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空と水色とわたし-50

時が満ちた。
そう思っていたが、まだその時はやってこない。
その時はいつやってくるのだろうか。

1/1の夕方、私は知らない道を人の流れを頼りにとぼとぼと歩いていた。
前を歩いていたまだ幼い少年の関西弁があまりにも可愛くて
少しだけ心が和む。

それから遡ること約16時間前、私は深夜の高速バスの中で年越しを迎えた。
バスにはテレビもなくひたすらスマホとにらめっこしていたが、バッテリーの残量が気になって、睡眠を取ろうとウトウトし始めた頃だ。
友人からのLINEで年が明けたことを知る。こんなにあっけない年末年始はおそらく初めてだ。
そして、車内が暑く、息苦しい。
まだ静岡県内だというのに早くも私は高速バスを選んだことを後悔していた。次からは新幹線か飛行機にしようと思うのだが、安価につられてうっかり忘れた頃にまた利用してしまう。
そればかりか東京から九州までバスで行くプランを真剣に検討したこともあるのだから、どうかしている(往復だけで24時間以上かかるw)

苦行ともいえるバス旅での9時間、なんとか耐えて梅田の街に降り立つ。
元日の8時過ぎ。想像よりも人が少ない。この辺りはビジネス街なのだろうか。ひんやりとした外の空気が新鮮で心地よくて思わず散歩したくなるが、ここはよく知らない街だ。とりあえず目的地を目指す。
知らない街を歩いたり、普段乗らない電車に乗るのは嫌いじゃない。
特に電車は聞きなれない地名、窓から見える景色、もしも私がここで生活していたらどんな風に暮らしているのだろうか。と得意の妄想が始まる。
都会はどこも似ているというけれど全然違う。匂いも雰囲気も人の空気やもちろん言葉も。私が感じる関西は熱気があって温かい。パワーがないと負けてしまいそうな感じもする。
そんな空気感を楽しみながら、乗り過ごさないように注意深く駅名を聞きながら数回乗り換えて最後はモノレールに乗って、万博記念公園に到着したのだった。

吹田スタジアムへは太陽の塔を眺めながら、長い階段をのぼることになる。
目の前には対戦相手のグッズを身に付けた方が歩いていて、思わず負けたくなくて無理して階段をかけあがる。朝から私は何をしているのだか。
スタジアム周辺に到着するとすでに開門を待つ長蛇の列。最後尾を探しながら時折見つける顔見知りの方に新年のご挨拶をして、先を急ぐ。
新年の挨拶を待機列でできるとは夢のようだ。これぞ天皇杯だ。
しかし、新年の朝からみんなこんなに遠くまで来るなんてどうかしている。愛おしすぎる。
試合開始まであと数時間。寒さも気にならないほど、緊張と興奮でいっぱいだった。
(この日の画像が見つからないので後で追加します)

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