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#15 WEリーグ開幕

日本初の女性プロサッカーリーグ「WEリーグ」が9月12日、開幕しました。

リーグはその理念について、こう謳っています。

「女子サッカー・スポーツを通じて、
夢や生き方の多様性にあふれ、
一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する。」

コラムニストの、えのきどいちろうさんは15日の新潟日報のコラム「新潟レッツゴー!」を、「12日、SNSを眺めていたらこんなコピーが目に飛び込んできた。DAZNの告知ツイートだ。『今日、日本の女性の職業が一つ増えた。』」という言葉で始め、「楽しみがまた一つできた。」)と締めくくっていました。

初めての女性サッカープロリーグが、そしてアルビレックス新潟というクラブ・選手がどう成長し、それにより地域・社会がどう変わっていくのか。まさに楽しみですね。

さて、その開幕戦ですが、アルビレックス新潟レディース(アルビL)はAC長野パルセイロ・レディースに1―3で敗れてしまいました。私は仕事があったため、デンカビッグスワンに到着したのは前半20分ごろでした。その時点で1―2とリードされていて驚きましたが、逆転を信じて応援しましたもののかなわず。残念でした。

試合を見ていて私は、一歩一歩の出足が少しずつ遅れ気味で、相手選手や味方選手との距離感もいま一つつかみ切れていないような感じを受けました。試合後、MF上尾野辺めぐみ選手は次のようにコメントしています。

「球際の攻防だったり、相手がドリブルを仕掛けてきたときに、いつもなら一歩二歩出るようなところがなかなか出てないなというのは前半から感じていた。しっかり先制点を取って流れを作っていきたかったが、相手もそう簡単にはやらせてくれないし、今日は本当に難しい試合だった」(新潟L公式HP)。

ご存知のようにアルビLは、選手に新型ウイルスの陽性者が出たため8月21日から約2週間活動を休止し、全体練習が再開できたのは開幕戦の1週間前、9月5日のことでした。選手のコンディションが万全ではなかったのは明らかでした。

この試合で得点を挙げたDF北川ひかる選手について、新潟日報は「『「情けないし、サポーターの皆さんに申し訳ない。悔しいしか出てこない』。DF北川の頬を悔し涙が伝った」と書いていました。

北川選手は開幕戦の前日、インスタで「明日WEリーグが開幕します。特別な日です。新潟の選手として、そしてビッグスワンでその日を迎えられることを嬉しく思います。全員でひたむきにアルビレディースらしく闘います!応援よろしくお願いします」と綴っていました。それだからこそ敗戦の悔しさは相当なものだったのでしょう。

でも、「サポーターに申し訳ない」と謝る必要などありません。最後まで走り続け、攻め続けた選手たちの姿からは「絶対に逆転する」という強い思いが伝わってきました。それぞれの選手たちの個性あふれるプレーの数々は見ていて楽しかった。

闘志あふれる北川選手やMF滝川結女選手のプレー。存在感抜群の上尾野辺選手。終盤に投入された180センチの長身DF浦川璃子選手がパワープレーでFWに入った時のワクワク感。新加入選手では、MF茨木美都子選手が、日体大時代の昨年7月に負った右膝の前十字靱帯断裂という大けがを乗り越えデビューを果たしました。

何といってもFW道上彩花選手はエースの風格が漂い、「やってくれる」という期待感がさらに高まりました。ポストプレーや前線からプレスをかけ続けるスタミナに加え、スピードもあります。後半86分頃の、MF園田悠奈選手のFKを頭で合わせたシュートは、相手GKの好守に阻まれましたが、打点の高さ、強さには惚れ惚れしました。他の選手らのプレーを含め、敗れたとはいえ「また次も見たい」と感じさせられました。あの日、スタジアムにいた多くの方々が、そう思われたのではないでしょうか。

    ◇       ◇

WEリーグには11チームが参加し、2回総当たりで戦います。新潟日報の「WEリーグ開幕特集」(スポーツモアで見られます)によりますと、「前半最終の第11節を12月4日に行い、約3カ月の中断を挟んで来春に後半戦を再開する。最終節は来年5月21日か22日。当面は成績によるリーグ降格は行わない」ということです。

