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空と水色とわたし-47
2016年春、数年勤めてあっさり辞めてしまった会社の後、
派遣社員に戻って派遣された会社はいわゆるブラックだった。
・定時前の朝礼の絶対参加(だけどその分は無給)
・少人数なので派遣も朝礼の司会とスピーチをやる(やりたくないし聞いてない)
・変な社訓の唱和がある(まじで無理)
・入室カードは社員にしか付与されず、毎回、入り口の電話で社員の方を呼びドアを開けてもらう(カードを紛失されたら手続きが面倒だし、派遣を信用していないらしい。こんな会社初めてだ)
・営業事務として紹介されたのに、何故か未経験の校正がメイン。案の定、ミスって社長に叱責される(なんなのよ)
・社長が仕事の件で話しかけてくるのが決まって昼休みや定時後/定時前(多分、わざとやっている)
・インフルで3日休んだ派遣社員をその週にいちゃもんつけてクビ(休みづら)
・なんか社長がネチネチ怒ったり、怒鳴っている(雰囲気悪いよ)
・社長の裏表が激しすぎて、さっきまで取引先の方とヘコヘコ笑顔で話していたのにもう愚痴ってる(こわいわ)
・社長がケチで業務に必要な備品も購入してくれず自腹を切る(テープのり高いんだってば)
・オフィスが古すぎて大地震が来たら壊れそうだしなんか臭い(水周りが特に・・・)
・エアコンつけると寒いか、暑いかのどちらか(バランス・・・)
あれ、今思うと大したことがないような気もしてきたが、当時は毎日欝々とした気分で会社に通っていた。
会社を辞めたのは失敗だったかな、30超えると紹介される派遣先もこんなのばかりなのだろうか。我慢するしかないのかな。この先どうなってしまうのだろうか。婚活を再開するしかないのか。嫌だよ。毎日ため息しか出てこない。
そんな私の唯一の救いが会社の近くから見える東京タワーと増上寺と芝公園だ。今ではその職歴を黒歴史としてなかったことにしている数ヶ月、私はずっと朝と帰りに眺める東京タワー、お昼休みに優勝祈願に出かけていた増上寺、お昼休みや定時後に軽く散策していた芝公園に救われていたのだ。
前置きが長くなってしまったが、困ったときの神頼み。
といっても、神様に願うのは私の将来ではなく、フロンターレの優勝だ。
毎年、優勝したいと思ってシーズンを迎え、シーズンを過ごしているが2015年くらいからはさらにその気持ちが強くなったように思う。
優勝したいのだ。優勝を見たいのだ。喉から手が出るほど優勝したいんだ!
そんな気持ちで応援しているけれど、何故か手が届かない。
手に届かなければ届かないほどその思いは増していく。
何故なのだ。何が足りないんだろう。
そうだ、お参りをしよう。
とよく分からない流れでほぼ毎日お昼休みに私は増上寺へ向かい、お参りをすることになったのだった。
飽きっぽい性格ゆえにすぐに飽きると思いきや、晴れの日も曇りの日も雨の日も、いつの間にか1日一度は増上寺に行かないと気が済まないようになっていた。そして、これだけでなく、この年は浅草寺のほおずき市にも足を運んだ。
私が行った7月10日は「四万六千日」という特別な日で、46,000日分の功徳が得られる縁日だそう。つまり私は1日にして126年分、およそ一生分の徳を得たことになる。浅草寺で祈願したことも、もちろん優勝だ。
しかし、2016年もあと少しのところで優勝することはできなかった。
だけど、翌年のあの絶望からの奇跡を思い出すと、神様も随分とツンデレでもったいぶったことをするなぁと思わなくもないのだった。