「笑顔」
6分。アディショナルタイム(AT)が告げられた時、サッカーの神様はやはり悪戯が大好きだと思った。
前節の柏戦もAT6分。そのATで追いつかれ悔しい引き分け。神様は再び試練を与えたのだろうが、エスパルスはしっかりと乗り越えてみせた。
曺監督に鍛えられた京都サンガは、自慢の走力を武器に強いプレスを仕掛け、エスパルスが危うい場面がいくつもあった。J2を彷徨っていた時代とはまったく違うチームに変貌している。さすが曺監督。
しかし、その裏をかくような立田からの絶妙なロングフィード、片山の抜け出し、カルリーニョスのアシストからの乾のゴラッソ。その一点を守り切って久しぶりのホーム勝利を掴み取った。
彼が来てから、その持ち前の「笑顔」でチームが明るくなった。陽気なプラジリアン・コーチたちともその明るさがシンクロし、チームに活気をもたらしているに違いない。
他人との間に壁を作らないその明るさで、若手や外国籍選手ともコミュニケーションが図られているようだ。
更に、彼の高い技術や実績が他の選手からの信用を得るには容易であっただろうし、最年長者が試合で攻守で安定かつ献身的な姿勢を見せつければ尚更だっただろう。
ゴールした彼に群がる選手たちの輪は、そのチーム内の様子を表しているように思えた。それは、鄭大世がゴールしたときの輪と同じようだった。
ゼ リカルド体制となり、北川、ピカチュウと補強が断行された。そして、最後に乾の衝撃的な加入。これがエスパルスに「必要不可欠な最後のピース」だったように改めて思う。
彼の「笑顔」がチームに活気を呼び、勝利への地道な貢献でチームを「笑顔」にした。そして、京都戦で彼自身のゴラッソで、サポーターが待ち望んだホーム勝利を導き、スタジアムに「笑顔」をもたらしてくれた。
試合後、珍しいことにチームはロッカールームに入らず円陣を組んだ。歓びを噛み締め合っただろうが、自信を確かめ合い、次の戦いへの結束を訴えたに違いない。
残る試合は残留を争うクラブ、ACLを目指すクラブとの対戦ばかり。次節は絶好調の広島とのアウェイ対戦。
更に、9月はホームが湘南戦1試合のみ。この9月の戦いが生死を分かつ戦いだ。
その円陣に広がっていた「笑顔」とアイスタに満たされた「笑顔」を守るための戦いが続いていく。
全力全開、エスパルス!
全力橙入、オレンジサポーター!
おまけ