まだまだ道のりは長いです。焦ることなく、コンディションを徐々に上げて、目標の「トップ3」へ「突進」してほしいと思っています。

次節は9月20日にアウェーで大宮アルディージャVENTUSと対戦し、第3節は26日にデンカビッグスワンで、ちふれASエルフェン埼玉と戦います。開幕戦に続き、J2のアルビレックス新潟のホーム戦の翌日開催です。ともにアウェー戦で勝利してホームに戻り、ダブル連勝といきましょう。

村松大介監督は、開幕戦後「1400人以上ものサポーターの方にお越しいただきましたが、皆さまに喜んでもらえる結果にはならず、また内容についても満足いくものではありませんでした。しかし、選手たちのこれまでの努力はこれから試合を重ねるにつれて必ず現れていき、皆さんに楽しんでいただけるサッカーをお見せできると思いますので、引き続きスタジアムに足を運んでいただければと思います」とコメントしています。多くのサポーターが訪れるといいですね。

    ◇       ◇

WEリーグには11チームが参加していますから、毎節5試合が行われ1チームは休みとなります。開幕節はジェフユナイテッド市原・千葉レディースの試合がありませんでした。行われた5試合を、観客数の多い順番に並べると下のようになります。

I神戸 (5―0)大宮V(ノエスタ) 4123人

東京NB(1―2)浦和(味フィ西)  2427人

マイ仙台(0―0)N相模原(ユアスタ)1741人

新潟L (1―3)AC長野(デンカ) 1423人

EL埼玉(0―0)S広島R(熊谷陸) 1390人

  合計1万1104人   平均2220人

新リーグの幕開けとしては、観客数は全体的にちょっと物足りない感じでしょうか。WEリーグは春に始まり秋に終わる「春秋制」のJリーグなどと違って、秋に始まって春に終わる「秋春制」で行われます。11チームのうち降雪・寒冷地に本拠地を置くのは、新潟と長野、仙台くらいで、あとは6チームが関東、他に神戸、広島です。

リーグとして、どうファン層の掘り起こしをするのか。たとえば秋春制でいえば、アルビLの前半の最終戦は12月4日に新潟市陸上競技場で行われます。寒い中、屋根のない市陸に女性ファンや女の子たちに来てもらうにはどうするのか。参加チームの地域的な偏り等も含め、課題は少なくないように感じます。

でも、理念はとても素晴らしいですし、冒頭で紹介したように「女性の職業が一つ増えた」ということは、新潟にとってもいいことでしょう。WEリーグの試合はDAZNで放映され、新潟駅南口からビッグスワンに行くシャトルバスも充実されました(私はキックオフと同時刻に新潟駅南口を発車するスポーツ公園行きの最終便に乗ることができて助かりました。乗客は私一人でなんか申し訳ない気がしましたが…)。スタジアムグルメも充実されました。

これも、プロリーグになったからこそでしょう。地域で盛り上げていきたいですね。

そんな中で、ちょっと気になったのは、アルビレックス新潟の公式ツイッターが、WEリーグの開幕前日や当日に何のメッセージも発しないどころか、アルビLのツイートのリツイートさえしなかったことです。

私は、アルビレックス新潟は、サッカー、スポーツを通じて地域を盛り上げ、元気にし、新潟のスポーツ界を引っ張っていく存在だと思っています。だからこそ、同じサッカーの女子プロサッカーリーグが誕生し、同じ「アルビレックス」を冠するチームがその開幕戦を迎えたのですから、何らかのツイートが欲しかった。

以前から、J2アルビの公式ツイッターは「いったい誰に向けた、何のためのアカウントなのだろう?」と感じることがままありました。広報の方々がお忙しいのは想像がつきます。でも、ほぼ「自分たちに関すること」だけを発信していては、アルビサポーター以外の、アルビやサッカー、スポーツにあまり興味のない人には届かず、「新潟のインフラになる」ことはなかなか難しいのではないか、と思います。

アルビを愛し、アルビは新潟のスポーツを引っ張っていく存在だと信じ、「インフラ」になってほしいと願うからこそ、あえて書かせていただきました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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