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#20 道が開ける事を信じて

「目標への可能性が残る緊張感のあるゲームを1試合でも多く仲間と戦い、楽しみ、勝利し、サポーターと共に熱狂したいです。厳しい現状なのは確かですが、諦めた選手は1人もいません。アルビの誇りをかけて、新潟の為に、次も自分の全てを出して闘います。その先に道が開ける事を信じてやり続けます」

noteを始めて20回目となりました。今回はまず、アルビレックス新潟の背番号20、島田譲選手の言葉を、島田選手のインスタから紹介させていただきました。タイトルも、ここからいただきました。

アルビレックス新潟は10月3日、アウェーで金沢と対戦し0―1で敗れました。これで4位に後退し、2位に下がった京都との勝ち点差は10、首位の磐田との差は12となりました。残り10試合で、状況はさらに厳しくなってしまいました。

島田選手は、それでも「諦めた選手は1人もいません」と書いています。「目標への可能性が残る緊張感のあるゲームを1試合でも多く仲間と戦い、楽しみ、勝利し、サポーターと共に熱狂したいです」「アルビの誇りをかけて、新潟の為に、次も自分の全てを出して闘います」といった言葉の数々は、私たちに「諦めずに戦い続ける」ための大きな力を与えてくれ、うれしくなります。

もう一人、田上大地選手はインスタで次のように書いています。「伝えたいことはたくさんあって、選手として応援して頂いてる皆様に何を伝えたらいいか悩んでますが、とにかく俺は、目の前の試合にどれだけ本気で準備して、どれだけアルビの為に本気で戦えるかが全てだと思ってます。信じない限りは奇跡なんか起きない。勝った時のみんなの笑顔が見たいから、俺は誰よりも戦います。華麗なプレーは出来ないけど、自分らしく泥臭く戦います」。島田選手や、飾らない、自分の思いを素直に表現した田上選手の言葉を読み、目頭が熱くなります。

2人は、これらの言葉の前に、インスタを同じように書き出しています。「アウェイ金沢まで駆けつけ、ホームのような環境でプレーさせてくれたサポーターの皆さん。ありがとうございました。そして申し訳ありません」(島田選手)、「アウェイ金沢まで多くのファン、サポーターが駆けつけてくれて、まるでホームのような雰囲気を作って頂き、本当に感謝しています! そして、その期待に結果で応えられず申し訳ありません」(田上選手)。

アルベルト監督もツイッターに「タジアムやテレビにて応援してくださりありがとうございました。これだけ多くのチャンスを作りながらもそれをゴールに繋げられないのは本当に悔しいです。申し訳ありません。辛い敗戦でしたが、最後の最後まで全力で戦い続けることをお約束します。なぜならば、我々は新潟の名を背負っているからです」と書き込んでおられました。

アルベルト監督や島田・田上両選手だけでなく、チームの全選手・スタッフの方々がそう思っているに違いありません。でも、「申し訳ありません」などと謝ってほしくない。多くのサポーターの方々がそう思うのではないでしょうか。新潟のことを思い、「新潟の名を背負って」戦い続けてくださりありがとうございます。「その先に道が開かれることを信じて」、共に戦い続けましょう。

     ◇     ◇

さて、その金沢戦ですが、シュート数は新潟の15に対し金沢は3でした。圧倒的に攻めながらの敗戦でした。降格圏に沈んでいた金沢の、ホームで絶対に勝つという執念が実ったと言えるのかもしれません。でも私は、アルビの「勝ちたい気持ち」が金沢より劣っていたとは思いません。それは、試合中の選手たちのプレーや、試合終了後にピッチに倒れ込み、悔し涙を流した姿を見れば明らかです。

では、なぜ敗れたのか。

フリーライターの大中祐二さんは、ニイガタフットボールプレスの金沢戦レビューで「試合で明らかになったのは、8分に先制され、残留のために守備を固めた相手のゴールをこじ開ける力が、今のチームにはない、ということだった」と書いています。

一方で、新潟日報のコラム「昇格原稿を書きたいんじゃ」では、J3の今治がシュート20本を打ちながらPKの1点にとどまり、シュートを2本しか打たせなかった岐阜に1―2で敗れた試合を引き合いに出して次のように書いています。「数字上、可能性のあることは起こり得る、とも思った。シュートを2本打たれて2失点する。あり得ることだ」。

その上で「金沢戦(3日)に敗れ、新潟のJ1昇格は厳しくなった。だが可能性のあることは、起こり得る。あきらめるわけにはいかない。何より残り10試合、勝てずに自分たちの手で可能性をなくしていくことは避けたい。このチームが勝ちを重ね、どこまで到達できるのか、見ていたいのだ」と締めていました。

大中さんはニイガタフットボールプレスでも「積み上げてきたスタイルで、どこまで行けるのか。高みを目指して残り10試合、攻め続け、勝ち続けるのみ。シンプルな話である」と書いていました。チームには、攻め続け、勝ち続けてもらいましょう。

    ◇     ◇

チームに勝ち続けてもらうために、スタジアムで私たちができることは何なのでしょうか。声を出せない、チャントも歌えない現状においては、大きな拍手、手拍子を送って選手たちを後押しするしかありません。「良いプレーには拍手を、ミスをした時には次のいいプレーを期待してもっと大きな拍手を」送る。ため息少なめの、選手たちが楽しく、躍動できるスタジアムの雰囲気をつくりあげることが、一番だと私は思います。

