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第88話 Sの字と膀姐さん(10)War Is Over

「あーあ ヒマだなぁ。何もやることねぇや。
横行結腸の兄貴が人工肛門造ってくれたお陰で雲子が来なくなって、炎症起こして膿んだところもすっかりよくなったぜ。

ほんとに有難え。横行結腸サマさまだよな。足向けて寝らんねえやね。
もっとも兄貴はいつだって頭の上なんだけどよ。

お、もうこんな時間か。ちょっくら膀姐さんと癒着しちまった辺りの様子をみてくっか」

***
「うーん。膿とか腫れはでぇぶ良くなってらあ。
お、これが雲子が出てった穴だな。あん時は俺っちも痛かったけど気持ち良かったよな。もう一回やらしてくれないか、頼んでみつか。

えへへ、ちょいと覗いてみるかな。もしかして姐さん着替え中だったりして。
どれどれ
わわっ なんだこりゃ 顔にかかっちまった」

「ごめん遊ばせ。お初にお目に掛かります。
おしとで御座います。
S字結腸さまでございますね。お会いしとうごさいましたわ。よろしう」

「おしと? げげ、そしたら小、小便かよ。
ありゃ?汚ねえもんひっかけられたのに、そんなに悪い気分じゃねー」

「おほほほほ。殿方は皆様そうなのですよ。何故、オシッコするのを見たがったり、掛けられて喜ぶのかしら。中にはお飲みになる方もいらっしゃる。

膀胱さーん、女将さ〜ん
お客様よ。ヘンタイ志願のお隣りのS字結腸さんです。
早くいらして」

***
「やい、Sの字ぃ どのツラ下げて来やがった。
この助平め。妾に色目を使う魂胆かい。
でもまあ、アンタらの身内が犠牲になって雲子野郎を止めてくれたからね。

横行結腸さんだっけ?

ほんと漢だねぇ。
正義の味方だよ。きっと1号ライダーの藤岡さまみたいな渋いお方なんだろうね。
それとも豹子頭林冲みたいな真っ直ぐなお方なのかねー。

え、なに?両方とも全然違う?
そんなええもんとちゃう?まぁいいや。

うん、もう大体戻ったよ体調はね。
そうペコペコしなくてもいいよ。

アンタだって病気だったんだろ?ズケズケ言って妾も悪かったよ。知らなかったとはいえね。
あたしゃあ、オンナの腐ったやつみてぇにいつまでもグシグジすんのは嫌いなのさ。

ほらほら、いい男が土下座なんかすんじゃないよ。え、なんだって?あん時に腸液をあたしに泄したから、責任とる?

一生面倒見させてくれだって?

そんなこと急に言われたって。ま、あん時はあたしもちぃっとオツな気分になったけどさ。

あんたのことは前から嫌いじゃあなかったし、二人とも内視鏡にやられちまった同士だからね。どおしよう。

嫌ですよ、おしとさん、なにニヤニヤしてるんですか。もう既にくっついてるんだから心もひとつになっちやえ、ですって?
キャー恥ずかしいわ。

わ、わかったわ。手をあげておくんなし。

こちらこそ宜しくお願いします。
いっぱい可愛がって。

え、なに?これから毎日あれをぶっ掛けてくれだって?
何言ってやがるんだ、この色ボケジジイ!
このど、どヘンタイがぁ!」

(ナレーション)
こうして2人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ 

んなわけねーだろ

次回予告 
 束の間の幸福に酔う恋人たち 
だが苛酷な運命の足音が容赦なく迫り来るのであった。

続く

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