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第52話 露腸亭日乗 ストーマパウチの進化について

今回は人工肛門とは何か、とか腹部に装着する糞便袋!についてある程度の知識があるという前提で書かせていただく。

徒然なるままに人工肛門の歴史をNETで調べていた。
驚愕の事実を発見。

ストーマパウチの歴史の浅さである。

自分が現在使用しているような袋を人工肛門に被せるように貼り付けるストーマパウチが開発されて普及したのはこの30〜40年である。

「人工肛門になっても一向にかまわん!」と豪語しているが、ストレスなく日常生活を送ることが出来る、あるいは旅行に気兼ねなく行けるのは人工肛門からダダ漏れる排泄物をうけとめてくれるストーマパウチのお陰である。

ちゃんと装着すれば、まず脱落したり内容物が漏れることはない。

もちらんウンコの匂いが外に漏れることもない。

もう一つ大事なのは、ストーマ周辺の肌が荒れないことだ。
腸の内容物には消化液が含まれているため、皮膚に付くと皮膚が消化!されて「びらん」ができ、酷くなると潰瘍になってしまう。

人工肛門になって不慣れな頃は自分もストーマ周辺の皮膚が荒れて痛痒かったことがある。

パウチを皮膚に粘着する素材には皮膚保護剤が使われていて、これが内容物のモレ防止と皮膚の保護の両方の機能がある。
この保護剤が化学的に合成されて使用され始めたのは1980年代以降とのことである。

もっと昔は人工肛門からでる排泄物を受けるのにオムツを当てたりカップ状の器具を使っていた。
これだと臭気や排泄物のもれや皮膚の荒れは防げなかったそうである。

現在、自分は人工肛門になってQOLに何の問題もない。

40年前だったらそうはいかなかっただろう。
昔、会社の上司が家族が大腸がんから人工肛門になり介護と匂いが大変だとこぼしていた。

自分は防災対策として1〜2ヶ月程のパウチのストックを準備しているが、持ち出せなくて避難所生活になったら悲惨なことになる。

パウチ装着無しだと周りに悪臭をふりまいて迷惑かけるし、何より自分が嫌だ。
それにストーマ周辺の皮膚が下手すると潰瘍になってしまう。

ストーマ装具の進歩はメーカー、医療関係者、患者団体の努力の賜物である。

新参のオストメイトとして感謝の意を表したい。

蛇足

オストメイトでライターを職業にしている方、あるいは志望している方たちへ。
ストーマパウチの開発をノンフィクションで書いてくれないかなぁと思ってます。

いいネタだと思うんだけど、いかがでしょう?

吉村昭の「光る壁画」という内視鏡の開発をテーマにした作品がありますが、それに匹敵するかもよ。

プロジェクトXで取り上げてくれてもいいね。

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