
サイクリング記録のススメ
これからスポーツバイクを始める方、スポーツバイクを始めたての方にお勧めしたいことがあります。
それは、サイクリングの記録を録る、ということです。
みなさんは外食の際、提供された料理を前にまず何をしますか?
手を合わせて、いただきます、でしょうか。
いやいや、スマホで写真を撮る!ですよね。(決めつけてごめんなさい…。)
中にはラーメンの湯気が立つ様子を動画として撮影する方もいることでしょう。
私にとってサイクリングの記録を録ることは、このようにカメラで写真やビデオを撮影する感覚に近いと感じています。
今回は、カメラ撮影を引き合いに自転車の記録を録ることの効用をお伝えできればと思います。
早速、両者はざっくり以下のような対応関係を考えてもらえるとわかりやすいかなと、私なりに考えてみました。
項目 :カメラ撮影=サイクリング記録
機材 :スマートフォン=サイクリングコンピュータ(サイコン)
操作 :撮影=記録
成果物:写真、ビデオ=走行データ
情報 :被写体、位置情報=速度、位置情報
保存先:カメラフォルダ=サイコンアプリ
共有 :Instagram=Strava
順番に見ていきましょう。
機材:スマートフォン=サイクリングコンピュータ(サイコン)
カメラ撮影に必要な機材といえば、みなさんお持ちのスマートフォンですよね。もちろん、デジカメやビデオカメラ、最近ではGo Proやinsta360などのアクションカメラをイメージしていただいても構いません。
こういった機材があってこその撮影スタートです。
では、自転車における機材はなにかというと、サイクリングコンピュータ(通称”サイコン”)になります。
私がクロスバイクで使用しているサイコンを例に挙げると、下の写真のような一昔前のスマホみたいな形をした端末です。

この端末を下の写真のように、マウントを介してハンドルに取り付けて使用するのが一般的です。

また、サイコン以外の機材としては、最近だとスマートウォッチや、特定のアプリを使用することでスマートフォンでも記録ができます。
ちなみに私は、通勤はApple Watch、休日のライドや夜練はサイコンという風に使い分けています。(通勤時にいちいちサイコンをつけ外しするのは正直面倒なんですよね。)
手持ちの機材で手軽に記録を始めてみたいよ、という方にはスマホがおすすめです。
この後紹介するStravaのアプリ版を使えば、走行距離や時間、平均速度の確認、ルートの記録などがスマホで行えるのでおすすめです。
ただし、長時間ライドするときは充電の消費にご注意を!
操作 :撮影=記録
機材を使って何をどうするかですが、こちらは単純ですね。
カメラはシャッターボタンを押したら撮影開始、離せば撮影完了。
サイコンはスタートボタンを押したら記録開始、フィニッシュボタンで記録完了。
慣れてくると、バースト撮影やパノラマ撮影といったやや複雑な操作が加わるように、サイコンにも特定の区間の情報を切り取って記録するラップ操作などがあります。
サイコンはカメラほどの複雑な操作は必要なく、もうシンプルにスタートとフィニッシュさえ押し忘れなければ、80点以上の情報は取れるのでご安心ください。
成果物:写真、ビデオ=走行データ
その操作をすることによって得られるもの。
こちらもシンプルです。
カメラなら写真やビデオ、サイクリング記録は走行データ。
あえて細かい補足をすると、写真やビデオであればJPEGやMP4、走行データはFITやGPXといったファイル形式に情報が詰め込まれます。
情報 :被写体、位置情報=速度、位置情報
さて、ここからが重要なポイントです。
先ほどの成果物の中にはどんな情報が含まれるのでしょうか。
カメラであれば、被写体そのものが情報といえるでしょう。
料理であればどんな食材が使われているか、どんな盛り付けか。
動画なら鉄板を跳ねる肉汁の温度感まで撮影できるかもしれません。
さらには、撮影時刻、GPS機能と紐付けされると撮影場所(位置情報)まで一緒に記録されますよね。
それに対して走行データにも、
・速度
・位置情報
・走行時間
・登坂高度
・気温
・消費カロリー
などなど数多くの情報が含まれます。
詳細は割愛しますが、特殊なセンサーをサイコンに連携すれば、心拍数、ペダルの回転数、ペダルを回す強さといった本格的に速くなりたい方向けの情報まで記録できるのもサイコンならではですね。
これらの情報は、先ほどの写真のようにリアルタイムにサイコン上に表示させたり、この後ご紹介するアプリを通じて振り返ったりすることができます。
保存先:カメラフォルダ=サイコンアプリ
保存先というと、厳密には機材の記憶メモリではありますが、ここでは記録した情報をどこで見返すか、と考えてみてください。
カメラ撮影ならスマートフォンのカメラフォルダ、サイコンならメーカー各社が提供しているサイコンアプリが主流です。
先ほどお見せした私のサイコンのアプリでは、記録した情報はこのように表示されます。

