【事業復活支援金終了】個人事業主が次なる給付金でスタートダッシュを切るために今からしておくべき2つのこと
こんにちは、Open base 代表の Sanukiです。
経済産業省が実施した、『事業復活支援金』が、2022年6月17日(金)をもって、申請の受付を終了しました。
Open baseでも、登録確認機関や行政書士事務所として、50件以上の申請に関わらせて頂きました。
相談段階で“該当しない”とお答えした方や「事前確認のみ」の対応の方を除けば、サポートした方全員の給付が無事に実現しそうです。(まだ手続き中の方もおられますので、見込みですが。)
そんな中、手続が完了した申請者の方から必ずと言っていい程言われる言葉は、
「次何かまた給付金の情報が出たら教えてください。」
です。
過去いくつかのコロナ対策としての事業者向け給付金、支援金を見れば、予算が早々に尽きたということはないので、“早い者勝ち”ということにはならないと思いますが、「早く申請すれば、早くお金は入る」という認識はしていても良いかと思います。
ただし、“正確な申請”をしなければ、“不備”という形で、修正を余儀なくされ、その分審査時間が長くなり、結果的に給付されるまでに時間が掛かってしまいます。
この“正確な申請”というのは、言い換えれば、“給付規定に則った客観的判断ができる申請”ということです。
どんなに自分でそれが当たり前だと思っていても、給付規定から外れた申請や客観的に判断できない申請をしてしまうと、不備として弾かれてしまいます。申請要領やサイトの手順を見れば、ほとんどのことは実は書かれています。ただ、要領や手順はほとんどの方は読みたがりません。面倒くさいし小難しいからです。
結果、自分の中の基準や主観的な考えで、申請をしようとします。それが、「不備」という形で、行き詰ってしまいます。
「不備ループ」という言葉がメディアの記事でも取り上げられていましたが、ここ数年のコロナ対策の国の給付金事務局においては、“不備”の通知は、すべて、メールとマイページ上での不備通知です。この「不備通知」は、不親切なことに客観的なことしか書かれていないことが多いです。
とても不親切なパターンの例でいうと、
「〇〇の書類が給付要件を満たしていません。」
だけ、などです。
この場合、何が要件を満たしていないかは自分で考えないといけません。
我々から見れば、もしこういったパターンに出くわしても、「あーここのことかな。」とか「微妙だと思っていたけど、やはりこれがダメだったか。」など、おおよその検討はつきます。仮にそれだけでは、分からなくても、サポートセンターに電話をして、話を聞けば何が原因かは理解できます。
しかしながら、申請に慣れていない普通の事業者の方は、何が“不備”なのか分からない。サポートセンターに電話しても下手をすれば、「申請要領の〇〇ページを確認していただいて、それに沿って申請し直してください。」とこれまた親切とは言えないような対応をされる始末。
なので、まずは、給付金・支援金申請において大前提として重要なことは、「不備のない正確な申請をする」ことなのですが、不備になりやすいところは、だいたい決まっています。これは概ね類型化できますので、まずは、備えられることは、1.不備のパターンを知ることです。
そして、2.不備の無い申請書類をあらかじめ揃えておく ことです。
【概要】個人事業主が次なる給付金でスタートダッシュを切るために今からしておくべき2つのこと
1.不備のパターンを知る
2.不備のない申請書類をあらかじめ揃えておく
不備のパターンを知る
先程書いた通り、不備のない正確な申請をするということは、何が不備にあたる可能性があるかということをあらかじめ理解しておくことです。
不備として考えられるパターンを4つに分類してみました。
大体が、これらに分類されると思います。
では、 1. から 4. について、もう少し具体的に見ていきます。
1. 入力した数字が違っている、添付書類と合っていない
これは、求められている数字が入力欄に入っていない場合や、添付書類との整合性が取れていない場合の不備です。たとえば、今回の事業復活支援金でいえば、「対象月の事業収入」という入力項目がありますが、一方で、「基準月」という言葉もあります。「対象月」と「基準月」がそれぞれ何年の何月を指すものなのかをきちんと理解していないと、誤った数字を引用してしまう恐れがあります。
また、給付金事務局は、あくまで提出された書類に基づいて客観的に判断します。添付した確定申告書の数字や売上台帳の数字と違う数字がフォームに入っていると、不備として修正を求められます。
