衛宮くんはユーモアのセンスがない阿良々木くんである「Fate/stay night」作:奈須きのこ
冬木市では、「聖杯戦争」と呼ばれる大運動会がたまーに開催される。7人のマスターと呼ばれる魔術師と、それぞれの魔術師達が召喚し使役する7人のサーヴァントが、あらゆる願いを叶える力があるとされる「聖杯」を巡って戦われるという。
魔術師の養子として育てられた高校生:衛宮士郎は、ある夜、サーヴァントの一人であるランサーとアーチャーの戦いを目撃する。その後、なんやかんやあってランサーに襲われた士郎は、難を逃れるために自身のサーヴァント:セイバーを召喚してしまったことで、第5次聖杯戦争に巻き込まれることになる。
そんな衛宮くんの、物語の中での立ち回りが、本当にもう、あり得ないほどイライラする。基本的にマスターは敵対する関係なのに、そんな彼らでさえも命の危機に晒されたら救おうとしてしまう。セイバーは結構強いけど、自身は彼女の腰巾着くらいの性能なのに、とにかく何が何でも目につくもの全てを助けようとしてしまう。育て親:衛宮切嗣が「誰かを救うことは、誰かを救わないことだよ」みたいなそれっぽい台詞を言っているのに、当の衛宮くんは全然折れない。「いい加減折れろや」とプリプリしながら視聴を続けた結果、衛宮くんの崩さない愚直な姿勢にこっちが折れて、17話あたりで視聴を止めてしまった。
そんな風に、自身の器の小ささのせいで、Fateシリーズというクソデカコンテンツを楽しく享受できない自分に静かに凹んでいたんだけど、数日前、ある知人の一言にめちゃくちゃハッとさせられた。
「衛宮士郎って、ユーモアのセンスがない阿良々木くんだよね」
……た、
た、確かに。。。
言われてみればそうだ。士郎くんも阿良々木くんも実は、「目についたものは全てを助けたい」という、主人公らしい性質が共通している。しかし、士郎くんはユーモアのセンスが致命的と言っていいほどない。このことが、僕の中で二人の評価を二分しているのではないか、という考察が、その知人の口からもたらされたのである。
士郎くんも、阿良々木くんと同じ、超がつくほどのお人よしで、いいヤツで、主人公が持つ温かいオーラの持ち主なのだ。自身も力になりたいからと、セイバーに負けじと鍛錬を積むシーンなんか、めちゃくちゃいいし偉いじゃないか。さっきは誰々の腰巾着とか言ってごめんなさい。。
という訳で、自分が勝手に衛宮くんを嫌って、勝手に衛宮くんの見方が変わったので、もう一回視聴を再開してみようと思う。けど、主人公たるもの、流石にユーモアのセンスは持っていて欲しいので、これからのそういう面での成長にも期待したい。