三神ザシアンは予見されていたか
こんにちは。トリオン派のウィッチャーです。
この記事を読み始めている方のほとんどは、ポケモンカードに何かしらの形で関わってる方ばかりだと思いますので、三神ザシアンを知らない方はいないのではないでしょうか。
今回は、そんな誰もが知る三神ザシアンというデッキが構築されることは予見されていたのかということについて考察をしていきたいと思います。
考察するにあたって
考察を始める前に、ここで僕が言う三神ザシアンというデッキが「ポケモンカードソード・シールドが発売されてザシアンVと三神が組み合わされて生まれたデッキ」という意味ではなく、その後「反逆クラッシュが発売されてボスの指令が加わった三神ザシアンデッキ」のことを指していることを予め断っておきたいと思います。というのも、三神ザシアンは誕生以降、常に環境のトップに君臨しているデッキではありますが、現在のような強さにまでデッキが成長したのはボスの指令というカードが登場したからだと考えているからです。
この記事では、ボスの指令登場後の三神ザシアンデッキのことを便宜的に「高速三神ザシアン」と呼びたいと思います。なぜ「高速」なのかについてもこの記事の中で触れていければ思います。
なぜ高速なのか
「ポケカにおけるスピードの考察」では、ポケモンカードには2種類のスピードが存在するのではないかということを考察しました。
そのスピードとは「攻撃し始めるまでのスピード」と「ゲームを終わらせるスピード」の2種類になります。
高速三神ザシアンはこの2種類のスピードが他のデッキと比べて抜群に速いのです。それでは、何がどう速いのかを一つずつ見ていきたいと思います。
まずは1つ目のスピード「攻撃し始めるまでの速さ」について見ていきます。「攻撃し始めるまでの速さ」は主にそのポケモンのカードが持っているワザのエネ要求の軽さや、技や特性、トレナーズの組み合わせによってエネ加速手段があるかどうかというのが焦点になります。
三神のワザ アルティメットレイの要求エネルギーは鋼水無の3色、効果として山札から基本エネルギーを場のポケモンにつけることにできる非常に優秀なエネ加速手段です。また、オルタージェネシスGXの要求エネルギーは鋼と水の2色であることから、要求エネルギーの数の重さよりも複数色を要求することでその難易度を高めようという狙いが見受けられます。
しかし、高速三神ザシアンデッキには、トラッシュに送った鋼エネルギーをメタルソーサーでザシアンVに付け、更にエネルギー付け替えで三神に付け替えるという複数色のエネルギーを1ターンでつけるコンボができるよう施されています。また、ザシアンV自体もふとうのつるぎで自身に鋼エネルギーをつける手段を持っているなど、複数の「攻撃し始めるまでの速さ」を上げる手段を三神ザシアンデッキは持ち合わせています
強化された2つ目のスピード
高速三神ザシアンを支えているスピードの一つである「攻撃し始めるまでの速さ」は、それを実現するのに必要なカードが収録された時期を考えると高速三ザシアンが三神ザシアンだった頃から備わっていたスピードになると考えられます。しかし、もう一つの「ゲームを終わらせるスピード」が現在のレベルに達したのは、反逆クラッシュが発売されてボスの指令がデッキに加わってからではないかと考えています。
もともと三神ザシアンというデッキは、三神のオルタージェネシスの追加効果でサイドを1枚多く取れるため、「ゲームを終わらせるスピード」に優れていました。しかし、三神のアルティメットレイの火力はオルタージェネシス込みで180、ザシアンV のブレイブキャリバーの火力は260と強力ではありますが、VMAXポケモンを一撃できぜつさせることのできる火力ではないためVMAXポケモンを倒すのに2ターンを必要としていました。
ところが、ボスの指令が収録されて相手のベンチのポケモンをバトル場に呼び出せるようになったことで状況は一変します。アルティメットレイやブレイブキャリバーで1ターンできぜつさせることが可能なHPの低いデデンネGXやVポケモンを意図的にバトル場に呼び出せるようになったことで、「ゲームを終わらせるスピード」が格段に上昇したと考えられます。1体のポケモンを倒すのに2ターン要していたところが1ターンに短縮されると、相手は後続のポケモンを育てることが間に合いません。しかし、高速三神ザシアン側はアルティメットレイの効果で3つのエネルギーを加速してザシアンVを既に育てているので、相手がもたついている間に裏のデデンネGXをボスの指令で呼び出してゲームを終わらせることができます。