地図が正確に描かれ、速度や距離情報もわかりやすいですね。
昨日食べた料理を見返して、美味しかったな〜とカメラフォルダを振り返るように、今日一日走ったルートを見返して、ここの道綺麗だったな〜とサイコンアプリを振り返る。
この投稿を書いていて、走行データを記録しておいてよかったなぁとしみじみ思ったのは、何ヶ月もさかのぼって振り返ることができることだと感じます。
ここでひとつ、想像してみてください。
ご自身のお子さんや親戚の子を毎日のように撮り貯めて、数ヶ月後に振り返ると成長具合が目に見えてわかることありませんか。お子さんと言わず、ご自身が被写体の写真でも構いません。
毎日のように目にするその姿形の変化はごく僅かであっても、日々が積み重なったその先で振り返る変化は見違えるほどにもなるでしょう。
走行データも同じです。
一例をご紹介させてください。
私の場合、かれこれ2年以上通勤で同じ道を走っています。
2年前にクロスバイクをはじめたばかりの頃の記録がこちら

それから2年後、直近の記録がこちらです。

この間、自転車に加えたカスタマイズの効果を除いても、明らかに速くなっていることに自分自身の成長を感じることができます。
日々生活していると、その時々のほんの短い時間の中で周りの人と比較して、自分は劣ってるんじゃないか。周りが成長している中で自分だけ何一つ変わっていないんじゃないか。
そう思っては自信を失ってしまうことが私には時々あります。
そんな時、何か一つでも自分自身の成長を感じられるものがあるだけで、なんだか少し元気になります。
私にとってそれが、このサイクリングの記録なのです。
当時はそんな将来のこと考えていたわけではなく、ただひたすら乗ることが好きで走っていただけですが、がむしゃらに刻んだタイヤの軌跡も、振り返ってみるとたまらなく愛おしく感じるようになります。
8月の35℃を超える猛暑日の中、日陰もない海岸沿いを汗だくで走ってたな。反対に、2月の0℃近い寒波の中、手足の末端の感覚を失いながら通勤していたな。
あくまで単なる地図と数字情報でしかない走行データですが、それらが当時の思い出をかたどって、さまざまな感情を引き起こしてくれます。その時々の自分を客観的に見つめ、頑張ってたんだな、と自分に優しくなれたりもします。
これこそが私の感じるサイクリングの記録を録ることの最大の効用であると感じます。
共有 :Instagram=Strava
最後に、撮った写真や動画は自分一人で楽しむだけでも十分価値を感じられますが、その価値をシェアするためにSNSに投稿する方もいるのではないでしょうか。
代表的なものとしてはInstagramがわかりやすいですね。
もちろん、このnoteもそのひとつの例です。
じゃあ、一方の走行データって共有できるの?
に対する答えは、できます!
一番メジャーなのは"Strava"というフィットネスアクティビティ記録用のWebサービスですね。
スポーツ版のSNS、とイメージしていただけたらと思います。
アカウントを作って、走行データをサイコンアプリからアップロードするだけで簡単に走行データをシェアできます。
こちらのStravaでは、サイコンアプリ上の表示と同様に地図や速度などが細かく表示されるので、単に記録を振り返る上でも使い勝手が良いです。


Strava上でフォローし合った相手とは、お互いの記録を見て、”いいね!”に相当する”Kudos!(称賛を意味するギリシャ語)”ボタンで反応を送り合うことができます。
ですから、Instagramで映えを意識するように、Strava上でも映えを狙って数百kmを超える長い距離を走ったり、数千mも山を登ったりする破天荒なサイクリング記録が時折登場するところまで、両者はよく似ています。
ええ、もちろん私も映えを意識して走ったことは一度や二度ではありません。
でもいいんです。
回転寿司の醤油差しを舐める動画をアップするように、危険走行をアップロードするのは論外ですが、映える料理を通じて心が満たされたり、お店に詳しくなったりするのと同様に、誰かに認めてもらうために登ったはずだった高い山の先にある絶景を通じて達成感を味わったり、筋肉が強化されたりすることで成長につなげられるのであれば。
使い方次第で毒にも薬にもなる。
Stravaを使う際は、上手に向き合いたいですね。
【まとめ】サイクリング記録を録って、思い出を残しませんか
今やスマートフォンで、外食時には料理の写真を、旅行の際には絶景の動画を撮る人は老若男女問わず数多くいることでしょう。
もはや、そのときは深い意味もなくとりあえず撮っておこう。
撮らないとなんかムズムズするというくらい習慣化している人もいると思います。
ただ、そんな何気なく撮った写真ですら、時を経て輝きを放つことがあるんですよね。どんな形であれ、思い出を引き出してくれるものは心を豊かな気持ちにさせてくれます。
物理的なモノではありませんので、貯めたところで部屋を圧迫することもありません。必要な時に引っ張り出してくればOK。
日記と違って毎日紙とペンを持って向き合う必要はなく、スタートボタンを押すだけで大丈夫です。
目の前に料理が運ばれてきたら反射的にスマホで写真を撮る。
そんな感覚で自転車に乗るときには記録を録る、をセットにしてもらえたら、いつかしみじみできる日が来るのではないでしょうか。