シングルマザーが家を探す②
ウイルスの感染拡大に伴って身の周りが
ザワつき始めた
私以外は独身者ばかりの職場だからか
みんな危機感が薄く
ロックダウンの噂が流れようが
買い占めが起ころうがまるで見物客のようで
子供がいないということは
こうまで気楽にいられるのかと
この時ばかりはその心の余裕が羨ましかった
住む場所がなくなる。
どこに住む?
まず決めないといけないことは
買うか、借りるか、どこに住むか
上手くいかなければ実家か…
動き出す前に、何を最優先にするか
頭の中で思案が始まった。
息子は4月から5年生、あと2年で小学校を卒業だ。シングルマザーながら、親子共々ほとんどノンストレスにやってこられたのは今住んでいる環境の温かいサポート、近くにいる友人達との交流あってこそだった。
温かいクラスに恵まれた小学校、
駅前の商店街には息子をいつも見守ってくださっている八百屋さん、お花屋さん、ドーナツ屋さん、通った幼稚園。
仕事帰りに八百屋さんに寄ると
「今日はすごいスピードで向かってたよ。塾遅刻しなかったかな。笑」
なんて言われて恥をかいたり、
馴染みのお花屋さんは子供心のあるオーナーさんがいて、いつもラジコンやらおもちゃ、プロジェクターでアニメを流しているもんだから塾の行き帰りには寄り道してひとしきり話してから帰宅しているよう。(近所にいるおじさんの話のようだが小学生男子の話なんだよ)
そして、私の誕生日サプライズをするためにと息子が毎年わずかな予算握りしめて花束を買いに行く時にはとても立派な花束を組んでくださる。(私があとでこっそりお礼をしていることは息子は知らない。笑)
話出したら尽きないくらい、8年の間に出来上がった沢山の愛が溢れた環境なのだ。
転校させない。
今の息子の環境を守ろう。
その為ならちょっとくらい貧乏だって頑張ろう。
そう決めた。
さて、学区内で家を探す。
正直、東横線沿いで都心に近く地価も人気も高い土地で私の収入でやりくりできる家なんてあるのだろうか…
つい最近まで専業主婦だった私がいきなり自立…不動産…
当然、不安しか無かった。
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