半導体について 〜設計から製造までのプロセス〜 ⑦アッセンブリ・パッケージング編
どうも、おらうです!
今回は半導体 アッセンブリ・パッケージングについてまとめました。
*本記事は全て無料でお読みいただけますので、ご安心ください☺️
本作はシリーズ物となり、以下は前回分となります。
半導体への理解が進むかと思いますので、こちらもご活用ください😄
①アッセンブリ(組み立て)
概要
半導体の製造工程において、「アッセンブリ」はウェハーから作られた個々のチップを実際に使える形にするための一連のプロセスです。
この工程では、チップの切り分けを行い、チップがパッケージングされ、外部との接続が可能になるよう準備されます。
アッセンブリは物理的な組み立てが中心となるため、主にチップの固定と初期的な接続が行われる工程となります。
重要性
良質なアッセンブリプロセスは、製品の耐久性と効率を向上させ、故障率を低減します。
特に、先進的な半導体では、より複雑で精密なアッセンブリ技術が求められています。
加工手順
①ウェハーダイシング
ウェハーテストが終わると、ウェハーは個々のチップに分割されます。
精密な切断技術が必要で、チップの品質を保持しながら効率的に行う必要があります。
また、ダイヤモンド製の刃を使用したソーやレーザーカッターで行われます。
②ダイアタッチメント
ダイシングで個別にされたチップは、パッケージの基板やリードフレームに固定される。
これは通常、エポキシ樹脂や金属のボンディング材を使用して行われます。
この工程で、チップは物理的にも保護され、熱伝導のための基盤も提供されます。
③ワイヤボンディング
ダイアタッチメント後、チップ上の微細なパッドと外部リードを接続するためにボンディング(接合)を行います。
チップの接点を極細のワイヤーで基板のパッドに接続することで、電気的な接続を行います。
これには、金、アルミニウム、または銅のワイヤーが用いられます。
市場規模
①ダイシング
半導体製造におけるダイシング装置の市場は、2024年から2029年にかけて年平均成長率(CAGR)が約4%で成長する見込みです。
成長の推進力はアジア太平洋地域が中心となっており、特に中国と台湾が市場の主要プレイヤーです。
この成長は、スマートフォンやAI技術の進展に伴う高性能半導体チップの需要増加によって牽引されています。
また、ブレードダイシング技術が市場の大きなシェアを占め、高速かつコスト効率の良いダイシングプロセスの実現が求められています 。
(Mordor Intel)
②アタッチメント
2024年のダイアタッチメント装置市場は約14.5億ドル(約2,175億円)で、2029年には約19.5億ドル(約2,925億円)に成長し、年平均成長率6.09%で拡大する見込みです。
特にアジア太平洋地域が市場成長をリードしており、中国、台湾、韓国での医療機器やスマートシティ関連の電子製品需要が高まっています。これらの国々での電子製品の量産増加が市場を牽引し、MEMSやCMOSイメージセンサーの組み込みに必要なダイアタッチメント装置の需要が増加しています。(Mordor Intel)
③ボンディング
ボンディング市場は2026年までに約10.6億ドル(約1590億円)に成長し、年平均成長率は3.6%の見込みです。
この市場の拡大は、ミニチュア電子コンポーネントの需要増加や3D半導体の組み立て技術の進化が促進因子となっている。
特にアジア太平洋地域が成長の中心で、高い技術進歩と製造能力がこの地域の市場を支えている。
しかし、高い設備投資コストが市場拡大の障壁となる可能性も指摘されています
(MarketsandMarkets / Zion Market Research / Transparency Market Research)
代表企業
①ディスコ(6146)
ディスコは、半導体製造装置の分野で世界をリードする日本の企業です。
特にダイシング装置と研磨装置の製造で有名で、半導体ウェハーのダイシングプロセスにおいて、高精度かつ高効率な装置を提供しています。その革新的な技術と広範な製品ラインで市場における強力な競争力を持っており、半導体業界での高い評価を受けています。
②Palomar Technologies
アメリカに本拠を置く、高精度の自動ワイヤーボンダーおよびダイアタッチメントシステムのリーディングプロバイダーです。
マイクロエレクトロニクスとフォトニクスパッケージング産業向けに、独自の接合技術とプロセス開発サービスを提供しています。
