見出し画像

チームの「大規模」vs「小規模」

夏休みが明け、大学の授業が再開した。といっても、春学期と変わらず、オンラインの授業が大半なので、実際に大学に行くということはあまりない。

現在大学三年生ということで、専門性の増した授業を受けることができるので、どの授業も受けるのが楽しみである。というのも、コンピュータサイエンスを専攻しているので、オンラインの授業であっても自分のPCがあれば課題などにも取り組むことができ、授業の進行がオンラインであっても支障がないどころか、むしろ学校にわざわざ行く面倒がないので、好都合だ。そもそも、大学に行っても結局自分のPCで作業をするわけなので、今までの授業形態が非効率的であったと思ったりもする。

今日も家でオンラインの授業を受けたのだが、その後に来年からの卒業研究に向けて、1つの研究室のオンライン説明会を受けた。その研究室はまだ歴史が浅く、メンバーも少ない、比較的”小規模”な研究室だった。

来年から卒業研究に着手するため、大学の研究室に配属されるわけだが、卒業研究というのは今後のキャリアを決定する重要な人生の分岐点になると考えている。

そのため、配属される研究室は慎重に選びたい。

研究室を選ぶ上で大切なことは、まずその研究室がどの様な分野の研究を行っているか、ということである。その分野自体に将来性はあるのか、またその分野の研究をすることで、将来的に自分がどの様なキャリアに進むのか、ということを慎重に考え、イメージする必要がある。個人的に今関心があるのは、「人工知能」と「ビックデータ」に関する分野である。これらをテーマにしている研究室は多いものの、そのアプローチは様々であるので、発表論文を実際に読んでみるなどして、自分がやりたいことと合致しているかということを確認しようと思う。

そして、研究室を選ぶ上で大切なこととして、研究室の「運営体制」もあげられると考えた。ゼミはどのくらいの頻度であるのか、コアタイムが存在するか、などだ。しかし、より根本的な問題として、研究室の「規模」はどうなのか、ということも考えたいと思った。

そもそも、「大規模」の方が良いのか、「小規模」の方が良いのか。それぞれにはどの様なメリット・デメリットがあるのか。

今回は、この様な出発点から、より一般的な問題として、大規模、小規模のチームを運営する上での違いについてまとめていこうと思う。

大規模の方がいい。

大規模チームは、発散的な議論・広く意見を集めるときに適している。多ければ多いほど、多様性・意見の発散という目的は満たされる可能性が高まる。例えば、より良いアイデアを求めている場面では、多様な意見を広く集める方が有利なことが多い。

メンバーが少ないと、相互作用が少なく、生産性の向上につながらない。また、チームの規模が小さいと、スキル不足が生じた際に助けを求めることができない可能性がある。

小規模の方がいい。

小規模のチームは機敏で、開発サイクルの回転が速く、より多くのイノベーションをもたらす。

以下のグラフは、『初めて学ぶソフトウェアメトリクス』という本に掲載されているデータをグラフ化したものだ。

画像1

チーム人数が、5~7人までは、「開発工数は投入した人数分上がるが、開発期間は短くなる」という期待通りの結果になっている。しかし、それ以上にチーム人数が増えると、「開発期間はむしろ長くなり、開発工数は跳ね上がる」
という結果になっている。

つまり、規模の不経済が働いている。

メンバーが多いと、次の様な問題が生じる。
・メンバー全員に情報を共有するのにコストがかかる。
・メンバー同士がお互いの仕事や状況を把握できないため、負荷に偏りが生じたとき、「作業を手伝う」「引き継ぐ」などができなくなる。
・情報の共有不足により、作業の重複、作業の手戻りなどが発生する。

結論

大規模、小規模のいずれにもメリット・デメリットはある。

よって、理想的なチームは「大規模かつ小規模」なチームである。
より丁寧に言えば、「複数の小規模のチームに分けられている大規模なチーム」である。

大規模なプロジェクトが失敗する背景には、さまざまな原因がある。その根本原因のひとつとして、プロジェクトが大きすぎるため、その重さに押しつぶされてしまうことが考えられる。そこで、プロジェクトの効力を改善する方法のひとつに、プロジェクトに取り組むチームの規模を縮小するという方法がある。

小規模のチームのメンバーとしての作業を中心に行い、そのチーム内で問題が発生した際にその他チーム全体に助けを求めることができるという構造が、理想的であると考えられる。

個人的な結論

よって、これを今自分が抱えている研究室を選ぶ、という問題に当てはめてみると、「ある特定のテーマに関して、複数の小規模なチームを編成し、様々なアプローチで研究を行っている大規模な研究室」であると結論づけた。


いいなと思ったら応援しよう!

OpenSource.FM
よろしければサポートありがとうございます!いただいたサポートはポッドキャスト番組”OpenSource.FM”の活動費として利用させていただきます!