「東京都若年被害女性等支援事業」に対する公益に資する活動の成果
暇空氏を中心とした「東京都若年被害女性等支援事業」に対する公益に資する活動について濫訴、濫用といった根拠のない批判をしている不見識な人がいるようである。
しかし、本筋は裁判中にも関わらず一般市民による活動により既に公益に資する成果があがっている。
批判をしている人は現実を直視する必要があろう。
Ⅰ東京都配偶者暴力被害者等セーフティネット強化支援交付金の改善
令和5年度より当該補助金の対象及び資格条件の変更がなされた。パイロット事業から本格実施に伴う変更としているが、役所の慣行を知る者でこの言葉を素直に受け取る者は少ないであろう。
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Ⅱ 東京都若年被害女性等支援事業の改善
(1)補助事業化
事業執行の更なる適正化のため、令和5年度の東京都若年被害女性等支援事業は委託契約から補助事業に変更された。補助事業化により補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律が適用され、目的外使用禁止、補助金由来財産の処分や実績報告書が義務付けられた。委託契約時の「成果もないが都は事業プロセスのチェックもしない」という構図ではなくなった。
なお、「更なる適正化」は役所において不適切事項を責任を回避しつつ軌道修正する際に使用する常套句である。
(2)不適切な事業内容の改訂
令和3年度より夜間見回りとして「常設の相談所」が対象となった。アウトリーチの目的と整合せず「常設なのに週1回」と頻度規定も整合がとれない。若草プロジェクトのまちなか保健室をカウントするため都が恣意的に厚労省の要綱を改変したものと思われるが、令和5年の要綱からは削除された。
なお、colaboも仕様書や企画提案書のアウトリーチ回数未達の弁明としてこの条件を援用している。
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(3)経費のトレーサビリティの向上
令和4年度までは事業所要額の書式はフリーであり、トレーサビリティーが全く確保されてなかった。補助事業化に伴い事業項目ごと等の書式が設定された。一式計上のままといった不十分な点があるが前進である。
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(4)宿泊関係経費の透明性向上
令和4年度まで宿泊実態の真実性やトレーサビリティーの確保に程遠い様式が用いられていたが、以下のとおり大幅な改善が見られる。これが最初からできていれば、浅野川崎市議から二重払い疑惑が提起されることもなかった。また、短期シェルターとして2物件公金で手当したのに年間合計で52泊しか被害女性が宿泊していないといった不可解なcolaboの短期シェルター運営実態も把握できたと思われる。
2週間以上の宿泊女性のみ提出から1泊でも提出
宿泊女性氏名の記載(イニシャルへの緩和要件削除)
居場所名が記号等でも可から住所・居場所名の記載
10代等の曖昧な年齢記載の削除
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(5)日々の活動記録による活動の真実性向上
令和4年度までは活動内容の報告は四半期の一度の報告書のみであり、その書式も極めて簡素で日々の活動の証拠とはなりえないものであった。令和5年からは団体としての作業日報が義務付けられた。
ただ、団体単位であり他事業との経費の按分に使えないと共に、提出後返却する運用となっており、透明化にはほど遠い。提出された日報を返却する手続きに合理性もなく、住民開示請求逃れだと思われる。
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(6)経費の透明性確保と不適切な活動の防止
令和4年度までは受託団体が東京都に対して被保護女性の個人情報提供を拒み経費の使途が極めて不透明であった。川崎市の浅野市議が提起した自治体間の二重払い疑惑は個人情報での突き合わせができないことに起因する。令和5年度からは個人情報提供の誓約が必要となった。あわせて政治活動も禁止され、colaboが行った辺野古反対運動への動員のような活動も不可とし被保護女性の安全性が向上している。
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(7)不当に高価な支出の防止
裁判で係争中ではあるが、監査や再調査の結果を見るに「若年被害女性に紐づけられれば支出が認めらる」ような運用がなされており、地方自治法第2条第14項に規定される「最少の経費で最大の効果」という認識が感じられない。令和5年度からはキャップ等「公金の使途として常識的な支出範囲」が設定された。
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(8)R6年度事業の改善
令和6年度の事業でも、満額が認められていた概算払が7割に限定されたこと、家具等の耐久性のある備品が経費として削除されたこと等が改善された。
ただ、寄付金の1種である補助金と自治法の契約や検査条項が適用される条委託事業では、委託事業のほうが厳密な事業や経費の管理が行われる。本事業の場合は反対に委託事業時より補助金のほうが厳密であり、委託事業時の杜撰さを浮かび上がらせる結果となっている。住民訴訟でこの逆転現象の是非が明らかになるのを期待したい。
