それこそ、地方でプロレス団体をやりたい人はリングを買うより安いですから、まずは軽トラプロレスから始めてお金貯めてリング買うっていうのもありだと思うんですよね。
――この選手を軽トラプロレスに巻き込みたいと思う人はいますか。
宇藤 そこはやっぱり名のある選手に上がってもらえたら。以前、ボブ・サップさんにオファーしてCMを撮りたいと思って、たまたまツテがあったんで聞いてみたんすけど、目ん玉が飛び出る額だったので諦めました。余裕で軽トラもう一台買えちゃうぐらいだったのでこれは無理だと。そこはプロレス業界にとらわれず幅広いところで、たとえば軽トラの荷台を使ってステージ代わりに歌ってもらうとか、そういう方向もいいと思うんです。――ちなみにおいくらですか。
宇藤 基本は選手のギャラ込み3試合で10万円、移動費は遠いと別途になりますけどレンタルだけだったら僕の人足と軽トラだけで2、3万円いただけたらいきます。
――それぐらいで成り立つんですか!
宇藤 そこに試合のオファーもいただいてギャラもいただけたらありがたいですけど。大和選手とかは、それで呼んでいただいています。
――大和選手のおかげで、千葉県内における軽トラプロレスの認知度は高いでしょうね。今までで一番の遠征は先ほど話した北海道ですか。
宇藤 そうです。帯広の方だったので、東京から茨城県の大洗までいって、船で20時間。そこから3、4時間運転して試合をやったらまたフェリーで帰るという。港で花火をやるお祭りで1000人ぐらい集まってメチャクチャ盛り上がりました。
――へえー! 今の時代、1000人規模でプロレスを見てもらえるなんてすごいじゃないですか。サバイバル飛田でさえ不可能です。
宇藤 飛田さんと言えば、少し前に応援DMをいただきました。お会いしたこともないんですけど「頑張れよ。続けろ」と。ありがたいなと思って。
――あのサバイバル飛田が温かい目で見てくれているとは…。
宇藤 佐久田さんが飛田さんのことすごく好きなんですよ。
――これも何かの縁ですから、いつの日か軽トラプロレスにサバイバル飛田を出してください。トイレのスッポンやダウジングの金属棒という斬新な凶器アイテムを、プロレスを知らない皆さんにブチ込めますよ。さて、この軽トラプロレスの究極の目標は?
宇藤 最終的には軽トラ主体のイベントを開きたくて。軽トラプロレスが集客の目玉になるようなイベントで、そこにキッチンカーとか呼んでお祭り自体を僕が作って、キッチンカーの収益等でイベント自体を成り立たせるところまでいきたいです。今は集客の母体になる祭りに相乗りさせてもらっているだけなので、そこが自分主体になったらどこでもできるだろうと。
――オルカ宇藤主催のお祭り。
宇藤 軽トラプロレスが来るっていうだけでお客さんが集まるところまで持っていけたらいいなと。
――なんだか、もはやライフワークのようですね。
宇藤 そうですねー。ゆっくり、長くやれたらと思っていますけど。
――こう言ってはなんですけど、いいオモチャを見つけたなと思います。
宇藤 そうなんです! リングを買うより全然安いんで、それで楽しくて移動もできますし。それとは別に、軽トラを使わないハウスショーを8月末から始めていまして。2ヵ月に一度ぐらいリングを借りて定期開催しようと思っているんですけど、そういったリングの試合をしつつ、興味を持ってくれた方がいたらそのイメージを軽トラプロレスに持っていってもらってイベントを主催してもらうというつながりができたらなと思っているんです。
――わかりました。ところで…一人身の生活は大丈夫なんですか。
宇藤 なんとか、ギリギリで。
――それは何よりでございます。


いかがでしたでしょうか!
実際には脱線したりなどもありましたがそこもうまいことまとめていただいています。
フリーマーケットにて自分の技術をしっかりと販売する(しかも格安で)というプロの姿をまざまざと見ました。

生き方が滲み出るのって最高ですね。

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