オペラ「バッハ物語」
オペラ「バッハ物語」
2002年 札幌室内歌劇場 第25回公演
オペラ「バッハ物語」構成・台本:岩河智子編曲:岩河智子演出:中津邦仁
■日時:2002年1月19日(土)16:00開演
■会場:札幌サンプラザホール(北24条駅 徒歩3分)
■料金:全席自由 4,000円、支持会3,600円
学生2,800円、支持会学生2,500円
アーカイブ映像(Youtube)
■主催:NPO法人札幌室内歌劇場
■後援:札幌市、札幌市教育委員会、北海道新聞社
■Special Thanks:エビナ楽器商会、札幌大谷短期大学
北星学園女子高等学校、荻原整骨院、NPOサポ-トセンタ-
<出演>
*声楽
バッハ:則竹正人(Bar)
ルター:浅里慎也(Ten)
バッハの最初の妻、マリア・バルバラ、他:萩原のり子(Sop)
バッハの2人目の妻、アンナ・マグダレ-ナ、他:窪田晶子(Sop)
バッハの娘、リ-スヒェン、他:渡辺ちか(Sop)
天使、他:川越吾弥子(Sop)、成田潤子(Sop)、松田久美(Mezz)
農民・聖職者・弟子・医者、他:石田まり子(Mezz)
農民・聖職者・弟子・批評家、他:遊佐悦子(Mezz)
*器楽
指揮:時岡牧子
フルート・ピッコロ:蠣崎路子
ヴァイオリン:富岡雅美
チェロ:川崎昌子
ピアノ:浅井智子
チェンバロ:土屋益子
チェレスタ:後山美菜子
オルガン:須藤尚美
<スタッフ>
音楽監督:岩河智子
演出:中津邦仁
照明:吉田茂夫
舞台監督:斉藤玲
衣装:小島みえこ
メイク:藤原得代
宣伝美術:寺田きよみ
制作:オフィス・ワン
< 解説>
バッハを見守るルター 岩河智子 バッハの膨大な作品のなかで、コラールは重要な位置を占めます。コラールとはドイツのプロテスタントの讃美歌のこと。宗教改革者ルターはドイツ人のだれにでも解るような讃美の仕方を模索し、ドイツ語訳の聖書を作り、ドイツ語で歌える解りやすい讃美歌を作りました。ルターの200年後に生まれたバッハは、周知のコラール旋律を使ってカンタータやオルガン曲など膨大な「コラール楽曲」を残しました。当時の人々は自分の良く知っているコラールの旋律がオルガンや合唱で素晴らしい音楽として教会に鳴り響くのを感動して聞いたことでしょう。不思議なことに、バッハの生まれたアイゼナハという町は、ルターが聖書のドイツ語訳に没頭した町です。ルターが説教をした聖ゲオルク教会で、バッハは洗礼を受けたのです。作曲家バッハの一生をルターが見守り続けるというイメージが湧き、オペラ「バッハ物語」は出来上がりました。いわゆる「オペラ」とは少々趣の異なる、どちらかというと「オラトリオ」風に、バッハの人生の断片を音楽で綴りあわせてゆきました。美しい音楽の中に、バッハの色々な横顔を発見していただければうれしく思います。
■あらすじ
第1幕
第1場/コラールを作るルター
バッハの生まれる150年ほど昔のドイツ。 教会から聞こえてくるミサの歌声。通りすがりの農民の夫婦には、言葉も音楽も難しすぎて解らない。ルターは考え、農民たちにもわかるドイツ語でお祈りの歌を作る。喜ぶ農民たち。天使がやってきてみなで高らかに神様を讃美して歌う。
・ブランデンブルク協奏曲/第3番1楽章:BWV.1048
・Missa De Beata Virgine (ジョスカン・デ・プレ)
・Veni, Sancte Spiritus(ジョスカン・デ・プレ)
・農民カンタータ/BWV.212・信仰告白(ルターのコラール)
・天の彼方から(ルターのコラール)/讃美歌21:No.246
・神はわがやぐら(ルターのコラール)/讃美歌:No.377
第2場/若きバッハ
音楽家の家系に生まれたバッハは、希望に満ちて笑いのアリアを歌う。バッハの一族は熱心なルター派のクリスチャンで、家にはいつもコラールが流れていた。学業を終えたバッハは、最初の職場、アルンシュタットに向かって旅立つ。
・ブランデンブルク協奏曲/第3番1楽章:BWV.1048
・無伴奏ヴァイオリンパルティータ/No.3:BWV.1006
・カンタータ「満足せるエーオルス」/BWV.205
・心に主イエスを(ヨハン・ショップ)
・最愛の兄の旅立ちによせるカプリチョ/BWV.992
・平均律クラヴィーア曲集/2巻12番プレリュード
第3場/職場にて
最初の職場は、教会のオルガニスト兼合唱隊の指導者。血気盛んなバッハは、合唱隊の水準の低さにいらついたり、ファゴット奏者の下手さ加減をののしったり。また、礼拝のオルガン演奏では、即興演奏が複雑すぎるとの苦情が来るなどなかなかうまく行かない。だが、バッハは、この地でマリア・バルバラと出会い、彼女と結婚する。
