東京オリンピック ボランティアドライバー体験記19
選手村を出発すると、国立競技場に向かう。ナビは首都高へと誘導する。ナビが案内する通りに車を進め、首都高に乗る。
首都高を運転するのはかなり久しぶりだ。10年以上前に東京の西のほうに引っ越して以来、千葉や茨城、栃木方面が遠く感じて、足が遠のいてしまったのだ。逆に東名や中央道、圏央道などは馴染みの道路になった。中央道なんて我が家から、ほんのすぐそこなのだ。首都高は道も狭いし運転しやすくはないが、いかんせんオリンピック期間中は料金が千円上乗せされていることも功を奏して、車の量が少ない。それゆえ、そんなに運転しにくくはない。普段首都高に乗ることはないので、普段に比べて混んでいるか空いているかは判断のしようがないのだが、絶対的に車が少ないのだから空いているのだろう。
ナビはやれ次は渋谷方面だ、その後は池袋方面だと予告にうるさいが、所詮混んではいない高速道路内の進路変更なので大したことはない。出口を無事降りることができるか、若干不安ではあったが、降り口は左車線だったし、そこもちゃんとクリアする。
しかし問題はそのあとだった。ナビというのは得てして、目的地周辺までしか案内しない。外苑の出口を降りると、そこはすでに目的地周辺だ。出口を降りるとすぐに、左方向に進むことをナビは案内していたはずだし、そうでもなければ道を知らない私が左方向へ進むはずがない。
今となってはよく覚えていないのだが、私は左方向に進み過ぎたのだと思う。ナビの当初の案内、すなわち目的地周辺、ゴールから離れてしまった。私は焦って、車を止めて近くに居た誘導員に尋ねる。すると、国立競技場に入るためには対抗車線を走行しなくてはならないという。どこかでUターンして対抗車線側を走行するよう言われるが、Uターンなんてどこでできるか皆目見当がつかない。
そのうちにナビが再探索した結果を示す。明治記念館の脇を左折しろと言うのだ。私はとりあえずナビに従うことにする。