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大きな弦楽器たち

※本エントリは マンドローネ Advent Calendar 2021 の11日目の記事です


関西でマンドローネという楽器を嗜んでいる石川と申します。
座右の銘は「大は小を兼ねる」です。初めて言いましたけど。

ヘッダ画像は先日エルマノ・マンドリン・オーケストラの久しぶりの合奏練習にて観測されたマンドローネ三つ巴です。なお奏者は2名しか居ませんでした。

大きいことは良いことだ

マンドローネは「大きなマンドーラ」という意味なのは世間一般にもよく知られておりますが、世の中には他にもたくさん大きな楽器があります。

いつかは「大きな楽器サミット」を開催したいなあと思いつつ、そんな各種大きな楽器をピックアップして並べてみました。キリがないので今回はアコースティックな弦楽器限定とします。

墓穴を掘りそうなので詳細な説明はWikipediaに委ねます。

本記事のノート番号は、中央ドを C4 とする国際式表記で統一しています。他にもオクターブの数字が1小さいヤマハ式とかあるようで混乱しました…

参考: マンドローネ(Mandolone)

英語版のWikipediaにも例のMandoroneの写真があるのですが、我々の知っているMandoloneの写真も掲載されていますね。

By unknown author - Original publication: Il mandolino a Brescia, a cura di Ugo Orlandi, edizioni Franciacorta 2002 (The mandolin in Brescia, curated by Ugo Orlandi, editions Franciacorta, 2002)Immediate source: http://www.alfonsotoscano.it/forum/subject.asp?Page=1&S_id=614&H_ID=36&pageid=2&show=1 , Fair use, https://en.wikipedia.org/w/index.php?curid=40144944 

マンドローネといえば、いらすとやさんに楽器単体と楽器を弾く男性女性のイラストがあることで有名ですね。ありがたいことです。

マンドローネを弾く人のイラスト(いらすとや)

最低音は4弦の A1 です。変則調弦の話は一旦置いておきましょうね。

コントラバス(Contrabass)

まずはマンドリンオーケストラでもおなじみコントラバス。いつもお世話になっております。超有名ですので細かい説明は省きますね()

By Bain News Service, publisher - This image is available from the United States Library of Congress’s Prints and Photographs divisionunder the digital ID ggbain.36391.This tag does not indicate the copyright status of the attached work. A normal copyright tag is still required. See Commons:Licensing for more information.,Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2820403 

最低音は4弦ベースであれば E1、5弦ベースであれば C1 ないし B0 らしいです(どちらが一般的なんでしょう?)

ちなみに英WikipediaのContrabassのページには他にもアホほど低音楽器が並んでおりましたが、見なかったことにしました。

マンドバス(Mandobass)

お次はマンドバス。バスマンドリンとも呼ばれます。先に上げたマンドローネを「高調マンドローネ」と呼び、こちらを「低調マンドローネ」と呼ぶ、という話もありますね。

恥ずかしながら、実物を見たことがありません。
誰かレポートしてくれないかな…? チラッチラッ

なお神戸大学マンドリンクラブはジェラのマンドバスを所有しているとのことです。今はどこにあるのでしょうか。いつかは会いに行きたいです。

調弦は4弦ベースと同様で、最低音は E1 です。

キタローネ(Chitarrone)

Wikipediaで “Chitarrone” で検索すると テオルボ(Theorbo)に飛ばされてしまいます。多分、キタローネというのは「大きなギター」程度の意味で、様々な大型楽器がこの名称で呼ばれていたのでしょう。知らんけど。

なお同志社大学マンドリンクラブにはこちらのキタローネがあります。

同志社大学マンドリンクラブ所蔵のキタローネ
手前にあるのは石川のMyローネ

いかにも「『ギターをでっかくしたら低い音が鳴るんじゃね?』と思って作りました」感がすごいですね。音量は出ないし奏法の幅も狭いためか、すっかりコントラバスに取って代わられてしまった模様(伝聞

フレットがあるのがおわかりでしょうか

こちらも調弦は4弦ベースと同様、最低音は E1 です。

ギタロン(Guitarrón)

お次はギタロン。ラテンアメリカ発祥の楽器らしいです。メキシコのマリアッチと呼ばれる少人数の楽団で使われてます。陽気ですね。

日本ではギター合奏などで見かけますね。ヴィオロンチェロのような構え方で弾くのは日本独特(英Wikipediaで「Niibori-style」なる表記を見ましたが由来がよくわかりませんでした… 情報求む ※追記参照)とのこと。

