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対物レンズをきれいにしよう。

最終更新: 2024/08/29
トップの画像はフリーの写真提供サイト、「ぱくたそ」の、「レンズ先の菜の花の黄色」の無料写真素材になります。


はじめに

油浸オイルタイプの対物レンズを提供するため、光学顕微鏡施設では、レンズのクリーニング設備が常備してある。ただし多くの施設では、「とりあえず最初にメーカーがおいていった」レンズワイパーやクリーナーを使い続けると考えられ、他の施設でどのようなワイパーを使っており、それが支障なく使えるグレードであるか、そしてどのくらいの値段なのかさえ、わからないことが多い。
そのあたりが気になり、さまざまな施設の担当者に、どんなものを用意しているか尋ねてみたので、こちらにまとめてみる。

レンズワイパーについて

レンズワイパーの準備は必要不可欠であるが、どのメーカーで扱っているかなど、なかなかわからない。恒常的な消耗品であり、あまり予算を掛けられないのはわかるものの、対物レンズを破損する懸念もあり、あまり格安のものに飛びつくわけにもいかない。
既に他の施設で使っている製品ならば、概ね定評があると思われ、これらから検討するのが適切と思われるため、各施設で使っている製品を列記してみる。

この「クリーニングペーパー」を使っている施設もあるが、上の記事はカメラユーザー向けのようなため、紹介されている「クリーニングリキッド」が顕微鏡の対物レンズでもOKかは不明(=未確認なら、手を出さないほうがよい)。

この小津産業のワイパーは、そのまま束ねられているため、たくさんついてきて単価は低くてお手頃と思われる。ただ1枚ずつ取るのは、少し大変かもしれないので、よぶんに取ってしまったら、眼鏡でも拭こう。

このWhatmanのレンズクリーニングティッシュは、顕微鏡についてくることが多いらしいため、使っているところが多そうである。

この堀内カラー製のは、プラスティックのケースも付いてきて、よさそう(後述)。

ワイパーではなく、綿棒を使っている施設もあった。
日常的な化粧用/耳そうじ用綿棒なら、成分が溶けだすのが心配だが、「工業用綿棒」であり、目的に「各種レンズ表面の清掃」や「電子機器等の接点や端子部分の清掃」とあるので、対物レンズのクリーニングも問題ないと思われる。

ワイパーのケースについて

このように線維が細かいワイパーなどを使うとなると、そのあたりに置いたままだと、大気中のほこりなどが吸着しないか心配である。
箱などに入れるのが適切と思わるが、そのワイパー専用の箱がないところでも、使っていない「マイクロピペットチップ入れ」、100円ショップでいろいろある「カードケース」、「金属製のお菓子の箱」などに収納している模様である(写真参照)。

レンズワイパーの収納ケース?の一例

クリーナーについて

クリーナについても、市販されている製品を使っている施設もあれば、ラボ秘伝の配合で作成-とは大げさだが、特定のアルコールや有機溶媒(ヘキサン、エステルやエーテルなど)等を混ぜて自作している箇所など、さまざまであった。

少し話は逸れるが、油浸オイルが机や顕微鏡のステージに付着してしまうことも多い。こういうときにも、アルコール(イソプロパノールや1級エタノール?)やヘキサンなどを使うのがよいか。
※滅菌用70%エタノールは入手しやすいが、少し効き目が弱いかも。

まとめなど

レンズのクリーニングは、それこそワイパーやクリーナの選択を誤っても、損傷をもたらす可能性があるため、気をつけるべきである。
とりあえずクリーニングキットなどもあるので、こちらを購入し、個々の製品のメーカーや品番などの詳細を調べてもよいかもしれない。

アズワン 顕微鏡レンズ清掃セット
モノタロウ 顕微鏡レンズクリーナなどのランキング

またとりあえず検索して見つかった、各顕微鏡メーカーのクリーニング法も参考とするのがよい。