悩ましいほど一生懸命に。不確かだからこそ信じる。〜まちのほしくし、吉田花蓮が行く〜
雑誌「小児看護」で
オレンジキッズケアラボ・ほっちのロッヂの保育士、 吉田花蓮の連載が始まりました。タイトルは「保育はなが〜い滑走路」
いいタイトル!ぜひ、ご覧ください!
医療的ケア児、通称、医ケア児・医ケアキッズ。
子どもであるがために親が、
病気であるがために医療者が、
彼女ら彼らを制限したり管理したりする。
愛情や優しさが根拠になる制限と管理だから、
ダメですよ、とは言いにくい。思いにくい。気づきにくい。
経験ある大人は「安全」ばかりを望んでしまう。
不安定さを恐れる医療者は、変化のない「安定」ばかりを望んでしまう。
本来は誰も止められない、成長しようとする力を
見つめよう、
受け入れよう、
信じよう。
という姿勢の大人がそこにいることの大事さを感じる。
「まちのほいくし」を名乗る吉田花蓮は
おそらく全国的にも数少ない、
保育士人生の100%、医療的ケア児に関わってきている保育士。
(まだ4年ですが)
訪問診療も一緒に行っています。
おそらく、全世界で一番、訪問診療の現場に医者と一緒に出ている保育士でもあると思います。
訪問診療先で予防接種をする時、
医者と一緒に来るスタッフの役割は注射しやすいように子どもを押さえたり気をそらせたりすること、と思われているかもしれません。
が、
花蓮は、子どもの「注射怖い、嫌だ」という気持ちに寄り添います。
その気持ちが強い子どもの注射の時は、子どもを連れて逃げようとします。笑
本来、寝たきりの子は、逃げも隠れもしない、医者にとっては、注射しやすい子です。でも、身体が不本意にも寝たきりなだけのこの子たちは、頭の中では全力疾走で医者から逃げ、医者の指に噛み付こうとしている。
それをキャッチした保育士が、逃げ、噛みつくのを支えます。
身体がおとなしく見える子でも
心は大騒ぎしている。
指先少ししか動かない、と思われている子も
気持ちは弾んでいる。
それが、周りに伝わった時、子どもたちはとてもいい顔をする。
もっと伝えようとする。
「おとなしい」「動かない」「安定」を見ている人が周りにいるのか
「大騒ぎ」「弾んでる気持ち」「成長」にアンテナを立てた人が周りにいるのかで、子どもの成長には大きく影響する。
だから、一見 おとなしい、動きの少ない
医ケアキッズには、ぜひ、早くから 保育士が関わると良い。
そして、子ども同士の輪の中にいると良い。
子ども同士は、分かり合えるから。静かに大騒ぎしたり、黙って作戦会議してたり、我先にと成長しようとしたりするから。
ケアラボに通いませんか?と、キッズに声かけるのは、そこが大事と思っているから。
早く来て欲しい、早く友達と出会って欲しい、早くいろんな大人に出会って欲しい。それを力にするキッズのパワーを確信してるから。
もうひとつ、花蓮は…
病状やこれから子どもが受けるケアについて、子ども本人に丁寧に説明します。気管カニュレを今から変えるよ、背中を触るよ、お腹の胃ろうを触るからね。って。
僕らはつい、親への説明だけで何かを始めちゃう。
「本人」がぼやけるのが、小児医療の大きな課題だと思う。
本人は子どもなのに、顧客は母親だったりするから。誰の満足度や誰の幸せを願うのがぼやけるのだ。母親の願い=子どもの願い、だと仮定するところから始まる小児科診療の限界かもしれない。
とてつもなく悩ましいから、とてつもなく一生懸命取り組むんだ。でも、歯を食いしばってる大人が近くにいたって子どもは嬉しくない。だから笑ってるんだ。一生懸命楽しむんだ。
僕は、花蓮さんと診療に行くことで、それらに気づかせてもらっています。
ぜひ、この連載、ぜひ追いかけてくださいね!
「?」は立ち止まる理由ではない。動き出すきっかけなんだ。
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