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笑顔的発作、発作的笑顔。人生いちばんのズバーーーーーーッッぶったぎりと子どもの笑顔

寝たきりの小学3年生の子

のいわゆる在宅主治医をしているときの話

定期的な訪問診療や急な体調変化時の往診に行く

月に1回の病院の受診にもできる限り付き添っていた


「最近、よく笑ってくれるんです」
お母さんが嬉しそうに病院主治医に話した

僕も、最近よく笑うのを知っている
嬉しそうに笑顔で話すお母さんの顔をみて
嬉しい気持ちだった


すると・・・・

小児科主治医は言い放った!
「ちがいますよ、それは笑ってるように見える発作。
 病気の発作ですよ。」


ズバーーーーーーッッ!!!


人の気持ちやストーリーをズバッと切り裂く光景は数あれど

僕にとって人生最大のズバッ!がこれだった


僕は医者のくせに
発作を見抜けず、お母さんと同じ嬉しい気持ちになってしまっていた
僕が先にフォローできていればもっとお母さんの傷は浅かったかもしれない


お母さんは笑顔のまま固まっていた、目だけ泣いていた。


専門医は一見残酷に見えても
医学的真実を伝えなければならない



・・・のだろうか


っていうか

笑顔ってなんだ?
発作って何だ?


訪問診療中に
きょうだいも入ってワイワイ話をしていて
みんなが楽しい気持ちで笑い合っている時に見せる笑顔

あれは
笑顔だ。

発作?だとしても笑顔だ。


医学的には発作なのか

でも彼女が発していて
周りが受信している気持ちは
「笑顔」だ


そんな時間を伴にしている在宅医は
切り取られた医学の専門家とは違う場面を見てるのかもしれないぞ

これは
実はとても大事な役割なのかもしれないぞ

医学の常識を疑う
そんなカッコいいことではないけど

医学の常識の中に埋めこめられた
この子たちに
出会った意味を考えよう
わかんないけど、考え続けていよう


僕が小児在宅医療と呼ばれるものを始めた1年目の出会いと気づきです。


あれから13年

今ならはっきり言える

「人が、嬉しい気持ち、優しい気持ち、誰かを愛おしく思うときに、
 発作的に出るのが笑顔。
 この子が伝えようとしているのは、
 神経と筋肉の、医学者が“発作”と呼ぶ現象を使った、
 嬉しくて優しくて愛おしい気持ちの表現です、

 簡単に言うと、笑顔です。」


たくさんの子どもたちと関わる中で
こちら(大人、医療者、医者)側が感じてしまうものを一旦全否定して
子ども本人の表情と身体とこれまでとこれからを見るようにしてきた、いつも不十分だからこそずっと。
これは、あのときの ズバーーーーーーッッを横で見てしまった医療者の責任として。

暮らしの中の子どもに出会える在宅医の責任として。


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