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基本計画線シリーズ第二弾・四国新幹線

1. 概要

第二弾では、引き続き新幹線の基本計画線を計画します。
前の記事はこちら↓

今回は、四国新幹線四国横断新幹線について計画していきます
建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画によると、

まず、四国新幹線は
 「起点は大阪市、主要経由地は徳島市,高松市,松山市、終点は大分市
とされています。
また、四国横断新幹線は
 「起点は岡山市、終点は高知市
とされています。

これを踏まえると、各新幹線の大まかなルートは、

こんな感じになるでしょうか。

本路線、特に四国新幹線では大きな海峡を二回越えなければなりません
つまり、長大橋梁にしろ長大トンネルにしろ莫大な費用が掛かります

これが、本新幹線の完成が困難と言われる最大の理由です(もちろん、現実的な解決策が提案されているのですが)

さらに悪いことに、困難として大阪都市圏内の建設手法が挙げられます

ここでは、地上に線路を敷くことが現実的ではなく、新線の建設であれば、大深度地下を使わざるを得ません
この点も、全通に多大な費用が掛かる大きな理由です。

2. 四国新幹線


 これから各区間の詳細を話すにあたっての注意点
 自身の架空鉄道計画では、重視する箇所が2点あります。

  ・県都の主要駅など、規模の大きな駅にはなるべく乗り入れる
  ・その他の中間駅では、駅に接続しない場合高速道路のICな    
   ど交通結節点としての新幹線駅の機能を十分達成しうる場所

 ただ、主要駅であっても線形の都合上乗り入れが困難な場合もあ   
 るのでそこは個別に解説します。

新大阪駅~新徳島駅

いきなり、選択を迫られる区間です。(前回もそうだったような…)
大阪~徳島は地形の都合上、線路の取りうるパターンが複数あります。

↑”淡路島のおかげて超長いトンネルを掘らなくて済む”の図

前回と同様、三パターンのメリット/デメリットを解説します
まず、

パターン1:阪和線南下ルート①(和歌山経由)
  メリット:関西空港方面の需要にも対応できる。和歌山方面の需要も対 
       応できる。とにかく新規需要を獲得できる可能性がある
  デメリット:建設距離が長い。(特に、大阪市内の大深度地下区間)
        関西空港直通には追加の対応をする必要がある。

 パターン2:阪和線南下ルート②(和歌山経由しない)
メリット:関西空港方面の需要に対応できる。パターン1より若干建設  
       距離が短くなる。
  デメリット:やはり建設距離が長い。(もちろん、大阪市内を通る)
        また、和歌山を経由しない。

 パターン3:明石海峡大橋ルート
メリット:山陽新幹線と一部の区間を共有している為、建設距離が最も
       短くなる
。また、神戸市内からの需要を上手く取り込める。
  デメリット:準備構造がない明石海峡大橋は、新たに橋梁またはトンネ                                                            ルを掘る必要がある。山陽新幹線との分岐を建設する場合
        山陽新幹線側の運行に影響を及ぼす可能性がある。

以上を踏まえ、ルートを各パターン分けて作成した。
また、パターン3に関しては計画通り明石海峡大橋の新幹線準備構造が設計されていたものとして計画している。

地図は過去最大。トンネルもかなり多めである

全パターンに共通する駅として、起点の新大阪駅、終点の新徳島駅がある
特に、後者の新徳島駅については駅の位置が南にあり過ぎて乗り入れが困難となっている。このことから、高徳線池谷駅を新徳島駅に改称し設置した。

パターン1では、今の阪和線紀伊駅に新和歌山駅を設置した。
和歌山駅に乗り入れるのは西を目指す以上、乗り入れ困難なのはすぐに分かるだろう。

1と2では天王寺駅、関空アクセスの日根野駅を設置した。
大深度地下を利用する以上、ターミナル駅に乗り入れて都市部からの利便性を高める狙いがある。

また、日根野駅から関空のアクセスについては

 「現在の関西空港線を廃止して、現ガーラ湯沢のような直通支線を建設」
もしくは
 「現在の関西空港線を改軌してミニ新幹線方式で乗り入れる」

が考えられる。ただ、この両案とも在来線直通快速が運行できなくなるため、何らかの解決策を用意する必要があると思われる

今回は、開発余地も含めパターン1のルートを選択する。

・海峡横断の方法について
紀淡海峡をどのよう通過するかについては、長大橋梁or長大トンネルといった解決策が考えられる。
 今回は、大阪湾内に通行する大型船舶の航行や建設費用を考えて、紀淡トンネルを整備することとした。
 水深は青函トンネルのそれより浅く、建設自体が極端に困難となる可能性は低いと考えられる。また、橋梁を建設する場合はトンネルよりも遥かに困難な構造物となるだろう。