2. 添付書類が求められているものと違う、不足している
2020年からの事業者向け給付金である、『持続化給付金』、『家賃支援給付金』、『一時支援金』、『月次支援金』、『事業復活支援金』は、書類を添付する場所は、基本的に個別に決まっています。求められた項目に求められた書類を添付しなければ、当然不備としてあがってきます。
また、こちらも 1. と同様に言葉の意味を理解していなければ、違う書類を添付してしまう可能性があるという点で注意が必要です。
例えば、今回の事業復活支援金でもあった「対象月の売上台帳等」には、2021年11月~2022年3月中で申請の対象とする月の売上台帳等を添付しなければなりませんでしたが、そもそも「対象月」がどこを指すのかを理解していなければ、例えば、誤って比較の基準としようとした2020年11月などの“基準月”の売上台帳を誤って添付してしまう、などの不備となる申請に繋がる可能性があります。
3. 添付書類の画像が不鮮明、見切れている
こちらは、スマホで申請をしようとされる方に見られがちな不備です。現在、ニュースを賑わせている数億円レベルの給付金詐欺などで問題となっている 『持続化給付金』申請から、こちらの不備は多発しているものと思われます。
迅速な給付を進めるために、オンライン申請!スマホで申請OK!書類はスマホで撮った写真でOK!というようにかなり、パソコンが無くても、手軽にスマホで申請ができるようになりました。しかしながら、これらが逆に不備多発の一因にもなっています。
例えば、申告書の写真を撮るうえで、ブレ、文字の見切れなどは不備になり得ます。スマホ上では、一見きちんと撮れているように見えても、拡大(ピンチアウト)してみると「数字、文字がブレている」ということはよくあります。また、書類の真上からではなく、斜めから写真を撮っている場合なども、文字がつぶれて見えないケースもあるので要注意です。
また、申告書の“コピー”や“手書き複写式”の申告書をさらに写真で撮るという場合も文字が薄かったり、複写がゆえに擦れや傷のような物が写り文字が見づらかったりするので、その辺りも注意ポイントです。
そのほか、申告書全体が映っていない場合も不備になり得ます。「書類の中身が写っているからいいだろう。」と考えていても、実は、枠外に申告の「受付日時」が入っていたりして、そこが見切れていて不備になる、なんて方もいらっしゃいます。
とにかく、この 3. の不備に関しては、客観的に確認ができる書類なのか、見る側の立場になって一度確認してみることが大事です。
4. 書類上に必要な項目が記載されていない、マークされていない
これは、例えば、確定申告書に税務署の「受付印」や「受付日時」が押印、または印字されていないなどです。
2020年コロナ禍に入ってからの、『持続化給付金』、『家賃支援給付金』、『一時支援金』、『月次支援金』、『事業復活支援金』の全てにおいて、“税務署の受付”がされた証明は、共通の必要事項となっています。
これが無ければ、本当に申告がされた書類なのか、虚偽ではないにしろ申告に使った最終段階の確定した数字なのか、が給付金事務局側として真実を担保できないからです。
なので、(1)税務署で受付印を押してもらう(2)税務署で閲覧申請をして受付日時入りの申告書の写真を撮らせてもらう (3)納税証明書を取得する (4)(e-Taxの場合)受付日時が分かる通知画面を出力する などの対応が必要です。
また、今回の事業復活支援金でいえば、登録確認機関と「継続支援関係に無い」場合は、「基準月の売上台帳等」を提出しなければならず、さらにその中の“一取引”にかかる請求書または領収書等や通帳の振り込みページなどの提出が必要でした。それらの一取引の金額等には、マーカーなどで印を付けるように申請要領にも記載されており、こういった部分もきちんと押さえてマークしておかないと書類の数字として問題がなくても、不備として突き返される原因となります。
以上、不備として考えられるパターン4つでした。
不備のない申請書類をあらかじめ揃えておく
今回の事業復活支援金は、6月17日(金)に終了しましたが、次回、また、同様の趣旨の事業主のコロナ対策のための給付金・支援金が今後また出る可能性はあります。
それに備えて、今できることをしておきましょう。
2020年からの、『持続化給付金』、『家賃支援給付金』、『一時支援金』、『月次支援金』、『事業復活支援金』において必要であった書類を考慮して以下の5つに押さえておくべき項目をまとめました。
では、こちらも 1. から 5. までについて、もう少し具体的に見ていきます。