高速三神ザシアンが環境に与えた影響
2つの目スピードを高め、それらを最大限に利用したデッキが構築されたことで、他のデッキはスピード面で高速三神ザシアンに全く追いつくことができなくなってしまいました。これを受けて、爆炎ウォーカー以後に収録されるポケモン達はスピードの速いポケモンが多く収録されるようになり、高速三神ザシアン1強の状態ならなよう環境の調整が施されていきます。
もう少し細かく見ると、高速三神ザシアンデッキは速ければ後攻1ターン目からオルタージェネシスを追加効果ありで撃てるように構築されていますが、基本的には2ターン目でオルタージェネシスが撃たれることが多いと思います。3ターン目でアルティメットレイを撃たれて3枚のサイドを取りながらザシアンVに加速されるとゲームが終わってしまうので、三神がアルティメットレイを撃つ前の2ターン目までに気絶させることが絶対条件になります。三神ザシアンを2ターン目で倒せるよう設計されたカードはまだ少ないので、クラッシュハンマーやエール団のしたっぱのような相手のテンポを遅らせるカードの採用が見受けられるのは、スピードに追いつけないのならば遅らせようという実に合理的な発想だなと思いました。
このような試行錯誤が試みられているものの、環境に使われて優勝報告に上がるデッキはマルヤクデVAMXやムゲンダイナVMAXといった爆炎ウォーカー以後に収録されたカードを主軸としたデッキや、小ズガやピカゼクといったタイプとしてスピードを補助する優秀なカードが存在するデッキばかりであり、反逆クラッシュ以前に収録されたVMAXポケモンのカード達のほとんどが使われていない事が分かります。
これが高速三神ザシアンが与えた最も大きい影響ではないかと思います。
結論 三神ザシアンは予見されていたか
ここまでの考察から考えるに、高速三神ザシアンは「予見されていなかった」、もしくは「これほどまでのデッキパワーになることは予見されていなかった」のどちらかではないかと考えています。
根拠となるのは、高速三神ザシアンの登場以降、それまでに収録されたVMAXポケモンのカードが使われなくなり、爆炎ウォーカー以後に収録されたカードばかりが使われているからです。お金の話になりますが、環境からはじき出されたカードは当然使われないため、それらのカードが収録されているパックは売れなくなります。カードショップに足を運ぶ方はお気づきだと思いますが、特定のパックが定価の2/3の価格で売られていることがあります。経済の市場原理に則れば、価格が下がるのは供給が需要を超過している時、言い換えれば商品が売れていない時です。末端の小売店で商品が売れていないのですから、販売元には既に大きなダメージに発生していることになります。そして、このような事態を引き起こしてしまうようなカードの製作・収録を意図的に行うことがあり得るのかという事です。
ボスの指令が加わった三神ザシアンの総合的なデッキパワーは、それまでに収録したVMAX等のポケモンを主軸としたデッキと隔絶しており、ゲームバランスを崩壊させるレベルの差になっていたと推測されます。そしてそのことを爆炎ウォーカー以後のカードばかりが使われているという現在の環境が物語っています。
以上のことから、高速三神ザシアンは「予見されていなかった」、もしくは「これほどまでのデッキパワーになることは予見されていなかった」のどちらかではないか、というのが僕が導き出した結論になります。
皆さんはどうお考えでしょうか?
最後に
最後まで読んでくださりありごとうございます。
今回は、三神ザシアンは予見されていたかと題して、高速化した三神ザシアンというデッキの誕生が予見されていたかのについて考察してみました。
反逆クラッシュ発売時、僕はポケモンカードを始めていませんので、当時の環境の様子を生で見てきたわけではりませんが、現在の環境の分布から考察するに、高速三神ザシアンが現れた頃の環境はかなりの一強状態だったのではないかと思います。その他複数の事実から推察して今回はこの結論に至りました、しかしながらひょっとすると、全ては製作側の掌の上ということもあるのかもしれまん。
改めまして、最後まで読んでくださりありがとうございました。