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俺は変われるのか【舌癌寛解近し④】
顎骨壊死
故事成語みたいだがこれは病名である。
字面だけでも既に怖いが、私はこの病気に怯えながら過ごしている。
舌癌再発時、患側の顔面左下を中心に放射線を70Gyまで照射したわけだが、その照射の際にどうしても放射線が顎骨と歯に当たってしまうのだ。
結果、放射線のダメージを受けた歯は虫歯になりやすく、顎骨はトリガーがあれば壊死してしまうという状況である。
この顎骨壊死のトリガーだが多くの場合は抜歯を契機に発生する為、私は一生一本たりとも抜歯は不可だ。
舌癌再発治療後、私は歯のケアを疎かにしてしまった為、照射した側の歯は見事に虫歯になり、しかも一部の歯の根は炎症をおこして膿を溜め、その歯茎にはフィステルをも形成していたのだ。
以上の症状の為、舌癌発症時に大学病院への紹介状を書いて頂いた歯科へ久々に訪れた。
歯の治療をサボっていたので訪れづらいが、私はこの歯科医しか信頼出来ないので少し覚悟を決めて予約を取り来院した。
尚、こちらの歯科医は口腔外科指導医・専門医でそれ相応に技術も確かである。
歯科医「久々だね。今もまだ経過観察中?」
私「はい。半年に一度福島の病院へ通っております。」
色々と会話をしながら、歯科医は私の首を触診したり、舌を触ったりした。
歯科医「歯なんだけど、何本が虫歯になっているんだよね。ご存知かとは思うけど〇〇さんは放射線治療で顎の骨にダメージがあって、抜歯をすると壊死を生じ易い状態なんだよね。なので抜歯はせずに時間はかかるけど歯の根の治療をやっていって、酷い虫歯に関しては根元を残して根元から上の部分は全て削る方法でいきますね。」
これからまた暫く歯医者通いが続きそうです。
本当に俺は変われるのか。