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死神とひまわり

ある7月、1歳の子の紹介相談を受けました。名前はゆかりちゃん。重度の心不全があり、完治は不能。余命3週間とのことでした。生まれてからこれまで、ずっと入院しています。手術をしたり集中治療室に入ったりしながら今まで過ごしてきました。これ以上の治療が困難となった今、生まれてから一度も暮らしたことのないお家に帰って、家族団欒を過ごさせたい。という依頼でした。

 オレンジは、断るという選択肢はありませんので、当然受けます。まずは入院中の病院に挨拶がてら会いに行きます。ちょうど七夕の日に会いに行く約束をしました。が、今までで最も小さな終末期の患者の紹介に、内心とても困惑していました。

―どんな顔して会いに行こう

不安にさせないように笑顔で会いに行く。
子どもとの初対面のあたりまえです。
でも、ゆかりちゃんは僕に会いたいでしょうか?
僕に会ったら、家に帰る話が進みます。そしたら、3週間経って、ゆかりちゃんは旅立つんです。僕に会わなくたって病気は変わらないのはわかっていますが、ゆかりちゃんから見たら、

人生最後の主治医、登場

です。まるで死神になるような気持ちでした。死神が笑顔で近づいてくる、そんな映画で見るような恐ろしい状況を作るのがまさか自分になるなんて。
どんな顔して会ったら、ゆかりちゃんと目を見て話せるだろう。
どんな声をかけたら、ゆかりちゃんは許してくれるだろう。


前日、出張先の東京のホテルで、どんな顔してなんて声かけようか悶々と悩んでいた僕は、NHKハートネットTVで戸枝さんが話していた言葉を、動画を繰り返し見ながら噛み締めていました。

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戸枝さんのことはこちらから↓

初めてNICUを訪れた戸枝さんが、目の前の小さな命に心を揺さぶられるシーン、
「お前たち なんで死なないのよって思ったんですよ。
 苦しいでしょって。痛いでしょって。
 なんで生き抜こうとしてるの・・・って思った時に・・・
 単純に生きたいからだよねって思ったんですよね。
 絶対に、君らが生きててよかったって
 ワンエピソードでも絶対何か作ってあげるから、
 死んだらダメだって。
 で、そのように、
 大人がみんな君らを見捨てたりしないよ、って。
 その瞬間、自分の中でカチンと覚悟が固まった感じですかね・・・」

この戸枝さんのセリフを何十回も繰り返し再生し、噛み締めて。

もう一度、ゆかりちゃんのことを考えてみました。

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