なぜ料理にくだものを合わせると嫌われるのだろう。
週に3回も柿に関する記事を書くということは、かなり柿に意識を奪われています。
特に今年は柿を食べたい欲が強くて呆れるほど。今までは剥いて食べたら満足でしたが、今シーズンは新たにおいしく食べる方法を探ってみたくて、小さな副菜から試しているところです。
過去の試作を再現したり、いつものテキトーでチャレンジした料理もあります。案外楽しいものですね。
先日柿で3品作ってぼんやりした気づきがありました。料理にくだものを合わせるのは嗜好的にどうだろうか。好き嫌いがはっきり分かれるでしょう。
「酢豚にパイナップル」が頭に浮かびます。
主菜と副菜の違いはあれど看過できない部分です。
酢豚はパイナップルの甘酸っぱさ、目を引く黄色、組み合わせの意外性を最大限に活かして甘酢でまとめた一品だと思います。パイナップルは形があるけれど味は甘酸っぱいので、かなり甘酢あんに近いです。ただ加熱で食感の歯切れが弱まるため、嫌う要因の一端になりそうです。
では、柿はどうでしょうか。
柿は酸味と香りがほとんど感じられません。甘味と食感が味に影響します。この特性を活かすには生が一番です。さらに酸味を足してあげると味のバランスが整います。なますに柿が使われる所以ですね。
今回の料理では、焼き柿(限りなく生に近い火入れ)以外は生をカットして混ぜました。推察ですが、加熱したら酢豚のパイナップル化しそうな気が……。
くだものはそのまま食べるのが一番おいしいと思っています。
くだものを使ったスイーツ(デザート)ファンは少なからずいます。ロールケーキやタルト、パフェはくだものが見えるとテンションが上がる方は多いでしょう。大体生を使うから安心して食べられますね(ジャムやコンポートは別)。
くだもの最大の特性であるフレッシュ感(風味、食感、水分)をあえて加熱や乾燥(脱水)で違うものに作り変える。それらが料理にくだものを入れる違和感につながると考えます。
ここはひとつ大胆な発想の転換で、
「生まれ変わったくだもの」と思って食べてみてはいかがでしょうか。
生と比較するからガッカリするのかも。
そもそも違うものなのです。過去は引きずりません!
「ひとすじ」はかっこいいけれど、現状維持はつまらない。おいしい、まずい、失敗を繰り返すと、見えないうま味が加わって俄然おもしろくなる。
秋はチャレンジの季節。
明朝あるものを作る予定です。
お相手は「柿」