口腔内写真の撮り方|5枚法(9枚法)の設定解説
こんにちは松島です
兵庫県で歯科医師しています。
普段公式HPの方で歯科医師・衛生士の方向けに記事を書いているのですが、Twitterやnoteの方でも口腔内写真に関する情報を発信していこうと思ってこのように記事を書いています。
今回は中でもよく先生方から質問されることの多い口腔内写真の設定について解説していこうと思っております。
規格写真を理解する
まずは設定について紹介する前に、口腔内写真において非常に重要な要素【規格性】について解説していきます。
この規格性を無視して設定しても口腔内写真はあまりうまくならないのでここを理解してください。
規格性とは同じ画角・露出で撮るための方法
規格性のある口腔内写真を分かりやすく説明すると
・誰が撮っても
・いつ撮っても
全く同じサイズ感・明るさ・色あい で撮れることを言います。
つまり、撮る人ごとにもしくは撮る日ごとに写真が変わってしまわないことが重要です。
▽規格性の高い口腔内写真のサンプル
歯のサイズ感も重要ですが、明るさのばらつきや色のばらつきも少ないことが分かると思います。
規格性のある口腔内写真を撮っていれば治療の前後の比較が行いやすく、変わったものと変わっていないものが明確になり、診断が非常に行いやすくなります。患者さんに見てもらった際にも変化を感じてもらいやすいと思います。
▽別の患者さんでの規格性の例
また規格性をもって写真を撮ると別の日に撮られた別の人の写真も同じように比較することができるので、クリニックの口腔内写真の統一感も出て症例写真を提示する際にクオリティが高く見えます。
このように口腔内写真においては規格性が高いことが非常に重要になると考えております。
そして、規格性の高い口腔内写真を撮る上で重要なのがカメラやレンズの設定という所になるので、それを意識してこれから設定について解説していこうと思います。
口腔内写真は設定が9割
まずは口腔内写真5枚法に関して、設定が必要な項目をまとめてみました。
カメラの設定
・Mモード
・f値
・シャッタースピード
・ISO感度
・ホワイトバランス(WB)
・その他設定項目レンズの設定
・(焦点距離選び)
・AF/MF切り替え
・撮影倍率設定ストロボの設定
・(ストロボ選択)
・TTL / Mモード 切替
・光量設定
1. カメラ設定
カメラの設定が最も多い項目になりますので解説していきます。
基本的にはカメラには明るさの設定に関係する要素が3つあります。
それがf値,SS(シャッタースピード),ISO感度
この3つを調整して撮れる写真の明るさの調整を行います。
まずこれを設定するのですが、それらを全て任意の値にするためにモードダイヤルをMにあわせてください。
その上で各項目を以下の写真をイメージして合わせてください。
f値:20-25
ss:1/160-200
ISO:200
これをベースにしながら明るさなどを見て変更します。
それぞれの設定の意味は今はもう理解しなくてOKです。ひとまず設定を真似してください。
WBはK指定で微調整
続いてはホワイトバランス(WB)
写真の色味を決める要素ですが、これは口腔内写真においてかなり重要な項目です。
通常はオート(AWB)になっていますが、このままでは写真を撮るたびに歯の色や歯茎の色が変わって安定しません。変更してやる必要があります。
設定するのはKモード(ケルビン指定モード)
その上でストロボやレンズによって微調整をする必要があります。
基本は5200Kにしていただいて、
写真が青すぎる→数字を大きく
写真がオレンジすぎる→数字を小さく
していただけたら大体良いかと思います。
ご自身の見られるモニターもしくは技巧士さんの作業するモニターで理想的になるように数値を調整してみてください。
以上でほとんどのカメラの設定は終了です。
それぞれのカメラ毎に修正するべき設定もありますが、ここでは省きます。
2. レンズ設定について
カメラの設定が済んだらレンズについてです。
レンズはまず焦点距離を選択する必要がありますが、今回はそれは省略します。焦点距離について理解したい方はこちらの記事をご覧ください。
適切な焦点距離のレンズを選んだと仮定して設定項目を説明します。
まずはAFとMFについて。
レンズのピント合わせはカメラのシャッターボタン半押しで自動的にピントを合わせるオートフォーカス(AF)と、レンズのピントリングを回してピントを合わせるマニュアルフォーカス(MF)に分かれます。
基本的にはAFでピントを合わせていただく方が簡単ですが、口腔内写真においては最初にお話ししたように規格性が重要になります。
規格性の高い口腔内写真を撮るには【毎回同じ距離から写真を撮る】必要があるので、MFを使用して撮影距離を固定してやる必要があります。
AF / MFの切り替えはレンズにスイッチがある場合はそちらを使っていただき、ない場合はカメラの設定項目からAF/MFを切り替えてください。
続いては倍率の設定をします。
倍率の設定は従来通りのマクロレンズを使用されている先生であればレンズの窓に距離指標があるのでそれを使っていきます。
倍率は1:2くらいが口腔内写真を撮るのには良いとされていますが、それにこだわらず、先生方がこの距離で毎回撮ると決めた数値にしていただくので良いと思います。
デジタルの写真はトリミングが可能なので、取った瞬間に完璧な画角よりは少し広めで余裕をもって毎回撮るくらいでちょうどいいと思います。
レンズの距離指標のないレンズも最近では増えてきていますが、その場合はまた別の工夫で規格性を確保するようにします。
※こちらは独特な方法なのでカメラ毎のマニュアルをご利用ください。
以上でレンズの設定は概ねOKです。
3. ストロボ設定について
最後にストロボの設定に移りましょう。
ストロボは用途に応じてツインストロボとリングストロボの種類の選択をしていただく必要があります。
今回はどちらにでも使える要素を説明します。
ストロボというのは口腔内写真を撮る瞬間に光って、歯に光を届ける機材なのですが、その光の強さを決める必要があります。
TTLというストロボのオートモードとMモードという自分で光の量を決めるモードがあります。
基本的にはMモードで理解していただいている方が幅広い機材で使用でき、応用が利くのでそちらをご利用ください。
その上で光量をきめましょう。
ストロボの光量はMaxを1/1としてそこからどれだけ強さを落とすかで表現されます。
ストロボの光量は機種によってまちまちですが、基本的には口腔内写真における機材でいえば1/4を使っていれば十分なことが多いです。
そこから暗いと思ったらより強く
明るすぎると思ったら少し弱く
これでOKです。
あまり光量を大きくすると電池の消費量が大きくなりすぎるので、1/2を超えるようであればカメラの設定を見直すようにしましょう。
以上でカメラの設定は終了です。
また実践編については記事にしようと思います。
もしも口腔内写真の機材で良いものがないかと探されている先生はこちらのHPもご確認ください^^
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