最低音はメキシコのものは A1、日本のものは E1 と調弦が異なります。

※12/11追記 Niibori-styleについて

からの流れでこちらのサイトを教えていただきました。感謝。

ギタロン(Guitarron)
「全ての音色をその大きなふところにつつみこむ。」
(略)
ルーツは南米ですが、ギターオーケストラ創始者の新堀先生がエンドピンを付け、立奏型に調弦を変え、単音奏にする等、根本的に大幅改良しました。

日本教育ギター連盟 石川県本部 むさし本院 / 金沢新堀ギター音楽院 様ウェブサイトより

そしてさらに

情報をお寄せくださった ロンさん根岸さん、ありがとうございました。

コントラバス・バラライカ(Contrabass Balalaika)

ロシアの楽器 バラライカ のでっかいやつです。イカした巨大三角形、インパクトは最高ですね!三角形のカドからエンドピンが生えてます。

北川記念ロシア民族楽器オーケストラ のコントラバス・バラライカ奏者である 広瀬様城戸様 のツーショット。絵になりますね~
(掲載依頼を快く承諾していただき、ありがとうございました!)

最低音は、こちらも4弦ベース同様の E1 です。
いつかは共演したいですね!

コントラバス・ドムラ(Contrabass Domra)

広瀬様とのお話ついでに、ロシアのもう一つの民族楽器ドムラにもコントラバスバージョンがあると教えていただきましたよ。おそらく日本には存在しないという言葉もセットで。

ライセンス的に適切な画像が見つかりませんでしたので、興味のある方はぜひ контрабас домраで画像検索 してみてください

最低音は、こちらも4弦ベース同様の E1 です。E1人気ですね。

ベース・バンジョー(Bass Banjo)

ギブソンいろいろ作ってますね!
American Banjo Museum に展示されているらしい。

By Jacqke - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=86939712 

Wikipediaによると、ギブソンのマンドバスと同様の調弦とのことで、これも最低音は E1 ということになります。

コンサートハープ(Concert Harp)

実はコンサートハープの最低音はコントラバスより低いのですね。

こちらも適切なライセンスの画像が見つけられませんでしたので、興味のある方は concert harp で画像検索 してみてください

最低音は C1 らしいです。

オクトバス(Octobass)

さて、ヤバいのが出てきましたね。
最近ブリュッセルフィルに登場したらしいですね。
ベルリオーズが作らせたとか?

By Orchestre symphonique de Montréal (Antoine Saito) - Orchestre symphonique de Montréal,
CC BY-SA 4.0,  https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=64790048

調弦は何パターンかあり、一番低いパターンの最低音は C0 とのこと。 
もはや人間の可聴域ではないという説も…

ネックの根元にあるレバーで操作することでフレットみたいに見える機構が押弦するらしいです。Buzzap!さんの記事で詳しく紹介されています。

大きさだけならギネスブックに載った巨大バイオリンの方がデカいようですが、こっちは楽器というよりはネタ枠ですね。

…と思ったらもっとデカいやつがシドニーにあるらしい。

番外: その他マンドローネ属

イタリアはフェラーラの合奏団 Orchestra a plettro Gino Neri は、不思議な楽器をいろいろ所有しているようです。写真はリンク先でどうぞ。

Mandolone basso、Mandolone contrabasso なる楽器の写真が掲載されています。今でも使っているのでしょうか?(試しにメールで楽団に問合せてみましたがまだ返事は来ません… 翻訳がアレで読めなかったかしら…)

最低音は不明ですが、おそらくコントラバスと同程度かと思われます。

番外: 八十絃(箏)

作曲家であり箏曲家である宮城道雄氏の考案した巨大な箏。これもいまいち音域が不明なので番外で。

残念ながらオリジナルは太平洋戦争で焼失してしまったとのことで、復元されたものが宮城道雄記念館に展示されています。

あとがき

アレが載ってない!などご不満がありましたら石川までご連絡ください。
慌てて追記します。多分。

本記事が、皆様の Next Gear 選びの参考になれば幸いです。


誰か「大きな楽器サミット」開催を手伝ってくれないかな… チラッチラッ

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