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サロンドパルファン2024の感想

去年は3日間も行ったのに、今年はもう1日も行かなくてええかのテンション。持病の副鼻腔炎をこじらせてここ数日嗅覚がミジンコ以下になっており、3日くらい香水をつけてないし、っていうか香水買うよりNISAでNASDAQ買ったほうが楽しいし……(価格の上下で胸がドキドキして恋みたいな気持ちが味わえるので)

知り合いが毎日缶ピースを一缶吸うヘビースモーカーだったのだが、「ある日突然、もう吸わなくていいかって思ちゃって」となり、明日吸うつもりで買っておいた缶の山が未開封のまま置いてあるらしい。
私もかつては狂ったように香水を購入しては注文の多い料理店も尻尾巻いて逃げ出すレベルで全身ビシャビシャにふりかけまくっていたが、「もういいか」の日は案外今日なのかもしれない。

サロパ2024購入品&ノベルティ

今日じゃなかった。いつかはやめるけど今日じゃないよ。
TLのお迎え報告を見てたら、死ぬ前に檻の中の調香師(そんな香水はない)買わなきゃ……って気持ちになったので、カスの嗅覚を携え伊勢丹に到着。

伊勢丹6階の催事場がどこにあるかわからんすぎて子供服売り場を3周くらいすることない? フロアを回遊させて商品をより多くの人々に見せたいんだろうけど、このエリアを見るたびに思うのが、例え自分が億万長者だったとしても子供にDIORのジャケットを着せたくはないということですね。誘拐されたり追い剥ぎに合うリスクが高すぎるから。えっそんなおねがい社長みたいな世界に生きてるのはお前だけだって? 早いとこ抜け出せよ神奈川一のゲットー


購入品

〈Hiram Green〉ディスカバリーセット7種 ¥11,000

これノーズショップで見たことある!(ってか商品にノーズショップのタグついてる)
リンゴみたいな丸いボトルが可愛くて、ずっと気になってたブランド。

今回はエディットからのお誘いで出展しているらしく、調香師のハイラムさん自ら接客されていました。英語で「どうですか?」的なことを聞いてくれて、「ナイススメル」「レジンイズユニーク」などの魂の英語で返答したが何とかなった。そう、ノートにレジンが多用されてて面白かった。
天然香料100%にこだわり、見た目通りの濃厚な香りが嗅覚ほぼゼロの自分にもガツンと感じられるほどのインパクト。
特にシャングリラがレモンとジャスミンのはちみつキャンディみたいなフレーバーでとても好き。
LUSHの香水が好きな人は好きなんじゃないかな。天然香料ブランドにありがちなクラシカルな風味、劣化の早い飴色ジュースの刹那的な輝きにドキドキしたい人におすすめ。

〈TOBBA〉 CLASSROOM CANDLE ¥13,750

ナスの色

EDITセレクションそのに。ビジュ(パッケージ)がよくてフラフラ近づいたら、こちらも創業者の方に接客していただけました。

香水はいずれも都会的な香りで、自分はローズ・オン・ザ・ショア(ローズ、ライチの葉、海のミネラル)が好き。
「グッドスメル」「アーバンテイスト」と魂イングリッシュを投げかけましたが伝わっていなかった。

ひときわ目を引く、クレヨンみたいなキャンドルを嗅がせてもらい、木・紙・ムスクの香りの「クラスルーム」という名前のキャンドルを購入。

私が知っている教室は、宿命的に染み付いたガキどもの汚い汗と木造建築の酸味に、上履きやボールのゴムの匂いが合わさった地獄だった。
集団でからかってきたりゴミを投げてくるサッカー部が本当に嫌いで、学校に行くのも嫌だが勉強に遅れるのはもっと嫌。あいつらを殺して懲役10年になっても20歳前後には出れるしな……と毎日考えながら登校していた。

きっとトバの彼らが過ごしたクラスルームは、このキャンドルが映す情景のように、風が爽やかに吹き抜け、鉛筆の音が心地よく響く健康な学び舎だったのだろう。この世のどこかに、そんな美しい教室があると思うだけで救われる。
このキャンドルを灯すことで、あの頃の魂を供養したい。

〈リベルタパフューム〉エスプレッソ ダブルショット ¥5,099

「今なら待ち時間無しです!」との呼び声に引き寄せられ参加。グリーンのボトル可愛い!!!!
もう二度と会えないと思ってた「ホイップクリーム」「」「スイカ」などの季節限定ベースが使えるのが太っ腹すぎて。

