W4D3 工場浸透作戦-공장침투작전
川崎市内の地下深く。
どこともいえない場所で、一人の男が演説をしていた。
彼は和装で身を包み、そして黒い羽織り物を着ていた。
「これはこれはニッポニアのアマテラスさま……わたくしめがまさかお会いできるとは……」
和服の男は言うと、顔を地面につけて言う。
「顔を上げなさい」
アマテラスは言うと、男に顔を上げさせる。
「私たちの作戦はあなたの協力なしではなり立ちません。この国、そして世界を浄化し、美しくするという私たちの作戦に同調してくださいましたこと、感謝いたします。そしてあなたの会社、芝崎鋼機の内部から徹底的に反日分子をあぶりだし、浄化するという崇高な理念に対し、私たちは協力を惜しまないつもりでいます」
その言葉を聞いた芝崎鋼機の社長、芝崎洋一郎は一瞬顔を上げると、再び「ははっ!」と顔を地面につける。
「私めの企業にそのような崇高な手を下していただけるとは……。私共の崇高な目的である、国家安寧に歯向かう反日どもを抹殺し、純粋なまでに日本を愛するもので構成することは、国家安寧だけでなく、世界の安定のためにも必要なのです」
洋一郎は言うと、顔をゆっくりと上げる。
そこには白無垢に身を包み、目元のみをのぞかせた、神々しい存在が立っている。
彼女は比喩ではなく、本当に光り輝いている。
その姿に、芝崎は一筋の涙を流した。
アマテラスは柔らかい微笑を見せる。
「私は日本を愛するすべての人々とともにいます。反日分子をどれだけ私は嘆いているか。その嘆きがわかるものには、私は力添えを惜しみません」
アマテラスは言うと、芝崎の手を取る。
彼女の手は、まるで真珠のように透き通っていた。
・・
芝崎が去ったのち、アマテラスの前には科学隊長である、石崎が立っていた。
「石崎。あなたはどのように芝崎さまをお救いになるおつもりですか」
アマテラスのやわらかくも、どこか鋭さのある声が響く。
「はい、私共の考えている次なる手段は、タイガー傀儡でございます。彼は日々芝崎社の工場で外国人の男に攻撃されており、その怒りの力は十分。それにIQは百五十、大学時代はボクシング部に所属するなど、基礎的な技術は申し分ありません。万が一我らの敵、アンチニッポニア勢力であるマスクドオルカことオルカ傀儡がやってきたとしても、彼ならば粉砕できるはずです。機能としてはタイガー傀儡は水中での戦闘にも耐えられるよう、機能を整えております。魔法は炎属性ですが、水中でも火炎魔術を使えるようになっております……」
石崎は朗々と説明する。
その様子をアマテラスは優しく穏やかな表情で聞き入る。
そして石崎が話し終わり、アマテラスに「どうですか!」と聞くと、アマテラスは柔和にほほ笑む。
「いいのではないでしょうか。素体の確保、戦闘がうまくいくよう、祝詞を授けましょう。そしてこれより、あなたの計画通り、芝崎社の内部の日本人を簡易改造で戦闘員へと改造しましょう」
アマテラスは言うと、柔和に目を閉じた。
・・
作戦はその日の昼から始まった。
その日食堂に入った女性は、食堂で任されたカレーの鍋に大量のナノマシンを胡椒として混ぜこみ、食事を提供する。
何も知らない芝崎の社員たちはそれを食べていく。
致死率はなく、口にした人間たちの身体・精神能力を上げ、簡易的な魔法まで出来るようにしてしまう、ニッポニア特製のナノマシン。
ナノマシンは社員の体内を次々と、静かに作り替えていく。
彼らは少しずつプログラミングされた通り、外国人やリベラルな思考を持つ人間に対してリンチや、公開処刑をし始める。
その死体は隣接する海に投棄され、内部には一切痕跡を残さない。
日が変わるころにはリベラル派とされる人間はほぼせん滅され、残るは金子などの在日コリアンなど、勝手に反日種族とされた人々である。
その彼らはたった今入り込んだタイガー傀儡とともに処刑していく。
「ヒノモトの美しき民よ! 反日分子をせん滅し、工場施設を我らの手に取り戻そう!」
タイガー傀儡は叫ぶ。
それに合わせ、ほかの工場隊員は腕をつきだし、「工場をわが手に!」と叫ぶ。
タイガー傀儡は国籍透視アイを用いて兵士たちを次々とみていく。
そして一番前に立っていた人間を見た。
「木村憲則!」
タイガー傀儡は叫ぶ。
「貴様はパク・ホンチュクという名だな?」
木村は「い、いえ、私は二年前に帰化しました……!」と反駁するが、タイガー傀儡はじっと木村をにらみつける。
そしてにこりと微笑むと、彼の手に腕を置く。
木村は一瞬何が起こるのか、と恐怖感のあまり目を閉じる。
次の瞬間、木村の身体の足元に魔法陣が展開され、足元から青白い炎なひろがる。
「やめてくれ!」木村は叫ぶ
しかし、青白い炎は木村を包みこみ、そして灰一粒残すことなく燃え尽きてしまった。
「兵士たち、このように在日は自分を日本人だと主張し、この中にまぎれこんでいることもある。だが区別は簡単だ。在日はおまえたちの国籍透視アイで簡単に見破ることができる。お前たち自身が日本を救うのだという意識の元、戦ってほしい!」
タイガー傀儡は言うと、手を突き出す。
兵士たちは再び「工場をわが日本の手に!」と叫び、お互いをにらみ始めた。