新・基本計画線シリーズ第五弾 中央新幹線
今回は新・基本計画シリーズ第五弾の中央新幹線です。
前回の記事(山陰新幹線)は昨年の7月末なのでおおよそ8ヶ月振りになる模様
一応本家の企画なのですが、集まった在来線の量が予想以上に多かったため新幹線シリーズは遅滞しています…
今後も不定期になると思われますが、少しずつのペースでも更新はするので、お待ち下さい。
1. 概要
今回計画する新幹線は、中央新幹線です。
「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」によれば
起点:東京都 経由地:甲府市,名古屋市,奈良市 終点:大阪市
となっています。
まさに東海道新幹線のバイパスになるべくして計画されたような経路で、並行する中央本線・関西本線ともに大幹線である東海道本線とは異なる需要を持ちつつ東海道を補完できるような路線であることが望ましいでしょう。
また、今回は「鉄軌道中央新幹線」として計画していきます。
追記:建設年代は80後半~90後半。実際の長野新幹線と同じ時期を想定しています。
ここの新・基本計画線シリーズでは
第6号線 通称:中央新幹線
ということになっています。(詳細は以下記事参考)
2. 各区間解説
①東京都中心部~大月駅
今回はルートの解説。
①新宿~立川経由ルート(メイン)
→東京駅を出発し、大深度地下を走行。新宿駅に東西から侵入してそのま
ま西進し多摩地域の中心地(の一つ)である立川駅を経由してまたトンネ
ル。そのまま大月まで至る
②渋谷~八王子経由ルート
→東京駅を出発し、進路をやや南にとる。そこで、渋谷駅の地下にホーム
を設け、そのまま西進。こちらも多摩地域の中心地(の一つ)である八王
子駅を経由しそのまま大月に至る
終点を除いた共通点は東京駅を起点としていることで、これは計画されている成田新幹線との直通を視野に入れたもの。
新宿~八王子経由というのも一応考えられますが、そこまでパターンを増やしても…と思い、省きました。ただ、距離数自体はどちらも大して変わりま
せん。
②大月駅~小淵沢駅
ここは中央東線と並行する区間。②からは各駅解説です。
大月駅:現在の大月駅と同じ駅に設置される新幹線駅です。東京から富士山方面への直通特急は今後も残りそうですが、乗り継ぎ客も多いでしょう。
新勝沼駅:新幹線単独駅です。国鉄時代ならともかく、2000年代以降ならフルーツ関連の名前が駅名に入ったりしても不思議では無いですね…
甲府駅:こちらは主要駅ということで乗り入れます。甲府駅の前後は急曲線がありますが、基本全列車停車駅なので問題は小さいでしょう。
須玉駅:ここも新幹線単独駅です。”須玉”の名前は近くにある中央自動車道のIC名からとりました。
小淵沢駅:既存駅と併設です。小海線はお乗り換え。標高はかなり高そうですが、これでも890mとまだ軽井沢駅より低いです。
③小淵沢駅~新中津川駅
まずはルートの解説から
①伊那盆地ルート(メイン)
→現中央自動車道に沿って伊那市・飯田市を経由し、中央アルプスを抜け
て中津川に至る標準的なルート。塩尻・松本方面への接続はデルタ線で
担保していて、東京からも名古屋からも直通できるようにしています。
②木曽路ルート(現特急走行ルート)
→現在の名古屋発特急「しなの」が走行する中央本線に並走して、中津川
に至るルート。①とは異なり塩尻駅に本線が乗り入れ、塩尻を通過でき
ないようになっています。
どちらも茅野駅までは同じルートを取り、新中津川駅は現美乃坂本駅を改称する形としています。
次に、各駅の解説。①→②の順
茅野駅:現茅野駅に乗り入れています。どちらのルートでも諏訪盆地の代表駅としての役割を負います。「諏訪」の名前入れた方が良かったかも
伊那箕輪駅:飯田線の在来線駅には接続しない新幹線単独駅です。箕輪町所在の駅となりますが、伊那地域の玄関口としての意味があります。
新駒ヶ根駅:駒ヶ根駅には線形の問題で乗り入れられず、付近の駒ヶ根ICに接続する形となります。
飯田駅:唯一飯田線の駅に乗り入れる新幹線駅です。飯田以西に線路を延ばすにあたって、向きが意外と都合が良かったりします…(用地取得は頑張りましょう)
新中津川駅:中津川駅に乗り入れる為には駅前後の線形を大きく曲げる必要があり、そちらの面で困難と考えました。そこで、開発余地のある中津川駅と恵那駅の中間地点にある美乃坂本駅を利用する形としてました。
塩尻駅:現塩尻駅に乗り入れます。塩尻手前では(かなり急曲線になりますが)デルタ線を設けて直通できるようにはします
木曽福島駅:ここも現中央本線の駅に乗り入れます。木曽町の新たな玄関となり、観光振興も捗りそうな雰囲気です
南木曾駅:新中津川駅に比較的近接していますが、中津川~塩尻で駅を一つだけというのも寂しいので、需要のありそうな現駅に乗り入れました。
④新中津川駅~名古屋駅
ここの区間は名古屋市の近郊区間となり、新規で高架の建設はいくら現代ではないといえども困難です。そのため、多治見以西は基本的にトンネルとせざるを得ません。
各駅解説。
多治見駅:岐阜県では二つめの駅です。現在でも名古屋の通勤圏ですが、新幹線駅の設置で通勤環境にも変化があったり?
