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名将カルロへの餞別~最大限の負け惜しみを込めて~

23-24シーズンまでの契約満了を待たず、カルロアンチェロッティはマージーサイドを離れる決断を下した。

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日本時間2021年6/1朝、ゴシップという形でアンチェロッティのレアル・マドリードへの就任が突如囁かれ出した。

その夜、噂はほとんど確証に変わる。各種メディアで契約完了の報が流れ出す。

夜中。正式にリリースされる。

契約期間を残しての退任ではあるが、違約金は発生しない双方合意による契約解除の模様。

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思えばカルロの就任も突然のものだった。

2019年、Evertonは苦しいシーズンを過ごしていた。18-19シーズンに就任したマルコシウバ。初年度こそ、チームづくりに成功したように思えた。しかし2シーズン目を迎えると守備は破綻し攻撃はちぐはぐ。ダービーでの惨敗をきっかけに解任される。それが2019年 12/4。

その後コーチのダンカンファーガソンが暫定監督として現場をつなぎ、12/21、各国で幾多のタイトルを勝ち取ってきた名将カルロアンチェロッティの就任が発表された。

このシーズンはソリッドな4-4-2をベースに守備の改善。ゴードンやブランスウェイトなどの積極起用など次シーズンに向けて大きな期待の膨らむ内容であった。

2020年夏。Evertonが移籍市場における話題を席巻。

愛弟子のハメスロドリゲスやアランなどを獲得し、ヨーロッパへの舞台への殴り込みをも十分に期待させるスカッドを手に入れる。

開幕。カップ戦を含めると怒涛の開幕7連勝。

しかしこの快進撃も長くは続かない。

ここまでメンバーを固定し、個の力で違いを見せ続けたスタイルに綻びが出始める。

ハメスロドリゲスの離脱を皮切りに、攻撃陣は沈黙。他にもアランやディニィ、コールマンも離脱。

最初のうちは戦い方を変えるなど善戦した部分もあった。特に4CBで挑んだ数試合は上場の出来にも見えた。

それでも止まらない怪我人。

気づけばベンチはセカンドチームの選手ばかり。それによるさらなるメンバーの固定。止まらない怪我人。交代しようにもきるカードが無い。

明らかに負のサイクルを迎えていた。

終盤にはおおよその怪我人も復帰し最低限のスカッドに戻るも、勝負所で勝ちきれずシーズン終了。昇格組であったリーズを下回る10位フィニッシュであった。

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ビッグネームの加入、それによる知名度の向上。これはアンチェロッティが就任したからこそ得られた果実であろう。実際私自身もハメスのクオリティの高さに何度も魅了された。

途中就任時には降格権に沈みかけたチームを立て直した。降格してしまえばもともこもなかった。

他にもカルヴァート=ルーウィンの覚醒など、感謝したい部分はたくさんある。Grazie Calro.

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しかし、中途半端に投げ出したと思われても仕方のない退任に思うこともたくさんある。

私は各種メディアで発した発言「許される限りここ(Everton)にいたい」などを責めるつもりはない。プロとして契約期間内にそのような発言をすることは当たり前だ。

けれども短くない契約にクラブとしてのビジョンがあり、就任時もその点については話し合われていたはずだ。

就任時から、トップクラブへの復帰のためのアピールの場として利用されているだろうという指摘も見られた。

クラブに関わる全ての人は彼のこれまでの功績に期待したに違いない。それを簡単に見放すなんてあんまりである。

彼を慕って来てくれた選手はどうするつもりなのか。

彼はただただクラブをかき乱した。

ダービーの歴史的勝利、エミレーツでの勝利など功績はあるも、おそらく今後は『途中で投げ出した監督』というレッテルは剥がれない。

来季こそと期待したファンは多かったがこのざま。怒りは無い。あるのは失望だけである。

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攻撃は個の力に依存し、守備はドン引き跳ね返し。

現代サッカーの考え方とは程遠い、攻守分離型の戦術。メンバーは固定され若手の起用などはほとんど行わず、スカッドの底上げも無し。

チームとしての積み上げも見られず、順位も振るわなかった。

来季の職場では今季よりも求められる結果もスピードも段違いだろう。

過去のマネジメント手法で上手くいかなくなっているということは世界中どの監督を見ても明らかだ。

これまでの個人の力量に多分に頼る戦い方で成績が残せるかは疑問である。

それも天下のレアルマドリードでの仕事となれば杞憂に終わるだろうが。

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