・カンタータ「キリストは死の絆につかせたまえり」/BWV.4(ルターのコラールを元にしたカンタータ)
・カンタータ「満足せるエーオルス」/BWV.205
・結婚カンタータ/BWV.202
・カンタータ「目覚めよと呼ぶ声あり」/BWV.140
・管弦楽組曲/3番:BWV.1068(「G線上のアリア」)
第4場/新家庭はいつもにぎやか
バッハは、音楽教育にも熱心に取り組んだ。チェンバロやオルガンのための指使いを考案したり、弟子や息子たちのために練習曲を作曲したりした。
・トッカータとフーガ/BWV.566
・2声のインヴェンション・3声のシンフォニア
・平均律クラヴィーア曲集/1巻1番プレリュード
第5場/突然の別れ
4人の子どもを残して、妻マリア・バルバラは急死。バッハは死に目に会うことも出来なかった。
・無伴奏ヴァイオリンパルティータ/2番:BWV.1004
・マニフィカート/BWV.243
第2幕
第1場/「深き悩みより」失意のバッハ
最愛の妻を失ったバッハは悲嘆に暮れ、自らの死を願う。バッハの心には神に全てを委ねよというルターのコラールがこだまする。次第に、苦しみの十字架を喜びとともに受け入れようと思うバッハ。
・ブランデンブルク協奏曲/第5番2楽章:BWV.1050
・深き悩みより(ルターのコラール)/讃美歌21:No.160
・カンタータ「私は死を待ち望む」/BWV.82
・カンタータ「十字架を喜びて背負ゆかん」/BWV.56
第2場/新たな愛
再び仕事に打ち込むバッハは、16歳年下の女性アンナ・マグダレーナと出会い、再婚する。二人の間には次々に子どもが産まれ、バッハは父親としての幸せを満喫する。町ではコーヒーが流行っていた。
・アンナ・マグダレーナ
・バッハの音楽帳/第2巻メヌエット
・平均律クラヴィーア曲集/1巻13番プレリュードとフーガ
・コーヒーカンタータ/BWV.211
第3場/クリスマス
バッハは幼いころからの心の支え、コラールを元に沢山の作曲をする。ルターの「天のかなたから」を合唱にしたり、テンポの速い掛け合いの器楽曲にしたり、カノン(追いかける旋律)風に複雑にからみあわせたり一つのコラール旋律から手品のように沢山の曲をつむぎだす。このような対位法と呼ばれる作曲の方法は、しかしだんだん時代遅れとみなされるようになるが、バッハは誇りを持って対位法音楽の完成を成し遂げる。
・カンタータ「主よ人の望みの喜びよ」/BWV.147
・天のかなたから(ルターのコラール)/讃美歌21:No.246
・クリスマスオラトリオ/BWV.248(ルターのコラールによる)
・クリスマスの讃美歌によるカノン風変奏曲/BWV.769 (ルターのコラールによる)
・小フーガ/BWV.961
・コラール前奏曲/BWV.700(ルターのコラールによる)
・平均律クラヴィーア曲集/1巻2番プレリュード
第4場/バッハの死
バッハは白内障の手術の失敗が元で65歳で死ぬ。
・カンタータ「我は満ち足れり」より"まどろめ疲れた目よ/BWV.82
・無伴奏チェロ組曲/4番:BWV.1010
第5場/ルターに迎えられるバッハ
誰もが音楽で神様を讃えることができるように・・・・ルターが創始したコラールは、200年後にバッハによって大きく花ひらいた。ルターのコラール、「神はわがやぐら」が高らかに響き渡る。
・暁のそらの美しい星よ(フィリップ・ニコライ)
・神はわがやぐら(ルターのコラール)/讃美歌21:No.377
・カンタータ「神はわがやぐら」/BWV.80(ルターのコラールによる)
◆ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685〜1750)
ワイマール、ケーテン、ライプツィヒなどドイツ各地の教会でオルガン奏者、宮廷楽師長として活躍。ミサ曲、受難曲、カンタータ、多数の管弦楽曲を作曲。バロック音楽を集大成した。バッハの家系は多数の音楽家を輩出したことで有名である。
◆マルティン・ルター(1483〜1546)
ドイツの宗教改革者。1517年ローマの教皇制度に対して、95箇条の抗議書を公表。救いは行いによらず信仰のみによると説いた。1522年聖書のドイツ語訳を行い、沢山の讃美歌(コラール)を作った。
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