名古屋駅:現名古屋駅の北方向から乗り入れ、東海道新幹線ホームの直下にホームが設置されます。
⑤名古屋駅~新亀山駅
名古屋市中心部を抜け、いよいよ三重県に入ります。
ここからは中央新幹線でありながら中央本線ではなく、関西本線に並行するようになります。もう関西新幹線ですね
各駅解説。
新桑名駅:現桑名駅は乗り入れ困難なので東名阪道桑名東ICの至近に設置される新幹線単独駅です。実際に作るとなると地盤整備とか大変そうです
新四日市駅:近鉄湯の山線の高角駅に垂直に乗り入れる形で新四日市駅を新設します。こちらも東名阪道四日市ICとも近い場所にあります
新亀山駅:現関西本線井田川駅を改称する形とします。現在の亀山駅は紀勢新幹線津方面への接続の兼ね合いから断念しました。
⑥新亀山駅~新大阪駅
伊賀市・奈良県を経由し遂に大阪市に至ります。
大阪府内は全てトンネルで、さらに奈良-三重県境には同新幹線最長の名阪トンネルが控えています。建設区間としては最大の難所?かも
各駅解説。
伊賀市駅:現名阪国道友生IC付近に新たに設置されます。在来線駅には接続しませんが、伊賀鉄道線に併設新駅もあり…?
奈良郡山駅:近鉄橿原線と関西本線の交点に新幹線駅を設置して、奈良県全体への波及効果を最大化します。(もちろん在来線駅も新設)
天王寺駅:路線名称上の終点となり、先は四国新幹線に乗り入れという形になります。新幹線でも第二のターミナルとしての機能を果たします。
新大阪駅:(北陸新幹線が来る予定の)新大阪地下ホームに乗り入れとなります。新大阪のホーム数がとんでもないことになりそうな…
3. まとめ
全長は496.21km。(全て青ルートを選択した場合で、東京~天王寺の総延長)
また、東京~名古屋間の距離は340.90kmで並行する東海道新幹線の342.0kmと比較してもむしろ短く、スピードを出せる可能性があります。
このことを考えれば、京都を経由しないという弱点はあるものの繁忙期の東名阪間の輸送に大きく貢献できそうです。(ただし、これをやるとすれば駅設備の増強は必須)
最後に、まとめの全体図です。
4. 実現可能性
この記事をここまで読んだという人ならば、この新幹線の実現可能性についてはよくご存知なのではないでしょうか
今の今まで直接的な言及は避けていましたが、今回計画した中央新幹線というのはまさに
「現2024年時点で唯一着工している基本計画線」
であり
「品川~名古屋間は2027年、その先新大阪までは2037年までに完成」
とされている
「リニア中央新幹線」
に他ならないのです。
つまり、この中央新幹線という路線の実現可能性は
いかにしてリニア中央新幹線が全線開通するのか、という一点のみです
リニア新幹線に関する技術や建設経緯については上のHPを参照。(動画が再生されるので一応注意)
ここでは、なぜ中央新幹線を建設するにあたってこの「中央新幹線」ではなく実際には「リニア中央新幹線」が採用されたのか、ということについて双方のメリット/デメリットを見ながら考えます。
まずは鉄軌道中央新幹線のメリット
①各県には一駅ずつしか置かれないリニア中央新幹線に比べて駅間距離を短くでき、各地の需要を細かく拾いつつ大都市間輸送もそこそここなせる。
②南アルプスを貫通しないため、建設時の技術的な不確実性を回避できるかもしれない(中央アルプスは恵那山トンネルの前例あり)
③線形の取り方によっては新大阪駅や名古屋駅で、既存の新幹線ネットワークと接続することが可能
次に、鉄軌道中央新幹線のデメリット(一つ)
①中央新幹線の大きな目的の一つである「東名阪のバイパス」機能を考えたとき、運用主となるJR東海としてはただの「バイパス」で東海道新幹線の乗客が分散するだけになり収益悪化の可能性がある
②速達性に関しては劣る一方で建設費は同等、もしくはより高くなる可能性があり着工・完成がより遅れるかもしれない
次に、リニア中央新幹線のメリット
①単なるバイパスにとどまらず、その圧倒的な高速性(東京~新大阪間67分)をもって新しい需要を生み出すことができる可能性がある
②将来の高速鉄道の発展や諸外国への輸出も見据えた技術開発ができ、旅客収入に留まらない大きな利益をもたらす可能性がある
また、リニア中央新幹線のデメリットとして
①リニアの車両の座席定員は現在の規格の新幹線よりも小さくなることが想定され、十分に東海道のバイパスを果たせないかもしれない
②南アルプス貫通ルートは技術や工期の面で不確実性があるかもしれない
最後に両方式に共通して考えられるメリットが一つあり、それは
「いずれも東海道新幹線のダイヤの自由度が高くなり、現在は「のぞみ」が全て通過する静岡県、岐阜県、滋賀県にある駅の利便性は高くなれども低くなることはない」
ということ
以上の点を踏まえ、JR東海は自費でリニア方式による中央新幹線建設を決定することとなりました。
現状、品川~名古屋間は静岡県通過の問題で完成時期は未定(それでもルート変更→環境アセスやり直しよりは早いでしょうが)。
名古屋以西は現在環境アセスメント最中で、そう遠くない未来にルートが発表されることでしょう。(三重県内や奈良県内で駅設置に関して議論されているようですが)
最後に、リニア中央新幹線名古屋以西の予想ルートに関してX(twitter)の方であげる予定もあるので、そちらは番外編として記事になるかも… など