TVアニメ勢はほんまにこれを読むか観て欲しい「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」「青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない」作:鴨志田一
すげー好きな展開が散りばめられた小説だった。
まずは牧之原翔子さんの設定が凄すぎる。普通にこの設定だけで一個の小説が書けるよな。翔子さんは未来から来た存在で、事故で命を落とす予定だった咲太の心臓移植を受けた人物。さらに、咲太の初恋の相手でありながら、彼を救うために未来から訪れた存在。そして、咲太を救うことで自身の存在が消滅する可能性を覚悟している。この設定の"重さ"がすごいんだ。。。
対して、咲太が自ら命を投げ出そうとする心理描写もいい。シリーズを通じての彼の言動から、その決断に至る過程に説得力があyyr、キャラクターの一貫性があるのがいいよね。
そして、起承転結の「転」でめちゃくちゃ落ちるのがすげー苦しくていい。「ゆめみる少女」のラストシーンで、トラックに轢かれようとしている咲太をかばって麻衣先輩が身代わりになる場面はめっちゃビックリした。サブヒロインである麻衣先輩の妹の、泣き叫びながらの非難がめちゃくちゃ痛々しかったし、そんな状況でも、咲太を心配して自宅を訪ねてきた双葉と男の友人(何て名前だっけ)。なんか、ゲーム版のシュタゲで誤った選択肢を選んだ時のバッドエンド的な展開の匂いがして、独特の緊張と魅力があってよかたt。あれからしか得られない栄養がある。
その後、麻衣さんの心臓移植を受けて再び未来からやってきた(←この展開いいよなぁ)牧之原さんとの再会の後、なんやかんやあって、麻衣さんが命を落とす数刻前の過去に戻ってくる。咲太と量子もつれの状態である古賀だけ咲太を認識できるという鮮やかな伏線回収で窮地を脱した後、「牧之原さんではなく麻衣さんを助ける」という苦しすぎる決断(←アツい)をした咲太は、今にもトラックに轢かれようとしている麻衣さんを突き飛ばして、事件を解決する。
その後のオチというか、意外で幸せな結末も、ご都合主義とは言わせない、すごく納得感のある締め方で気持ちよかった。
自分が小説家だったら、こういう綺麗すぎるお話を書いてみてぇよな、と思う。