新徳島駅~宇多津駅

この区間で問題になるのは、新幹線高松駅の位置。
在来線の高松駅の位置は、宇高航路よろしく頭端式

四国各地方から集まる特急。どれも個性的

高松駅が終点ではない以上、高松駅に乗り入れることはかなり困難
というわけで、実際にはこうなった↓

新徳島に続き主要駅に乗り入れられない…

ここで各駅の解説。

  • 東かがわ駅:新幹線単独駅で、駅名は所在地の”東かがわ市”から。三本松駅に乗り入れるのが困難なため、高松自動車道の白鳥大内ICに接続しています。

  • 志度駅:こちらは在来線高徳線志度駅に乗り入れました。後述する新高松駅と近すぎる(11km程度)ような気もしますが、そこまで高速性を追求する路線でもないのでOKです。

  • 新高松駅:問題の高松駅です。線形などを考慮した結果、現高徳線栗林駅に駅を設置するのが妥当と判断しました。高松市街地ともほど近く、新幹線駅として拠点性も問題なく発揮できると思います。

  • 宇多津駅:今回の四国新幹線・四国横断新幹線である意味最も重要な駅です。横断新幹線との接続や併解結がある為、基本全列車停車駅です。よって前後の急曲線を許容しています。詳細は後ほど


宇多津駅~松山駅

前の区間とは打って変わり、割と順調に駅を設置できる…
と言いたいところですが、そうでもありません。

問題は2点
 ・四国中央~伊予西条までの駅はどこに置くの?
 ・今治市はどうする?
です。

特に後者は、同県内2番目の人口を抱える重要都市・今治市であるだけに扱いが難しいです。
なぜ難しいのか、それは”松山を目指す上で遠回り過ぎる”ということです。

わざわざ説明すようなことでも無い気もしますが…

今回は、今治駅乗り入れ諦めます。
いくら網羅性重視といっても、ここまで迂回はさすがにできない。

という訳で、今回の地図はこちら↓

東予、駅設置難しくない…?

ここで各駅の解説。

  • 新観音寺駅:特急停車駅である予讃線観音寺駅には、線形の都合上乗り入れできません。よって、一つ手前の本山駅に設置します。ただ、問題があ一つあり、この駅の所在地は観音寺市ではなく三豊市です。ややこしい…

  • 四国中央駅:いかにも「四国の真ん中」っぽい名前ですが、駅名の由来は所在地の四国中央市からです。川之江駅~伊予三島駅の間に新設しています。ここから横断新幹線が分岐する予定です。

  • 新居浜駅:こちらは在来線の新居浜駅に乗り入れます。諸事情により隣の伊予西条駅とかなり近いです。

  • 伊予西条駅:新居浜駅にかなり近い(11km)ですが、置かないわけにはいきません。さらに、駅の規模を考えると両駅とも結構停車便がありそうなのが悩ましい

  • 新今治駅:おそらく、本新幹線で一番問題のある駅名だと思います。新函館北斗駅の例もあるし、この距離でも許される。多分。なお当然の如く今治市にはなく、壬生川駅を改称した駅となっています。

  • 松山駅:ようやく県都の主要駅に乗り入れられました。ここもスルー出来る余地がないこともないですが、流石に置きます。建物密集してて建設たいへんそう(小並感)


松山駅~大分駅

続いてのこの区間は、いよいよ二度目の海峡越え区間です。
海峡越えのイメージとしては、青函トンネル前後が近いです。
特に、八幡浜から佐田岬までの区間はトンネルの隙間から海がたびたび見えるといった車窓になることが予想されます。

過去で一番トンネルが多くなる区間ですが、どうぞ↓

ここで二カ所訂正。
八幡浜駅の実キロ:×381k140m→〇394k570m
大分駅の実キロ:×466k380m→〇485k720m

線形の問題があって、八幡浜~佐田岬の箇所は半径2,000m(=減速不可避)のカーブが多少あります。
八幡浜をスルーすれば多少改善しますが、今回は乗り入れを優先。

ここで各駅の解説。

  • 伊予市駅:伊予市に所在する予讃線伊予市駅に乗り入れます。松山駅とまた近いですが、ちょうどいい位置にあるために置きました。

  • 伊予大洲駅:2駅連続伊予。主要駅であり、駅間も適度なので設置しない手は無かったです。ただし次の八幡浜駅との距離が短めです。

  • 八幡浜駅:カーブの途中にある駅です。イメージとしては山陽新幹線の徳山駅。熱海程厳しい曲線があるわけではないですが、制限速度は付くだろうと思います。

  • 佐田岬駅:イメージは奥津軽いまべつ駅。利用者人数はそこまで重要ではなく、整備基地とか信号所とかそういうイメージです。(周辺人口は2,400人位)

