W1D4 改造人間-반인공인간
「お前の使命。それは、お前の同胞を海に沈めることだ。お前の同胞、朝鮮人は神国日本を侮辱し、破滅させようとしている。いくらヤマトの民が謝罪しても、お前たちは許すことはない。それどころか寄生し、抗議を行う。そんな美しい我が国にふさわしくない人間をお前の波で一掃し、その地にわれら帝国の力と、慈愛を示す社を建立するのだ」
朝鮮人を殺し、社を立てる。
それを朝鮮人である自分が行う。
その言葉の持つ狂気と、暴力、そして絶望に言葉を失う。
――そんなことがあっていいはず、無い。
ルナはボロボロになった感情をつなぎつつ、ゆっくりと前を向く。
しかし、ボロボロになってまとまりのない気持ちは、言葉を紡ぐことができない。
ただ口元を震わせ、じっとしているほかなかった。
無力感と、悲しみと、怒り。
その感情はルナの心の中でぐるぐる回り、次の言葉が出てこない。
もし神の試練というものがあるのなら、これはあまりにきついものではないか。
ルナはそれを抗議するかのように、「父さん……」と言葉を放つ。
「아버지(父さん!) 이런 짓 무슨 일이야(なんてことするんだよ! )너무하잖아(ひどいじゃないか! ) 어떡해야 돼(どうしたらいいんだ?) 난 무슨 죄를 지었어(僕は何の罪を犯したっていうんだ?) 어쩨서 우리 민족을 배신해 죽여야 하는거야(どうして同胞を裏切って殺さなくちゃいけないんだ?) 이런 몸, 모습.(こんな体、姿) 넌 용서해(お前は許すのか? ) ㅅㅂ(クソ).....」
絶望を訴える言葉。
それすらをも般若の男たちは、まるであざ笑うかのようにじっと見つめる。
その怒りが、心の中に高まっていく。
そしてルナは大きな声で叫ぶと、無我夢中で体を動かす。
手近にいた般若面の人間の首にかじりつき、自身の丸い、刃のような歯で首を噛みちぎる。
ルナを引き離そうとした人間に対し、拳をねじ込む。
人間の身体は相当弱いのか、自身の拳が敵の肉体を貫通し、背中から真っ赤な血液があふれ出る。
ルナを止めるべく、ルナの首を締めようとした男に振り返り、首を絞める。
男の首は赤子の手をひねるかのように柔らかく、すぐに折れてしまう。
その時、心の中で、何かわからない衝動が走る。
ルナは訳も分からず、その衝動に従い、手を伸ばす。
手の先からは、ファンタジー小説の挿絵として出てくるような魔法陣が展開され、水色の強い光を発する。
しかし、そのことを味わう暇なく、ルナは勢いに任せて魔法を発動。
その瞬間、何条ものビームが発生し、周囲を凍結させていく。
人間たちはそれに巻き込まれ、動きを失う。
そしてルナがゆっくりと目を閉じると、人間たちはパリン、という音を立て、粉々に粉砕された。
氷の粒はまるで宝石のように輝き、壊れていく。
ルナはその様子をただじっと、眺めていた。