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決算数値から見る清水エスパルスの足取り(その7) -2020~2023年度(前編)-
毎回、長い話に付き合っていただき、ありがとうございます。
さて、今回は2020年度~2023年度に焦点を当てます。この期間は、山室社長に経営が託されてからの4年間です。
元銀行マンから千葉ロッテマリーンズ社長への転身という経歴を持ち、その経営手腕から「リアル半沢直樹」と称され、期待を一身に受けての登板。
就任後の財政面は非常に良好にも関わらず、チームの戦績は一向に上向かずそして遂に、、、そのクラブの裏側で何が起きていたのか。
1 2020~2023年度の出来事
2020年度
・山室晋也氏が社長に就任。大熊清氏がGMに就任
・横浜Fマリノスのコーチのクラモフスキー氏を監督に招聘
・マリノスのようなアタッキングフットボールを目指すも低迷
・第25節終了時(17位)で監督との契約を解除(クラモフ氏から解除を申し出たとの情報あり)。平岡宏章コーチを昇格
・最終順位16位。コロナ禍の特例でプレーオフを回避
2021年度
・ポジショニングサッカーを掲げるロティーナ氏を監督に招聘
・権田、片山、原、ディサロなどの大型補強を敢行
・第34節終了時(16位)で監督との契約を解除。平岡宏章コーチを再昇格
・最終順位14位。薄氷の降格回避
2022年度
・平岡監督続投
・第16節終了時(16位)で監督との契約を解除。篠田善之氏の暫定監督体制へ
・6月 ゼ リカルド氏が監督に就任。腹心のコーチら3人も招聘
・ピカチュウ、乾、北川を追加補強(億単位の補強費を要したとの情報)
・終盤7試合無勝利で2度目のJ2降格
2023年度
・ゼ リカルド監督続投
・J2リーグ第7節終了時(0勝5分2敗)で監督との契約を解除
・秋葉忠宏コーチを昇格
・自動昇格圏の2位まで上昇するも最終節の引分けにより4位へ転落
・東京ヴェルディとのプレーオフ決勝で引分けによりJ1昇格失敗
・大熊GM退任
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2 注目すべき決算数値
(1)営業収益、スポンサー収入の急激な伸長
現時点でリーグの公開情報が2022年度までのため、決算値はそこまでで編集しています。
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左伴前社長の経営改革で収益を42億円へ伸ばした後、2020年度に遂に45億円を突破。2022年度では50億円へと急伸します。
それを支えたのは大黒柱のスポンサー収入ですが、2019年度で約19億円が2020年度で約27億円。2022年度では約30億円へ。この3年間で10億円超の「異様な急伸」ぶりです。
(2)入場料、物販収入
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入場料収入は、2020年度はコロナ禍の入場制限を受け落ち込んでいます。2022年度は2019年度を超える数値が出ています。この一つの要因には国立競技場でのクラブ創立30周年記念試合が貢献していると思われます。
山室社長になってからは、ファミリーシート等の企画チケット、最前列席を高値に設定、立見席の販売などの改革も後押ししていると思われます。
物販収入は、2019年に約4億円台だったものが半減以下になっています。
近年のグッズ売上は急伸しているはずとサポーターは感じていると思われますが、実情はこの数値です。
しかし、これは物販をファナティクス社へ委託したことでマージンを引かれているからだと思われます。
入場料や物販等に関しては、次回で再度触れます。
(3)トップチーム人件費等
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収益が急伸したのを受けて、トップチーム人件費も伸びています。
2019年度の約17億円に対し、2022年度では約22億円と約5億円も伸びています。引き離されていたJ1平均値にも近付いて来ました。
更に、2019年度で繰越利益余剰金が約5億円のマイナスであったものも、ほぼ消えています。
以上のように、2020年以後の財政については、表面的には良好な数値を叩き出していると思います。
3 まとめ
▶収益とスポンサー収入が急激な伸長
▶物販収入は半減以下となったが、入場料収入が伸長
▶収益の急伸を背景にトップチーム人件費も急伸
▶財政的には良好な状態
▶一方で、J1残留争いを繰返し、遂にJ2降格、昇格失敗と惨憺たる戦果
4 「解」から出来事や決算数値を振り返る
今回は、長くなってしまうので、出来事と決算数値の推移についての確認とさせていただきます。しかし、この出来事などをしっかり捉えておいてください。
次回は、2020~2023年度について、「解」から出来事や決算数値を振り返るという逆アプローチをしたいと思います。