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iPadで描くオペレコ①

年末年始は大変ありがたいことに大した仕事がありません。

緊急手術がないことを祈りつつ、ゆっくり家に引きこもりたいと思います。


noteの方針ですが、まずは週に1回の投稿を目標に進めたいと思います。

納得の行くオペレコがかけるのがだいたい週に1本程度であることもありますが、その週の執刀症例の数や内容により投稿頻度にムラがでてしまいそうですし。

そのため、過去のオペレコも適宜に載せて間をもたせていくとします。


症例①:横行結腸がん(T3N1M0stageIIIa)

術式:腹腔鏡下右半結腸切除術(D3リンパ節郭清/FEEA)

20200618_lap‐右半①

20200618_lap‐右半②

「進行した横行結腸がんの患者さんに、腹腔鏡を使って大腸の右半分を切除しましたよ」

「リンパ節に転移している可能性がありますので、腸の周りのリンパ節もD3という領域まで一緒に取ってきますよ」

「切除するだけだと腸が途切れてしまうので、FEEAという方法で腸と腸をつなぎましたよ」

と、こんな感じです。

さて、ただオペレコを載せるだけではつまらないのです、少しオペレコのこだわりポイントを説明してみたいと思います。


①癒着は”線”で表現する。

腸や脂肪の周りに"線"がたくさん描いてありますね。

20200618_lap‐右半① - コピー

腸と外側、腸間膜同士とか

20200618_lap‐右半① - コピー (2)

腸と剥離面、十二指腸や膵臓まわりとか。


これは、"癒着"を表現する線として描いています。

内臓はお腹の中で自由に動き回れるわけではなく、腹壁、腹膜、周辺臓器とくっついて固定されています。このくっつきを癒着といいます。

もし癒着がなくすべての臓器が自由に動き回れたら、腸がねじれたり結ばったりして大変ですからね。

症例や臓器の状態などによって癒着の程度は様々です。

お腹の手術歴がある患者さんには予定外の癒着があったりしますし、がんや炎症を起こした場所の周りは癒着が強くなっていたりします。

自分のオペレコの絵のルールとして、癒着が強いところは線が密に長く、癒着が弱いところは線が疎に短く描くようにしています。

癒着の程度を線画で描くには


②剥離した場所は”矢印”で表現する

がんの手術では、多くの場合まず最初に摘出する臓器の周囲との癒着を剥がして(剥離といいます)、その臓器が摘出できる状態にしていきます。

この剥離が上手くできるかどうかで、手術の良し悪しが大きく変わってきます。

どこをどのように剥離したを記載すること、はオペレコの重要な要素の一つと思っています。

患者さんによって、癒着の程度にはある程度差があります。また手術歴がある場合は予定外の癒着が多く剥離を追加することもあります。手術内容を正確に記載するためには、剥離した場所を記載することは必須ですよね。

剥離した場所、方向は、赤色などの目立つ矢印で表現しています。

20200618_lap‐右半① 矢印

結腸間膜を後腹膜から剥離し授動した図


また、剥離の前後の両方記載するとわかりやすいかと思います。

20200618_lap‐右半①矢印2

血管走行と、切離した血管と郭清範囲を記載した図


剥がす、切るは手術の基本です。きちんと記載しておきたいですね。


まとめ

まずは自分のオペレコの特徴と思われる癒着と剥離の描き方について触れてみました。

癒着と剥離はこだわって描きたいポイントなんですが、もっと上手い描き方があるような気がしています。

なにかいいアイデアがあればぜひ教えて下さい!!


こんな感じでオペレコ全体と、合わせて1~2個ポイントを紹介する感じでゆるゆる投稿していきたいと思いますー。

また、iPadでのオペレコの作り方も少しずつまとめています。

”外科医の手術記録”という世にあまり知られていない非常に限定された分野ですし、正直需要は少なそうですが、自分の備忘録としてもまとめいきたいと思います。

よろしくおねがいします!







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