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30年経って再び「たま」を見たら衝撃を受けてしまった話

「たま」である。

30年前、社会現象と化した
あのバンドの「たま」だ。


ある日の深夜2時頃。ふと

「たまの初登場」

というワードが頭に浮かび、
その場でYouTube検索。


当時リアルタイムで見てた
イカ天の映像がたくさん出てきた。
懐かしい。

あの頃の私、中学生。
深夜番組全盛期。


当時、三宅裕司とSETがやってた
「土曜深夜族」という番組が大好きで、
(たった10ヶ月しか続かなかったんだけど)
残念ながら最終回を迎えてしまい、
同じ枠で次に始まったのが
「平成名物TV」だった。
その中にイカ天のコーナーがあったのだ。


第一回目から毎週、
リアルタイムで見ていたけれど、
バンドブームもあって楽しい番組だった。


その番組に、ある日突然、
「たま」が登場したのだ。


4人組で、当時どのジャンルにも
分けられない先進的バンドだった。


アングラ的でシュールな歌詞、
ノスタルジックな音色と風貌、
フォークの面やポップスの面、
演劇が好きだった私は
彼らのどこか芝居的な部分にも瞬時に惹かれた。

ただ、当時の自分は「たま」に対して
こんな具体的に好きだと思ったわけではなく、
なんか面白い、曲が良い、変だけど好き、
という印象しかなかった。
そして鍵盤担当の柳原幼一郎氏が脱退した後、
いつしか聞かなくなってしまった。


たまのメンバーは、

・知久寿暁(ボーカル、ギター、マンドリン、ハーモニカ)
・柳原幼一郎(ボーカル、鍵盤楽器、ギター)
・石川浩司(ボーカル、パーカッション)
・滝本晃司(ボーカル、ベース)


なんと全員、
ボーカルも作詞作曲もできる。
それだけでも異色なのがわかる。

初登場のシーンはすっかり忘れていて、
YouTubeを見た途端、
ぐいぐい引き込まれてしまい、
5周目まで全部見てしまった。

https://youtu.be/dblDxwkz9x8


(ちなみにイカ天というのは、アマチュアバンドをメジャーにさせるための番組で、5周勝ち抜くとグランドイカ天キングという称号をもらえ、スタジオでPVを作れたり録音できるというものだった)

30年経ち、大人になった今、
イカ天の映像を見たら、
昔とはまったく違う感覚に陥ってしまった。

持ち合わせてる言葉が足りなくて
もどかしいのだけど、
一言で言うと「完璧」なのだ。


あの当時インディーズだった「たま」は、
もうすでにメジャーレベルに完成されていた。

そして、
当時中学生だった私には全く分からなかった
たまの演奏力の高さと、
ノスタルジックな音や歌詞の中にある怖さ、
寂しさ、死生観が
大人になってビシバシ伝わってきた。
衝撃的だった。
これまで身内がいっぱい死んだせいかな?


あと、昔とはまた違う
「不安な時代」というせいもあるのかもしれない。


メロディーはもとより、歌詞がすごい。
今聴いても、ちっとも古くない。
あんなにノスタルジックなのに、古くない。
しびれるくらい、ガツンとくる。

とにかく、それは「衝撃」としかいえなかった。

「たま」といえば、
パーカッションのランニング姿を
思い浮かべる人もいるかもしれない。


コミックバンドのような立ち位置で、
当時よく言われていた
「イロモノバンド」的な印象を持つ人も
多いだろう。


ちがう、ちがう、ちがーう!


彼、めちゃくちゃすごいから!!!


あのリズム感は天才的です。

中学のときにパーカッションやってたから、
凄さが分かりすぎて鳥肌立った。


なんじゃこりゃ!?と。


で、ギターの知久さんは、ギター抱えて
産まれてきたんじゃないかと思うくらい
ギターと一体化している。
指が勝手に動いてる。
たぶんこの人、ギター弾けなくなったら死ぬ。
それくらい、好きなのがわかる。


なんで今さらこんなに「たま」を
気になり始めたのか?
そこを突き詰めていくと、
スペアザと同じく

『自分が信じた音楽をやり続けているから』


ということに気がついた。


要は、どんなに周りがなんと言おうと、

「自分がやりたいことをやる」

という信念があるということ。


だから解散した今も、
メンバーそれぞれ、
好きな音楽で生きていけている。


今の私は、そういった人たちへの
アンテナが敏感になっているのかもしれない。


コロナによって、
自分の軸や信念をぐらぐらと揺さぶられ、
心を蝕まれている人が多いから、
無意識に自分を確実に、
しっかり持っている人を
見つけていってるのだと思う。


自分が流されないように。
自分がこわれないように。


「たま」はどんなに世間が彼らを祭り上げ、
大波に流そうとしても、
自分達を生きることを忘れなかった。


それは、今のコロナの濁流と同じだ。
見える世界や景色がまるで変わり、
生活様式や、常識までもが覆され、
生き方を無理やり変えようとされている。


それでも。

私は私でいたい。
私は私を生きていたい。


「私」を忘れたくないのだ。

スペアザとの共通点もいろいろあった。

・自分たちが信じた音楽があること
・普遍的であること
・4ピースバンドであること
・ライブバンドであるため、阿吽の呼吸が素晴らしいこと
・ライブでのアドリブ演奏が素晴らしいこと
・演奏力(技術力)が高いこと
・聴くとノスタルジックな感覚を覚えること
・ある意味プログレッシブであり、ポストロックでもあり、ジャンル分けしにくいこと
・お互い武道館に出演してること
・どんなに大ホールでやったとしても、ライブハウスに戻り、お客さんとの距離を大切にしてること

図書館にたまの本があるか調べたら
スコア以外、発行されてる全部の本と
写真集まで出てきて驚いた。


社会現象になっただけあるね。


曲を聞いたり、映像を見たり、
過去のインタビューを探したり、
本を読んだりしているうち、
長年気になっていた
なぜ柳原幼一郎氏が脱退したのか、
だいたい推察できた。
これはまた別の記事に。
(誰に向けて書いてるの?ww)

今はみんなソロや違うバンドで
やってるみたいだから、
メンバーが生きてるうちに
ライブに行ってみたいな。


しばらく、
彼らの世界に浸かってみようと思う。


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