会場で泣くな

つかこのフラスコ形式……めっちゃビュリーや~~~!!
令和100年、おやさいシリーズがベストセラーになった世界線。

香料の選択肢多くてビビるけど、スタッフさんが1対1でついてナビゲートしてくれるのでサクサク作れます。
季節限定だった「梅の花」ベースがどうしても使いたくて、しかしあまりにも静かでかすかなこの香りを殺さない組み合わせが思いつかない……と思ったところ、「僕のオススメは竹、杉、ピンクペッパー、イリスあたりですね」とピックアップして嗅がせてくれて、イメージが定まった。

:こっくりした竹の密度を感じ、清涼感も大。人気も納得。ただサガノの詩に似てて、かつて33,000円も出してお迎えしたこいつを持て余した反省があるのでパス。
:スッキリ冷たいウッディ。梅林を通り抜ける細く冷たい初春の風のイメージにぴったり。
ピンクペッパー:今まで苦手だったけど今日好きになった。ふんわりした香りのコントラストをあげて輪郭を作ってくれるイメージ。
イリス:フローラル系の花弁を肉厚にしてくれる。高い。1650円。

梅の花、杉、ピンクペッパーに決定。「そんなササッと決めちゃって大丈夫なんですか?」と言われたけど、オススメが的確すぎたのでめちゃくちゃいい仕上がりでした。
冬の空気が残る中ポツポツと咲き始める、ひなあられのように小さい梅の花……赤い萼(がく)をつまみ上げると香る、少しの酸味と春の甘さ。

前回は6000円超えたけど、今回は5099円で作れた……
エスプレッソは好みの香りになるまで粘ってもいいけど、エイヤで選んで多少の博打感を味わうのが祭っぽくていい。

〈セルジュ・ルタンス〉ラドントゥーズアンカジェ/ 檻の中の調教師 50ml ¥19,800

何回も貼るけど、やっぱりルタンスが収監されてるこのPVが大好きなんですよね。

Diptyqueが新作の高いシリーズで芸能人を呼んでパーティーしたり、明治神宮前交差点のでかいディスプレイにCMを流し、「ディプティックだけはそんなことしないって信じてたのに…」と勝手に裏切られた気持ちになった今年の夏。一般人に「新作イベント来てね!」って呼んでおいてサンプルもくれなければ商品もその場で買えなくて、アイスとドリンクだけ買って食えよって何がしたいねん。(アイスは美味しかったです)
やたら薄味なのにラール並みのお値段(税込47,410円)、この値段の何割がプロモーション費用だよというガッカリ感。
有名調香師の起用をアピるんなら檻に入れてPV撮ってみろよ。

ルタンスの感想なのにどうして別ブランドの悪口を……??
いや、こうしてみるとルタンスは芸能人にポーズ取らせるでもなく、でかい広告を打つでもなく、ルタンス本人がイラストを描きムービーに出演し、それがブランドの世界観を揺るぎないものにしている。
自分は「いい香りをまといたい」ではなく「その香水がもつ世界観を纏いたい」に近いので、この一貫した売り方にありがたみを感じる。

あとサロパ特典のアトマイザーがクオリティ高すぎる。
7.5ml入る大きさなのでポーチで見失わない。ガワが金属で、持ったときのささやかな重みが嬉しい(かといってトラヴァーロほど重くはない)。ロゴが一つも入ってないのに一目でルタンスとわかる意匠。

50mlボトルを買うだけでこんなの貰って大丈夫なんですか!?(採算的に)
これは妄想だけど、経理部は最初プラスチックで5mlのアトマイザーに「SERGE LUTENS」ってロゴをババンと入れたものを作ったと思うんだけど、それを見たルタンスがブチギレてモロッコの自宅の暖炉に放り込んだんじゃないかな。
今年のサロパは各ブランドのノベルティ条件金額が軒並み爆上がりしていて(体感)、テンション上がらない要因の一つだったんですが、ルタンスの良さを再認識する良い機会になりました。

ルタンスの香りはどれも一貫して芯に独特の「冷たさ」みたいなものを感じるのですが、とくにラドントゥーズアンカジェは南国様の花々とその冷たさのコントラストが感じられて本当に好きです。
アトマイザーに移すときに殺人事件か?ってレベルで畳にぶちまけたけど部屋がいい匂いになってうれしい。

