結局内輪ノリが一番楽しい「オタク用語辞典 大限界」著:名古屋短期大学小出ゼミ

「最新のオタク用語が分かる!」と銘打たれた、主にオタク界隈が使う言葉とその解説がされてある、オタク向けなのか、それともオタク界隈という深淵を覗きたい非オタク向けなのかいまいちよく分からない、面白れー本。Twitterやニコニコで使われる、全てのオタク共通の広い用語解説から始まり、K-POP、スプラトゥーン、ファイアーエムブレム、プロセカといった狭い界隈の用語が章区切りで説明されていく。個人的には、気になる章が多めにあってちょっと嬉しかった。逆に、全然違う界隈にいる人たちにとっては面白いと感じる要素が少なくなるだろうから、購入する前にはどういう章があるのかを確認しておいた方がいい気がする。

読んでいて面白いなと感じたことの一つとしてあるのは、あるコンテンツを体験した時に感じた気持ちや要素に「あれ名前ついていたんだ。。」ってなる時だ。特にファイアーエムブレムではそれが顕著に感じた。FEをファイヤーエンブレム等と誤った言い方を指摘する人たちのことを「エムブレム警察」、風花雪月に登場する喋り方が特徴的な死神騎士には「逸楽」など、FEを体験した人ならニヤニヤ(あるいは鬱々と)してしまう用語が盛りだくさんで面白かった。他の章と比べてかなりページ数が割かれていたので、この本を出して小出ゼミに、かなりどっぷり漬かったFEオタクがいたのだろうと思う。絶対「ルナクラは基本」とか言ってる(偏見)。

内輪ネタ、内輪ノリって、その内輪にいる人たちからすればめっちゃくちゃ楽しい。往々にして、その輪が小さいほど。内輪ネタで盛り上がるために教養を身に着けてるまである。でもそれって、はたから見るとサムいから敬遠されがちだ。でも、これは自分と辞書を編纂した人の二人だけで完結しているノリだから、かなり健全に内輪ネタで盛り上がれるのでオススメ。

一方で、自分にはあまり馴染みがないのだけれど、K-POPやドルオタへ向けた用語辞典を覗いてみるのも、サクっと異文化に触れられるので面白い。単体ではなく、グループなど、あるカテゴリ全体の人たちを推すことを指す「箱推し」、韓流(ハンリュウと呼ぶらしい)アイドルが新曲を発表して活動を再開することを指す「カムバ」等といった、それらの界隈に生息している人たちと会話する時に持っておくと嬉しいボキャブラリーが身に着けられるので楽しい。因みに、「カムバ」ってスプラの用語にもあるよね。界隈によって、同じ言葉なのに違う意味合いを持っていることもちらほらあるのもなんかイイネと思う。他に例をあげると、FEとプロセカで違う意味を持っている「エビ」とか。

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