もちろん観戦、そして応援のスタイル、スタンスは人それぞれで、それぞれの人が自分のスタイル楽しむことがスタジアムを良い雰囲気にし、観客増にもつながっていくのだと思います。そして、ここぞという時に、スタジアムが大きな手拍子で包まれたとき「何か」が起きる。4万人でスタジアム埋まったころ、私たちは「代打リマ」でそれを体験しました(ご存じない方はYouTubeで「代打リマ」で検索してみてください)。あの時のような雰囲気が再び味わえる日が来るといいですね。

一方で、今は声を出して応援ができないのでほとんど聞くことはないですが、やじや暴言、誹謗中傷はあってはなりません。ところがSNS上では、アルビが負けた時などに、これを見かけます。誹謗中傷により、女子プロレスラーの木村花さんが自らの命を絶ってしまいました。決して許されません。

暴言や誹謗中傷に近いヤジはスタジアムの雰囲気を悪くし、それが嫌でスタジアムに足が向かなくなる人もいます。選手のやる気をそいだり、周りの人たちを不快にしたります。それはネット上でも同じです。

ネットでアルビや選手たちへの誹謗中傷やそれに類する書き込みがあった場合、アルビにあまり興味のない人は、ますますアルビへの興味をなくすかもしれません。何より選手たちもSNSを利用しています。モバアルZの広報ダイアリーで、谷口海斗選手はSNSを見る習慣があるけれど、金沢戦直後からしばらく見ないようにしていたと紹介されていましたいいます。その理由は「厳しいコメントに触れたくなかったこともあるようですが、『次に向けて気持ちを切り替えなければというときに、あの試合に関する動画を見ると、気落ちしてしまいそうで』ということが、大きな理由」といいます。

プロ選手も一人の人間です。子供に対しても、職場の同僚や後輩に対しても、スポーツ選手にも、審判にも、私は一人の人間として「リスペクト」することが大切だと思っています。もちろん私たちも人間です。つらい敗戦には愚痴をこぼしたくなります。それはそれでいいと思うのですが、相手を含めたチームや選手、審判に対して暴言や誹謗中傷などは決してしてはいけないのです。

体罰や暴言を受け続けると、子供の脳の発達に影響を与えるといわれています。福井大学の友田明美教授は「『生まれてこなければよかった』『死んだほうがましだ』など,暴言を受け続けると,聴覚に障害が生じるだけでなく,知能や理解力の発達にも悪影響が生じることも報告されている。言葉の暴力は,身体の表面には傷をつけないが心や脳に傷をつけることを看過してはならない」と書いておられます(日本心理学会ホームページより)。

この夏、「スポーツの世界から暴力をなくす30の方法」(編者・土井香苗+杉山翔一+島沢優子、合同出版)という一冊の本が出版されました。「もう暴言もパワハラもがまんしない!」という副題がついたこの本は、「暴力は、一種の指導方法として日本のスポーツ界に深く根付いている」とし、「日本な危険な悪しき慣習をなくし、子どもの権利・安全・健康をまもる社会のしくみ・方法を提案」しています。

スポーツジャーナリストの島沢優子さんの序文の一部を、少し長いですが引用させてください。

―ミスをしたから、試合に負けたから、弱気なプレーだったからなど、いかなる理由があっても、叩いたり、げんこつをくらわしたり、髪を引っ張ったりする暴力を振るってはいけません。「へたくそ」「バカ」といった暴言も暴力です。このようなスポーツの暴力は、子どもを委縮させ、脳にも悪い影響を与えます。楽しくないばかりでなく、上達も期待できません。

―なぜなら、コーチに叩かれ、怒鳴られて頑張る選手は、そんな刺激がなければプレーできなくなります。それは「一発学習」と呼ばれます。一瞬上達するけれど、本当の強さではありません。逆に、小さな変化でもそれを認め、自ら子どもに考えさせる「強化学習」を取り入れた指導を受ければ、主体的なアスリートになります。アスリートにとってもっとも重要な「成長し続ける力」を手に入れることができるのです。

―そのためには、スポーツの世界から暴力をなくさなくてはいけません。

この本について、小学生が参加する「監督が怒ってはいけない大会」を6年にわたって開催し続けているバレーボール元前日本代表の益子直美さんは、「スポーツ界の未来のための本! すごく具体的に書いてあります。 帯と共に、私の体験と『監督が怒ってはいけない大会』のことも書いて頂きました」とツイッターで紹介していました。イラストや図も多く使われていて読みやすいです。興味のある方は是非読んでみてください。

   ◇    ◇

さて、アルビレックス新潟の次戦は9日にホームで山口と戦います。その翌週はの16日に現在3位の長崎との敵地での大一番を控えます。山口は現在17で降格圏の19位との勝ち点1差ですから、残留へと死に物狂いでくるでしょうが、絶対に勝ちましょう。

田上選手は「チームも今週末の試合に向けて練習がスタートしました。準備こそ全て。山口戦、観に来てください!」とインスタで書いていました。「目標への可能性が残る緊張感のあるゲームを1試合でも多く仲間と戦い、楽しみ、勝利し、サポーターと共に熱狂」(島田選手)するために、多くの方々がデンカビッグスワンを訪れ、選手たちを後押ししてくれることを願っています(かくいう私は10月のホーム2試合とも仕事で行けません。申し訳ありません)。


今回は、暴言問題などを書いたため、長くなってしまいました(体罰などについては、そのうちゆっくり書こうと思っているのですが、いつになることやら、です)。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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