ルタンスの世界にもアクスタあるんだ

〈テオブロマ〉オードパルファン ミニボトルセット プティフール ¥15,801

ゲイシャコーヒーとモンブランの香りが良すぎて……
今までは上品ぶって適当なサンダルウッドの香水をかぎながら「ミルクティーの香りがする」とか言って小腹を満たしていたんですが、こう直球のグルマンをお出しされたら「本当はこういうのが欲しかったんです」ってなっちゃうよね。

あと購入金額に対するノベルティのクオリティが高すぎる第二弾。
フレグランストレーって指輪をおける程度のサイズかなと思っていたら、500mlペットボトルを置けるしっかりサイズ。しかも合皮が分厚くてクッション性がすごい。宝石店のカルトンかと思ったワ(バシャウマのイントネーションで)
ボンボンオショコラのセットも欲しいな…

〈ゲラン〉フェーヴ グルマン オーデパルファン 100ml ¥49,500

タバコハニー買うって決めて行ったのに、こっちを買ってしまった。
性格がいい方と結婚するべきなのに、結局は顔で決めてしまうバカなアタシ。いいや違うねッ!フェーヴグルマンタソは顔(ジュース色)も性格(香り)も完璧である天使だから…👼👼👼

トップの最初の一瞬はいちごミルクなんだけど、それ以外の時間は甘さのないカカオのスパイシー感が9割。時折思い出したように出てくるストロベリーは甘さがなく、嗅ぐたびに喉が渇いていくような不思議な香り。
ミドサーなのでこれくらいビターな方が使いやすいかも。

やはりゲランの接客は、香水の説明を劇団四季のように豊かな抑揚&豊富な語彙で伝えてくれるので、「これを持っていれば今よりもっと素敵な人生になる」という夢を見させてくれる。ていうか香水に求める部分ってそれしかなくないですか?正気を保っていたら100mlで5万の液体なんか買えないので……

サロパの日は普段接客してない人も動員してるので多少の説明下手は許してクレメンスみたいな論も散見するようになったけど、下手な人と上手な人がいたら上手い人から買いたいし、接客技術を磨いた人がちゃんと評価される社会であってほしいでちゅ。

購入品以外の感想

「KAORIUM(カオリウム)」AIによる香りの言語化体験とフレグランススタッフによる香り選びのお手伝い

平日でもけっこう列ができてた!
こんな感じで、並んでいる中から4つの香りが光って示されるので、それぞれ嗅いだ中から好きなものを1つ選び、その香りにどういうイメージを持っているかを言語化していく。
例えばベルガモットの香りを選ぶと、「さわやか」「清潔」「クリア」等の選択肢が表示される。なるほど、その香りが好きとは言っても、その香りのどの側面を気に入っているかは人によって違うというわけだ。
「クリア」を選ぶと、またクリアなイメージを持ったボトルを3つ示してくれるので、その中から更に1番を選び、ふさわしいと思う形容詞を選ぶ。
これを3回繰り返すと、オススメの香水が表示される。

昔東方にハマっていた頃、紅美鈴(ほんめいりん)という中華風の門番が出てくる3面のステージでいつもボコボコにされ、4面に行く頃には常に瀕死になっていた。

わざわざゲーム起動して写真撮ってきた

令和の世では、氾濫する二次創作のせいでメイリンは完全に雑魚門番としてのキャラが定着してしまったが、たまにエロ同人で筋骨隆々のメイリンが竿役をボコボコにしているのを見ると「やっぱメイリンはこうだよな」と嬉しくなってしまう。
つまり、そのキャラのどの要素を魅力と感じるかは、人によって違うということである。

なお、おすすめされた香水は3本とも知っていたのでそのまま帰ろうとしたら、スタッフさんが「それではスッキリとした柑橘系で、別のオススメをご紹介させていただきます」と、様々なブランドブースを横断して香水を紹介してくれた。AIよりむしろこっちがメイン。
特に、ヴァンクリーフ&アーペルのネロリアマラとDolce & Gabbanaのベルベットインフュージョンは紹介してもらわなければ出会えなかった、めちゃ素敵な香りでした。