特に高精度の接合要件に対応する装置が強みで、航空宇宙、医療機器、光通信などの高技術産業で広く利用されています。
また、技術革新を重視し、カスタマイズされたパッケージングソリューションを提供することで知られています。
③株式会社新川
ヤマハロボティクスを親会社に持つ日本の半導体製造装置メーカーで、特にワイヤーボンダーとダイボンダーの分野で高いシェアを誇ります。1969年に設立されたこの企業は、高品質かつ高性能なボンディング機器を世界中の半導体製造業者に供給しており、革新的な技術で市場に新しい基準を設けています。
また、顧客の生産効率と製品の信頼性を向上させるソリューションを提供しており、半導体市場でのニーズに応え続けています。
②パッケージング
概要
パッケージングとは、半導体チップを保護し、外部のデバイスや他の電子部品と電気的に接続するために使用されるプロセスです。
このプロセスにより、チップは物理的なダメージや環境からの影響から守られ、また熱管理が可能になるため、性能が安定します。
重要性
①物理的保護:
パッケージングは、半導体チップを物理的衝撃や摩擦から保護します。
チップは非常に繊細で、少しの力でも損傷する可能性があります。
②化学的・環境的保護
チップを湿気、塵、化学薬品から保護し、腐食や損傷を防ぎ、製品の信頼性と寿命が大幅に向上します。
③熱管理: パッケージング材料は熱を効率的に分散させることができ、チップが過熱するのを防ぎます。
これにより、性能が安定し、故障率が低下します。
加工手順
①エンカプシュレーション
ワイヤーボンディングで接続されたチップは、プラスチックやセラミックのカバーで覆われます。
これにより、チップは物理的な損傷や化学的腐食から保護され、また、熱管理も助けられます。
②焼き付け試験
エンカプシュレーション後、チップは高温で一定時間保持されることで、潜在的な初期不良を除去します。
これにより、製品の信頼性が向上します。
③トリミングとフォーミング
最終的な形状に成形するために、リードフレームの余分な部分をカットし、必要に応じて曲げ加工を行います。
④最終検査
全ての工程が完了した後、最終的な電気的特性と物理的品質を検査し、市場での販売に適した品質かどうかを確認します。
市場規模
半導体製造工程のパッケージング市場は、デバイスの小型化と性能向上を目指して、新しい技術が次々と登場しています。
2023年の市場規模は約28.6億(約4,290億円)ドルで、2033年までに約53.7億ドル(約8,055億円)となり、年平均成長率(CAGR)で約6.5%で成長する見込みです。
特に注目される技術には、ファンアウト・ウエハーレベルパッケージング(FOWLP)や3Dパッケージングがあり、これらはモバイルデバイスや高性能コンピューティング(HPC)用途で需要が高まっている。
市場の推進力となるのは、自動車や家電などの産業で、これらの分野では高速で信頼性の高い計算が求められています。
地域別には、アジア太平洋地域が市場をリードし、特に台湾と中国が中心となっています。
これらの市場動向は、技術の進展と共に、さらなる発展が期待される分野です。
(McKinsey & Company / Mordor Intel / FMI Market Insights)
代表企業
①TSMC(TSM)
世界最大の専門ファウンドリであり、先進的な半導体パッケージング技術も提供しています。
特に、積層型ウェーハレベルパッケージング(WLP)やチップ・オン・ウェーハー・オン・サブストレート(CoWoS)などの技術があります。
②Intel(ITNC)
アメリカの大手半導体企業で、自社でのチップ製造だけでなく、半導体パッケージング技術においても革新的なアプローチを採用しています。特に、Foverosという3Dパッケージング技術は、多層ダイのスタッキングを可能にし、性能と電力効率の向上を図っています。
③ASE Technology(ASX)
台湾に本拠を置く世界最大級の半導体パッケージングおよびテストサービスプロバイダーです。
彼らは従来のパッケージング技術だけでなく、最新のファンアウトウェーハーレベルパッケージング(FO-WLP)や2.5D/3Dパッケージングソリューションを提供しています 。
以上となります!
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また次回お会いしましょう☺️
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