Intentsが切り拓くDeFiの新たなユーザー体験：Devcon SEAでのディスカッションまとめ
執筆者: ハル https://x.com/HaruCoinlove
参考リソース：https://www.youtube.com/watch?v=hId-FQUOpJ0&t=1035s
はじめに
近年、DeFi（分散型金融）は多種多様なサービスやプロトコルが登場し、革新的な金融体験をもたらしています。しかし、実際に利用しようとすると、「ガス代の調整」「流動性の比較」「スリッページ（価格変動幅）の設定」など、多くのテクニカルな手順や煩雑な操作が必要でした。これらは初心者はもちろん、経験者にとっても依然としてハードルが高く、DeFi普及の大きな課題となっています。
こうした中、「Intents（インテント）」という新たなアプローチが注目を集めています。2024年に開催されたDevcon SEAのパネルディスカッションでは、Orbsを含む複数のトッププロトコル（Mimic、Lifi、Paraswapなど）のメンバーが、IntentsがもたらすDeFiユーザー体験の変革について議論しました。本記事では、その概要とOrbsが目指す方向性を、できるだけわかりやすくまとめます。
Intentsとは何か？
「Intents」とは、ユーザーが「何をしたいか」という意図（たとえば「トークンAをトークンBに交換したい」や「ある条件で自動的に売買したい」）だけを示せば、バックエンドが最適な実行手段を見つけ出し、取引を成立させる仕組みを指します。これにより、ガス代設定やチェーン選択、複雑な価格比較はすべて裏側で自動的に処理され、ユーザーはシンプルな操作だけで望む金融アクションを実行できるようになります。
Intentsがもたらすメリット
操作性の大幅改善:
インテントを用いることで、ユーザーは従来の複雑な操作工程を経ずに、ワンクリックやシンプルなサインのみで取引可能になります。ガスレス取引や価格最適化:
ユーザーがガス代を用意したり、複数のDEXを行き来して最良価格を探す必要がありません。バックエンドのソルバー（実行エンジン）やアグリゲーターがその役割を引き受け、最適なルートで瞬時に取引を成立させます。新規ユーザーの参入障壁低下:
「インテント」の概念は、あらゆる操作を「意図の提示」へと抽象化します。これにより、Web3初心者でもWeb2アプリ同様の直感的な体験が可能となり、さらなる利用者拡大を促します。
競争と透明性への配慮
Intentsが発展するには、裏側で動く「ソルバー」（価格決定や流動性提供を行う仕組み）の健全な競争環境が不可欠です。
複数のソルバーが存在することで、公正な価格設定が可能になります。
ブロックチェーン特有の透明性と公開データにより、価格談合や不正行為は発覚しやすくなり、利用者保護につながります。
将来への展望：クロスチェーンやAIの統合
登壇者たちは、インテントを介して複数チェーン間をスムーズに移動できる「クロスチェーン取引」や、AIを活用した自動戦略実行（DCAやパーペチュアル取引）など、さらなる応用の可能性を示唆しました。
クロスチェーン: 各チェーンでのガス準備や複雑なブリッジ操作を意図一つで完了し、ユーザーはチェーンを意識せずに最適なルートで資産移動が可能になります。
AIとの連携: AIエージェントがユーザーの投資目的やマーケット状況を考慮し、最適なトレードプランを策定・実行することで、より高度な自動化が期待できます。
Orbsが目指す未来
Orbsでは既に「Liquidity Hub」を通じて、DEXにおけるインテント活用を実現しはじめています。
ユーザーは特定のトークンを交換したいという意図のみ示せば、最適な取引ルートと価格が提示され、ガスなしで実行できます。
今後はオンチェーン・パーペチュアル取引領域への拡大を視野に入れ、「インテント」によってCEX（中央集権取引所）的な快適性とDeFi固有の透明性・安全性を両立させることを目指します。
まとめ:
Intentsは、DeFiが抱える操作性の課題を根本から解決し、初心者でも気軽にWeb3金融サービスを使えるようにする重要な概念です。Orbsはこのトレンドの先頭に立ち、ユーザー体験の向上や新たなマーケット拡大を目指しています。今後、Intentsを軸としたエコシステムはさらなる成熟と多様化を遂げ、DeFiがより多くの人々に開かれた存在となるでしょう。
Orbsの革新的なL3技術についての詳細は公式サイトをご覧ください。
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