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享受しすぎ|「ファミレスを享受せよ」
主人公は、満月の夜にファミレスへ足を運ぶ。アイスとドリンクバーを注文した後、試験勉強のためにノートを広げる彼女だったが、気づいたらさっきまでいたファミレスとは似て非なる異空間に飛ばされていることに気づく。そこには、今は亡き国の王様といった個性的なメンツが席に座っている。彼らは主人公と同様に異空間に飛ばされており、長い人は数万年ほど、このファミレスを享受していると言う。そんな人たちと交流を深めながら、異空間からの脱出を目指す主人公。そういう話。
物語のラストで、異空間に飛ばされる条件がほんのり明かされるシーンがお洒落で好き。なんだかんだで主人公たちは現実世界に戻ってくるのだが、主人公が、異世界に飛ばされたメンバーの一人:ガラスパンとファミレスで落ち合って、現実に戻ってきた後の近況報告をしている。ガラスパンが後から入ってきて、一つ二つ注文を済ませた後、念入りに「エビは入っていませんよね?」と店員に聞く。異世界に転送される条件は、ある特定の時間帯で、特定の店で、特定の注文をオーダーすることだったんだけど、「エビは入っていませんか?」と言うことが、その条件の一つだったのだ。物語の導入時に、主人公はアイスクリームを頼んだ後にそのことを店員さんに尋ねるのだけど、そのちょっと違和感のあるシーンが伏線だったことが明かされる。伏線って、回収されるのが後になればなるほどいいよね。なんでなんだろうね。
後、王様もいいキャラしてるんだよなー。この王様が、ある重要人物に超好かれるんだけど、その気持ちが分かる気がする。なんか包容力があるし、ある日異空間が水浸しになった時のことを回想して、「ぷかぷか浮かんでいることしかできなかったなぁ」とちょっとズレた発言をすることとか、愛嬌があっていいんだよな。
トゥルーエンドの後に、後日談や、裏設定が語られるメニューが解放されるのも個人的にはめちゃくちゃ嬉しい。私は「後日談と考察は想像にお任せします!」で終わる物語を読み終えた後は、「畜生!」と思いつつ考察サイトに直行してしまうタイプのアホなので、結構丁寧に語られるのが嬉しかった。これってSwitch版みたいな有料版じゃないと見れないんですね。フリゲー版しかプレイしたことない人は是非有料版も買おう。結構嬉しいぞ。