なお、他省庁の補助事業と比較すればR6の本事業でも管理は緩い。
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(9)不適切な備品購入費の返金
資産性の備品の購入額を委託費で全額計上した場合、発注者の所有となり事業後に発注者に返却する。この手続きは面倒かつ発注者も自身も使わない備品を納品されても困るため通常は事業期間のリースやレンタル代を計上する。しかしながら、東京都若年被害女性支援事業ではパソコン等の資産を全額事業費で購入し事業期間後も団体が無断で継続使用していた。今回令和3年~4年までの原価償却分を除いて返金した模様である。
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Ⅳ「公法上の契約に類する契約」の廃止
東京都福祉保健局では平成18年ごろから「公法上の契約に類する契約」と称した地方自治法や都の随契手続きを回避するためと思われる不適切な契約がなされてきた(違法性については裁判で争われると思われる)。特に東京都若年被害女性等支援事業では、「競争、予定価格、検査」といった適正価格で事業履行するための手段が尽く反古にされた。
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(1)平成18年の「公法上の契約に類する契約」の通知廃止
不適切な公法上の契約に類する契約の根拠となった事務連絡が廃止された。
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(2)契約事務の手引」の改正
福祉局(旧福祉保健局)が契約時に参照する手引から、「公法上の契約に類する契約」が削除され、同様な地方自治法・東京都規定を回避する契約はできなくなった。
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改訂された手引では新たな節を設けて令和4年度のような不適切な手続きをしないように注意喚起している。ただ、「令和4年度の課題確認により局内規定を整備した」のは事実と相違している。「令和4年度まで地方自治法や都手続きを無視した不適切な局内規定だったので改訂した」のである。問題を矮小化する記述になっている。
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Ⅳ 契約期間外行為への支払い見直し
令和4年度に東京都社会福祉協議会に7月6日に発注した研修事業について、契約工期外の研修も費用として認めるものとし、実際に4月に募集開始、7月1日に行った研修の支払いを行っていた。令和5年10月20日の東京都決算特別委員会で浜中都議が質問を行い、福祉局が是正を約した。(川松都議のライブ放送より)
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Ⅴ 違法な情報公開の運用是正
(1)恣意的な不開示決定の基準設定
暇空氏が行った令和5年東京都若年被害女性支援事業の補助金交付決定に関する資料の開示請求に対して東京都は不開示とした。この不開示に暇空氏は決定の取消及び国家賠償請求の訴えを東京地方裁判所に行った。事実関係を時系列で整理すると以下のとおりである。
R5.5.23 暇空氏が東京都若年被害女性支援事業の資料を開示請求
R5.6.19頃 東京都のサイトで補助金交付5団体を公表
R5.7.24 暇空氏の開示請求に対して交付団体が未決定を理由に東京都が不開示決定
東京都は既に交付団体を公にしているのにもかかわらず、請求のあった5月23日に遡って交付団体未決定だとして7月24日に不開示の通知を暇空氏に行った。東京都は裁判において開示基準日は行政の裁量で決定できると主張したが、裁判所は7月24日の不開示決定の判断時点が基準日とし、東京都の処置を違法とした。その結果、不開示の取り消し及び慰謝料等1.1万円の支払いを命じた。
この判決によって、東京都が国民の知る権利を蔑ろにする東京都の違法かつ恣意的な情報公開の運用にブレーキがかかることになるであろう。なお、今後東京都が控訴する可能性はある。
判決文はこちら
Ⅵその他
(1)オンブズマンの成果は?
「濫訴、濫用」と主張する人は、1年程度でこれだけの公益に資する成果を出したオンブズマンの案件を提示すべきであろう。もし、ないのであればオンブズマンはもっと酷い濫訴、濫用をしていることになる。
少なくとも私はそのようなオンブズマンの成果は知らない。
(2)特権意識
「濫訴、濫用」と主張する法曹関係者の意識は図らずもcolaboリーガルハラスメント会見の神原氏の言葉に現れているのではなかろうか。住民監査、住民訴訟、開示請求はオンブズマンの特権では決してなく、奢りと言わざるを得まい。
じゃあ彼らが例えば「行政の透明性を高めたい」とかね、そんな事の 目的でやってますかと、いう事でしょ?別に市民オンブズマンでも何でもないのにね。 市民オンブ ズマンとかそういう人達がやってるならまだわかりますよ。
更新履歴
2024/3/27 東京地裁の判決を受けて「Ⅴ (1)恣意的な不開示決定の基準設定」を追加
2024/4/14 ⅢR5東京都若年被害女性支援事業の改善で「(4)宿泊関係経費の透明性向上」、「(8)R6年度事業の改善」を追加
2024/12/11 Ⅱ(9)不適切な備品購入費の返金を追加