  • 幸崎駅:前の佐田岬と対応して、イメージは木古内駅。(利用者はそこそこ?いると思いますが…)

  • 大分駅:四国新幹線の正式な終点駅です。南側で後の東九州新幹線と合流する設計となっています。

佐田岬駅のイメージはこちら(GoogleMapから拝借)

新幹線駅開設を機に有名観光地に…?



3. 四国横断新幹線

四国横断新幹線は
 「起点は岡山市、終点は高知市
とされています。
四国新幹線と重複区間もあるので、”どこから分岐するのか”が最も重要になってきます。

また、こちらは整備が困難になるような地形はなく距離もそこまで長くならないはずです。

岡山駅~宇多津駅

まずは当区間から
起点は岡山駅。途中に瀬戸内海が立ちはだかりますが、利用可能な瀬戸大橋が架かっているので活用します。

縦長な地図。瀬戸大橋ありがたや

ここで各駅の解説。

  • 岡山駅:中国地方最大のターミナル駅(と言っていいはず)です。当然ですが山陽新幹線との直通も視野に入ります。この駅からしばらくは宇野線と並走することになります

  • 児島駅:岡山県最後の駅。仮に会社境界ができる場合は再びJR四国とJR西日本の境界駅になります。(岡山まで四国持ちがいいと思いますが…)

  • 宇多津駅:四国新幹線との交点となる重要駅です。後述しますがこの駅には準備構造があります。詳細は後ほど


宇多津駅~高知駅

次は問題の区間です。
問題は
四国中央から分岐して四国新幹線との供用区間を増やし距離を短くする
 vs
宇多津から分岐して既存特急停車駅を回収していく
のどちらのルートを選ぶことになります

そこで、今回は どちらも作る ことにしました。

山多い!対称的な両ルートです
(というか阿佐トンネルとありますが、普通に伊予国ですね…ミスミス)

各ルートの各駅紹介します。まずは青ルートから

  • 琴平駅:琴電も乗り入れる土讃線琴平駅に新幹線も乗り入れ。一定の観光需要etc…があるかと。

  • 新池田駅:阿波池田駅は乗り入れ困難のため、現在の佃駅を新池田に改称して乗り入れます。新神戸っぽい地形ですが平野がそこそこあります。

  • 大歩危駅:こちらは本当に山に挟まれている駅です。ロマン大事。新神戸駅とは異なり、四方が山に囲まれています。

  • 土佐山田駅:高知駅からやや近いですが、せっかくなので香美市にも駅を置きました。在来線とは異なり山を一気に貫くので短縮効果凄そう

  • 高知駅:終点駅・高知駅は流石に乗り入れます。


次は赤ルートを…と言いたい所ですが、途中駅が一つしかないのでささっと紹介。
土佐本山駅は、高知駅へ一直線に向かう赤ルートのトンネルの間に平野部があったので設置しました。同区間を単線整備する場合はここで入れ違いが行えるようにしてもいいかもしれません。
高知駅は紹介済みのため略。

そして問題のどちらのルートを選ぶのか?という話ですが、
青ルートを選択します。
赤ルートは一見高知まで短く目指してるように見るのですが、実は岡山からの実キロはほぼ変わりません。(なんなら青ルートの方が若干短い)
今回は網羅性を重視する方針から、建設距離が長くなってもたくさんの駅を設置するルートを選択することにしました。

4. まとめ

四国新幹線・四国横断新幹線をまとめた図です。

四国新幹線も羽越新幹線には及びませんがかなりの長大路線であることが分かります。瀬戸内新幹線って感じがしていいですね。
四国横断新幹線は短いですが、最短という訳でもありません。西九州新幹線が全通しても確実にこちらより短いです。

時間短縮効果

ここで、四国新幹線による時間短縮効果を見てみましょう。
まずは、現状のアクセス時間を図にしてみました。

この図を見ると、やはり在来線特急での移動に時間が掛かってしまっていることが良く分かります。
また、実際には乗り換えもあるので時間以上の抵抗があると思われます。

次に、リニア中央新幹線+四国新幹線+四国横断新幹線が全線開業した場合の所要時間を見てみましょう。

東京からでも大分が射程圏内に入る。今の新函館北斗みたいなもの

東京/新大阪からの所要時間はもれなく半減となり、フル規格新幹線の強さがとても良く分かります。
また、新大阪からは乗り換えがなくなるため時間短縮効果以上の心理的負担の減少が期待されます。

