W3D6 罪-죄
ルナは変身を解くと、急いで少女のもとに向かう。
少女は足を傷つけられ、すでに立てるような状態ではない。
あまりにいたいのか、眼をとろんととしており、泣く力もなさそうだ。
ルナはそんな彼女を見て、ゆっくりと息を吐く。
「とりあえず警察を呼ぼうか」直也は言う。
「警察なんて呼んだら、僕が捕まっちゃうじゃないか……」ルナは懸念を示し、顔を落とす。
しかし、直也も譲らない。
「警察を呼ばなくちゃ、彼女を救えないよ」
直也は言う。
そしてしばらく考え込み、「よきサマリヤ人のたとえ」のようにでもなるだろうか、と考える。
その後、ルナは「わかった……」とつぶやくと、電話で救急車を呼ぶ。
ルナはゆっくりとその場に座ると、ゆっくりと祈るために手を合わせる。
「神様、僕のせいで傷ついたかのんちゃんを助けてください……。こんな僕を憐れんでください……」
涙を流しながら祈るルナを、直也は悲しく見つめる。
しばらくすると救急隊員が入ってきて、かのんを運んでいく。
直也は「ルナはここにいていいよ」というが、ルナも同伴することにした。
救急車はルナたちを連れ、病院へと運んでいく。
かのんの命は予断を許さず、直也ととにかのんを励ましつつ、祈りをじっとささげる。
こうすることしか自分にできないのが悔しく、じっと祈りをささげる。
そのうちに涙が流れてくる。
「僕は……僕は……!」再び自責の念がわいてくる。
それを直也は励ます。
しかし、何もルナは言うことはできず、ただ涙をこらえることしかできない。
ルナは自分をどうしたらいいのかわからず、さらに涙を流す。
かのんは少しずつ弱ってきているのか、心拍数が落ちてくる。
救急士たちは心臓をマッサージなどする。
「僕の代わりに……改造されてくれたら……」ルナは涙を流す。
一体自分が生きて、彼女が死ぬ理由は何なのだろうか。
その理不尽が分からず、ルナはしくしくと涙を流し、祈る。
それでも何とか生き返ってほしいと祈り、主の祈りをささげる。
しかししばらくするとかのんは目を覚まし、眼をしかめる。
「かのんちゃん……!」ルナは叫ぶ。
かのんは「お姉ちゃん……」というと、にこりと微笑む。
その後すぐ、車は市立病院へと到着した。
・・
しばらくしてルナは警察に呼ばれ、向ヶ丘警察で事情聴取をされた。
ルナはまとまり切らないようなことを話し、自分でもよくわからないと言い続けると、警察官は嫌疑なしとしてルナを解放した。
それが終わったのは翌日の朝であり、ほとんど眠ることなく翌朝を迎え、夕方になっていた。
ルナは新百合ヶ丘に向かう電車の中でぼんやりと考える。
自分の戦いは、人のため。
それは本当に人のためになっているのか。
それを考えようとするが、頭は全く動くことはなかった。