投資をするたった1つの理由

 投資をはじめた。

 なぜか。日本銀行の金融政策にこのような目標があるからだ。

2%の「物価安定の目標」
「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定め…

日本銀行- 金融政策 : 2%の「物価安定の目標」と「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」

 これが何を意味するのかを考えてみよう。例えばあなたがお小遣い100円を握りしめて100円の物を買ったとしよう。その時はたしかに100円ワンコインで買えた。1年後、同じ物が欲しくなった。1年前と同じように100円を握りしめて買いに行ったら、なんと102円になっていて買うことができなかった。

 この値段の上昇が「消費者物価の前年比上昇率2%」の理由だ。もちろん現実では毎年きっちり2%上昇しているわけではないが、平均すると2%程度になるように金融政策が行われているのである。たしかに最近物価が高くなったな(社会情勢や円安などの影響があるにせよ)という感覚は正しく、それは政策による影響も含まれているだろう。でも、それだけでは物価が高くなる一方で生活は苦しくなるだろう。

 普通(?)は物価が上昇すればその分企業が儲かるはずだ。儲かった分は労働者へ還元され給料が増えそうに思える。給料が増えてくれさえすれば物価上昇しても相殺されるためよいだろう。しかし現実はそう簡単にはいかず、なんと平均給与は減少傾向にあるのだ。

厚生労働省: 図表1-8-2 平均給与(実質)の推移(1年を通じて勤務した給与所得者)

 これはたしかに労働者にとっては辛い現実だろう。地獄を突きつけられた気分だ。なかなか貯金できず、仮に貯金できたとしても物価は上昇するばかり。いつまで経っても生活が豊かにならない。一体どうしろというのだ。
物価が上昇するということは、逆に言うと貨幣の価値が下がるということだ。すなわち、銀行に貯金するだけで入れていたお金の価値が毎年下がっていくことになるだろう。

 「銀行預金は安全だ」上記のような現実を知ると、疑念を抱くようになる。利息もほとんどつかない。どうにかして貨幣の価値が物価上昇に追いついてくれないだろうかと考えるようになる。その時に思った。株式投資をすればいいんだ。

 株式とは一般に以下のように説明される。

株式とは、株式会社が資金を出資してもらった人に対して発行する証券のことです。

SMBC日興証券株式会社- 初めてでもわかりやすい用語集

 多くの人から資金を調達し会社を成長させる。こうすることで株式の価値も上がってくるため、この恩恵を受ければよさそうだ。世界の株価上昇の平均を調べてみると、だいたい毎年6%上昇しているようだ。貨幣でなく株式という形で保有しておくと、2%の物価上昇に耐えられるどころか、リターンを受けることができるのだ。

 これが私が投資をはじめたたった1つの理由である。別に価値のあるものが貨幣だけではないだろう。べつの形で持っていてもよいのである。

 しかし勘違いしてはいけないのは、株式は価値を失うことがあることだ。法定通貨を持っていれば、国が無くならない限り価値のあるものだろう。同じことが株式にも言える。会社が無くならない限り価値のあるものが株式だ。もし会社が潰れてしまったら、保有していた株式は価値のないものとなってしまう。国が無くなるより会社が無くなる確率のほうがもちろん高い。

 このようなことを考えると、分散投資というのは大切なのだと必然的に思う。これからも適切に投資ができるように勉強に励みたい。

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