2番歌 混沌の湖で泳ぎたい/万葉集絵日記
万葉集、読みはじめました。冷麺はじめました。今回は国見で苦しんだ。2番歌は舒明天皇が香久山から詠んだ何とも眺めが良い歌。
大和には 群山(むらやま)あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原(くにはら)は 煙(けぶり)立ち立つ 海原(うなはら)は 鴎(かまめ)立ち立つ うまし国そ 蜻蛉島(あきづしま) 大和の国は
*拙訳* 大和には たくさん山があるが 天香久山に登り立って 国を見てみると 広大な土地からは 煙が湧き立つ 雄大な水面からは 鴎が飛び立つ 素晴らしい国だ 大和の国は
「とりよろう」は今では語義未詳の言葉。特に/近く寄る/身の回りを固める/茂る/など諸説有り。「煙」は炊事の煙だとよくいわれている。
今は無き古奈良湖。奈良湖→大和川→大阪湾へと流れた。この歌は国見をしたときに詠んだ歌で俗に国見歌と言ったりするようだが…国見とは↓
私の推し説は討伐・巡狩。巡狩とは臣下の治めている領地を視察しに行くこと。行った先で天皇は状況把握のために高所から土地を観察した。大和朝廷の領土拡大から現状維持への政治事情の遷移、さらに反発勢力も落ち着いてくると高所視察も意味合いが変わった。というような説。
一次資料(風土記や古事記など)では国見と思わしい行為に国/地形/四方と見/望/覧など多様な表現があるらしい。専用の名前が有るのと無いのでは感覚が大分違う。この歌では「国見乎為者」で「くにみをすれば」と読む。
参考資料
古代日本の国見に関する一考察 内田忠賢 人文地理 1985年37巻4号 p. 365-373
国見から巡狩へ、呪縛を解くこころみ : 『古事記』の関連所伝の読みに及ぶ 榎本福寿 京都語文 03号 32-57 1998/10/03
万葉集神事語辞典 - 國學院デジタルミュージアム(国見の項目)