<インダルト パリ>ブランド発掘の秘話と哲学 キム・チャールズ氏によるトークショー

クルジャンの初期作品(特にマナカラ)に魅了されたキムと代理店のお姉様方のパッションについては他の方が詳しく語られているのでここでは省きます。

ブランドオーナーのキムがトークショーで「ティオタが売上の6割を占めている。マナカラのほうももっと評価されるべき」と言っていましたが、ティオタを肌乗せするといやこんなの全員好きでしょと思うくらい問答無用のデリシャスヘブンリーグルマン。カリカリに焦がした砂糖を添えたクリームブリュレに、オレンジやマンゴーなどの南国フルーツの果汁を1滴垂らしたような華やかさ。

50ml ¥35,200は流石に即決できなかったのと、ボトルデザインが好きじゃないのもあり迷っているうちに完売していたが、これをバニラ香水探しの終着点にしてもいいと思えた香り。
12月に一般販売が始まるそうなので、その時覚えてたらティオタ買いたい。

なんか伊勢丹がくれるサロパノベルティについて

去年のムエットケースは絶対欲しい!と思えたが、今回のポーチは別に使い道なくない?と思った。オーロラは令和感あってかわいい。
レシートの束を握りしめてストーンディフューザーを貰いに行ったら「あと1000円買い物してもらえるとポーチも差し上げられるんですけお…」と言われ、別にポーチいらんがなと思いながら1万円くらい買い足しました。
伊勢丹の手のひらの上で踊るのはたのしいなあ…

ミラー・ボールペン・お楽しみガチャ×2についてはもう条件が法律書かよってくらい長文すぎて読む気も起きず、最初から貰わない気でいた。
が、ミラーは?ボールペンもらった??と受付のお姉様方が丁寧にアプリを手取り足取りしながら面倒見てくれるので、気づいたら紙袋がノベルティでパンパンになっていた。
どうもありがと ホントありがと 別に悪くない去年も今年も

雑感

●ケンゾーとミュシャの値段感がよかった(事前のお品書きでアンリとかマルにビビらされたから)20代女子だったらミュシャのイリス買ってた

●相変わらずルシさんの耳なし芳一みたいなパンフには度肝を抜かされるぜ(スタッフさんの手作りらしい)

●もう香水なんかどうでもいいな…ってときにリベルタのコーヒーは本当に癒やし。ポイント消化にちょうどいいし、鼻もリフレッシュできるし。

●ラブソルーも香りがいい。「実在のホテルの各部屋の香り」なので、香水よりキャンドルを買いたかったけど、好きな香り(ローズマリーノ)のキャンドルがなかったので見送ることができた。含み益が1億くらいになったら泊まりに行きますね… 
マジでゼロから億までケタ増やす 光る金歯 首元にチェーン その金で買う (ファブリスペルグランと)二人だけで過ごせる時間
あっていうか各香りの調香師もレジェンドがいっぱいですごかったです


お祭りテンションで買ったとはいえ、購入金額は去年の半分程度。というか今年に入ってから香水をあまり買わなくなった
幸運にも家族が増えて、香水の力を借りなくても自分の毎日を肯定できるようになったからだと思う。
もちろん好きな香水はあるし、これからもボトルを買うことはあるだろう。
でも、以前のようにディスカバリーセットを見かけ次第即購入したり、「買うか悩むのが面倒だからとりあえず買う」みたいな買い方はしない。

あと、やっぱり近年の度重なる値上げと相場の上昇はキツイです。
なんでこのボトル・この香りでこの値段なの?と思うことがとても増えた。
従業員がその価値を説明できていないし、ていうかこの製品買える給料じゃないだろうなというのを消費者も何となく感じているし。
ラグジュアリー系アパレルでは常識の途上国搾取や児童労働も、香水の世界でまで明るみに出るようになってきたし。

香水市場の規模と比例してテンションが右肩上がりになった経営層が東京カレンダーの表紙みたいな店で港区女子のケツを撫でながら決めたとしか思えない商品上代を見るたびに、これってどこに還元されてるの?と思うし、今は買わないことでこの潮流に静かに不支持を表明しようと思います。
(よく考えたら発売元の国々には東カレも港区女子もなかった、ごめんなさい、適当に猫カフェとマンチカンに置き換えて読んでください)
(日本発の香水はそんなに法外だと思うことがない気がする)

今年に入ってから香水あんまり買ってないって言ったけど家計簿見たら38万円も買ってた。来年もよろしくな!

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