1. 確定申告書(税務署の受付が証明できるもの)を過年度分揃えておく
給付金、支援金申請においては、売上の減少が要件になることがほとんどなのでその証明として申告書の提出がまず必要になることが多く見受けられます。その際、先ほども書いたように税務署で受付がされたものであるという証明は必須と考えて良いでしょう。また、売上の比較ができる年度が事業復活支援金では、平成30年(2018)年まで拡大されています。コロナ前との売上比較という意味では、その辺り頃からの申告書は、きちんと備えておくのが良いでしょう。
2. 売上台帳をきちんとつける、備える
これは、行政側も把握していないのではないかと思いますが、個人事業主の帳簿管理は思ったより杜撰です。「通帳で分かるから」と売上台帳を作っていない人も結構多いのが実情です。こちらもコロナ禍に入ってからの給付金申請においては、必須の書類ですので必ず準備しておくべき書類です。
3. 過去の請求書、領収書、通帳は処分しない
こちらも2. に関連することですが、申告が終わったからと言って、書類を捨てて良いわけではありません。個人事業主には、様々な帳簿の保存義務が課せられております。
4. 過去に貰ったコロナ関係の給付金、協力金の内容、金額、時期を把握しておく
事業者向けのコロナ給付金、支援金については税務上「雑収入」になることがほとんどだと思いますが、売上の比較においては、過去に貰った給付金の金額は除外して考えるようになります。その為、何年の何月に何の給付金、支援金が入ってきたのかを把握しておく必要が出てきます。個人で申請をされている方は、ここがきちんと把握できていないんじゃないかと感じています。また、お金を貰いっぱなしできちんと申請の際の記録や控えを取っておらず、後から見直しても何のお金か分からない、という方も結構おられるので、必ず自分が貰った給付金の内容は把握、記録するようにしましょう。
また、今回の事業復活支援金では、飲食店も申請が可能でしたが、飲食店の経営者の方々は感染拡大防止のための休業要請に対し「協力金」を貰っている方がほとんどではないかと思います。
しかしながら、事業復活支援金においては、飲食店は逆に協力金を「売上」として加算し、その上で減少率の比較をしなければならないとなっていました。小規模な飲食店は、結果的に申請は難しくなるケースが出てくるとは思いますが、飲食店関係者の方に話を聞くとその辺りは皆知らないで、普通に事業の売上だけで比較をしていると思うとおっしゃっていました。しかしながら、そういった方は申請後に要件に当てはまらないとされて、「返還」となる可能性もあり得ますので、必ず要件に沿った申請を行いましょう。
5. 過去のコロナ関係の給付金申請時のログインID、PWを把握しておく
『持続化給付金』では、昨今のニュースの通り、不正が横行しました。2020年当時からも不正の実態はある程度、露呈していたケースもあり、その後の『一時支援金』からは、商工会議所、金融機関、税理士、中小企業診断士、行政書士などの「登録確認機関」が一次的に内容を確認する制度が導入されました。
この制度により、『持続化給付金』程の不正は、減少する流れになったとは思います。そして、同時に『一時支援金』、『月次支援金』、『事業復活支援金』では、同じシステムが流用されており、全て同じ登録情報(ID、パスワード)で申請マイページに入ることが可能となっています。
今後は、給付金の運営会社がどこになるか等によっても変わってくると思いますが、同様のシステムが使用される可能性も考慮して、申請に使用したログインID、ログインパスワードは、忘れないようにしましょう。
以上、あらかじめ押さえておくべき5つの項目でした。
いかがだったでしょうか。今回、『事業復活支援金』は、終了してしまいましたが、今後、新たな給付金、支援金が出る可能性は十分考えられます。
しかしながら、一方で、コロナに対する政府の方針も変わってきており、経済活動が徐々に活発になる状況において「給付金」「支援金」として個人事業主に支援策が出るかは不透明とも言えます。
いずれにしても、事業者として支援策があることで事業が救われることになると思いますので、次なる給付金に向けてスタートダッシュが切れるように今から備えておきましょう。
【まとめ】個人事業主が次なる給付金でスタートダッシュを切るために今からしておくべき2つのこと
1.不備のパターンを知る
2.不備のない申請書類をあらかじめ揃えておく
行政書士事務所Open base|先を見据えた戦略を
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