この図に加えて、四国各県内同士の所要時間短縮効果も注目です。
 ・松山⇔徳島:67分(-134分
 ・徳島⇔高知:59分(-143分
 ・高松⇔高知:36分(-96分
 ・松山⇔高松:50分(-92分
 ・松山⇔高知:54分(-193分
 ・徳島⇔高松:17分(-41分


整備の意義

 上記の時間短縮効果を踏まえると、整備の意義はとても高そうですが
 問題となるのは紀淡海峡区間と豊予海峡区間の整備費の高さです。
 
 そこで、四国新幹線の整備促進期成同盟会はある提案をしています
 それが、"十字型"の整備案です。
 

海峡部は先送りにして、最小の費用で最大の効果を発揮しようという考え

この整備案では、B/C(費用便益費。1を超えると整備効果があるとされる)が1.03となり、四国新幹線単独整備の0.31/四国横断新幹線単独整備の0.59より優れていると考えられます。

また、所要時間短縮効果の面においても
 新大阪→徳島:1時間35分、東京→徳島:2時間52分
と悪くないです。

参考:http://www.shikoku-shinkansen.jp/

また、四国のJRの在来線は線形が悪い場所が多く(特に土讃線etc…)
在来線の高速化もこれ以上は困難な場所が多いです。

四国に交通の変革を起こすのならば、(少なくとも鉄道では)新幹線しかないと言っても問題ないと思います。

5. 実現可能性

ここまで四国新幹線・四国横断新幹線の効果を論じてきた所なのですが、実際問題どの程度実現しそうなのでしょうか?

「分からない」と言ってしまえばそれで終わりなのですが、次期の新幹線計画の中では個人的に一番実現可能性が高いと思っています。(主な理由は他の新幹線計画が厳しいから)

そこで、将来の四国新幹線/横断新幹線の為に用意されている準備構造を紹介していきましょう。


四国(横断)新幹線の為の準備構造

1.瀬戸大橋
  これは結構有名なのですが、瀬戸大橋の在来線走行区間には、新幹線が
  走行できるように、複線分のスペースが開けられています。
  さらに、瀬戸大橋前後にもトンネルなどに将来の新幹線敷設のためのス 
  ペースが所々見られたりします。

※一応自作です

2.大鳴門橋
   
淡路島と四国を結ぶ大鳴門橋も、瀬戸大橋と同じく新幹線の為の準備構造
 が用意されています。(こちらに在来線は現状通っていない)
なお、反対側の明石海峡大橋ですが、新幹線を敷くためのスペースは全く
 用意されていません。

3.宇多津駅
  宇多津駅には新幹線を受け入れるための用地確保がなされているとされ
  ています。実際にGoogleMapの航空写真を見てみると、

 駅の北側に、明らかに複線分以上の何かスペースが確保されています。
 さらに、本四備讃線にそうように北側にも確実に用地確保がなされている 
 ことが分かります。

4.松山駅高架化
 最後の例として、直近のJR松山駅高架化事業について触れます。
 高架化に関する、松山市の資料にも

”松山駅前広場等の整備においては、新幹線整備計画に関する国の動きにも注視し、 新幹線誘致に配慮して計画を行う”

https://www.city.matsuyama.ehime.jp/shisei/machizukuri/matsuyamaeki/kyogikai/ekimachi/ekimachi2.files/shiryo1.pdf

このようにあり、駅前の東口に新幹線用の用地が確保されることになると考えられます。


最後に

 色々と書きたいことを全て書いた結果、すごい分量になってしまいまし
 た。やっぱり四国横断新幹線は分離した方が良かったかな…
 四国新幹線、現実になることはあるのでしょうか。(少なくとも、十字整 
 備案ぐらいは生きてるうちに実現して欲しい)

 ともあれ、筆者は昨年四国を訪問したのですが、JR四国は新鮮でとても面
 白いな~と思ったのでここに書いておきます。(旅行記もいつかあげます)
 特に、特急宇和海。あれ凄く面白い走り方をする特急なので、訪問した際
 にはぜひ乗ってみてください。かなり乗りがいがあります。 

宇和海からお気に入りの一枚


※次回は多分在来線になります。今回が重かったので軽め
※ヘッダの画像は予土線を走行する某0系新幹線

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