オレンジの地域活動(コミュニティ活動)、オレンジのコミュニティナース活動。
僕たち、オレンジの地域活動は結構地味です。
地域で必要なら、前例や制度がなくてもやっちゃうので、時々テレビとか新聞に取り上げられて目立ってることはあるけれど。
前例も制度もない取り組みは発信しないと存在しないことになるので、SNSでの発信にも力を入れてるので、派手なことしてるように見えることもあるのかもしれないけれど。
基本的には、地域に密着して出会う人にじっと伴走して考えて悩んでまたゆっくり歩き出す。そういう地味で着実な活動なのです。
オレンジホームケアクリニックは13周年。
オレンジキッズケアラボは12周年。
みんなの保健室、も11周年。
コミュニティナース活動、も“コミュニティナース”という言葉に出会ってからは8年目。そのまえ「地域看護師」を名乗ってた時も加えると13年以上。
がんサロン「ヨリドコ」も継続して開催しています。
オレンジは地域を病気で分断したくない、専門職の都合で分類したくない、
だから「がん」だけに特化する活動には抵抗がありました。
行政の人も、がんに関わる施策を担当する人や予算があれば縦割りになっていく。
医療者と行政が縦割りにすれば、街が縦割りになっていく。
それでも、出会い方は多様な方が良い。
エンジニアで、休日蕎麦職人で、厳しいパパで、優しいじぃじで、ラグビー仲間で、居酒屋の常連で、がん患者。
という人の、「がん患者」だけ切り出そうとするのは、医療者のワガママだ。医療者の視点に押し込もうとしている。
でも、本人も忘れていることがあるんだな。
病院での100%患者として治療している時間が、自分が厳しいパパであることも、居酒屋の常連であることも、うっかり忘れさせちゃうことがある。
自分は、100%がん患者なんじゃないかと思い込んじゃう時がある。
入り口があって、伴走があって、旅立ちがある。
だったら、「がんサロン」なんて入り口をオレンジが持っていてもいいのかもしれない。
ただの入り口。
あっという間に「休日蕎麦職人」で「優しいじぃじ」でもあったことを思い出せるシカケが必要だ。カフェみたいにフラッと入れる入り口が良い。
そして、
エンジニアで、休日蕎麦職人で、厳しいパパで、優しいじぃじで、ラグビー仲間で、居酒屋の常連で、がん患者で、カフェ仲間。としての暮らしに伴走する。
その伴走は、やがてやってくる、看取り。旅立ちの時まで続く。
その人の旅立ちは、がん患者として迎えるのではない。
エンジニアで、休日蕎麦職人で、厳しいパパで、優しいじぃじで、ラグビー仲間で、居酒屋の常連で、がん患者で、カフェ仲間で、出会った私たちにエネルギーをくれる強く大切な友人。として、送り出す。
これが、僕らが地域にいて、地域に伴走する。という蠢きです。
オレンジには医師や看護師、リハビリ栄養薬の専門職、保育士や学校の先生、介護や福祉の専門職を持っている者もいる。
社会福祉士・ソーシャルワーカー、中には救急救命士や料理人、文化人類学者の肩書きを持つ者もいる。
そして、専門職を持っていないことをウリとするメンバーも多くいる。あらゆる視点が必要だから。
凹んだし、凹み続けるために地域に出る医療者。
医療者よ、白衣を脱いで街に出よ。
みたいな動きが最近は流行っている。
オレンジはそのハシリだと言われることもあるし、確かに白衣を脱いで街に出ている。
でもその想いの原点は、実は、地味で暗い。
街に出ることで医療者の「暮らし」を見る視点のなさに驚くといい。凹むといい。反省するといい。
僕は医師3年目で名田庄で暮らしの現場に行き、コテンパンに凹んだ。今でも、自分の視野の狭さにイヤになることもたくさんある。
やればやるほど凹むようになっている。そりゃそうだ、へこみ続けるために、ケアラボや保健室やカフェをつくってるんだから。
医療者の肩書きを持って街に出るのは良い、楽しくおもしろく陽気にいろんな人に出会うのも良い。
暮らしの現場に行くのなら、笑ってた方が良いよね。
心は不安で凹んでいるんだけど。医療者が暮らしなんて見れっこないことを思い知りながら、笑っている。
なので僕は、
医療者としての自信のなさや、伴走し続ける覚悟がないのなら、医療者の肩書きをもって地域に出るのはどうかとも思う。
そして、本当の意味で、医療者が街に出る。を目指したいとストイックに思っています。
医療者が白い建物の中から、街に滲み出てきた時、どんな顔してどこに佇んでいるべきか、ずっと悩んでいる。
頭を抱えている。いつか達成したいな。
今回、がんサロンという入り口で出会った街に暮らす人に伴走し、繋ぎ繋がれ、最後の看取りまで共に在らせてもらう経験をしました。
これは地域とのつながりを活かした地域活動だな、とメンバー同士で確認し合いました。
コミュニティナース、という、地域を舞台に地域を元気にする活動。オレンジでは2017年から取り組んでいます。
看護師だから、という線引きはせず、地域の人たちの心と身体の健康・元気を願っているメンバーがそれを名乗ります。
学生のコミュニティナースインターンの育成も行ってきました。
地域や暮らしの中に入る、地味で繊細な活動です。
しっかり継続していきたいと思います。
医療者が街に出てることに酔ったりせず、謙虚に、医療は時に人を傷つけてしまうことも自覚しながら、丁寧に福井のコミュニティナースを継続し育てていきたいと思います。
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