記録06
同僚は日中、隣の建物にいて、もう一人が帰宅したあと、学生のいる教室に行き、課題のことや、日常あった他愛もない会話なんかをするといったような日々を過ごしていた。学生はその教員が帰ったことをラインで同僚に伝えていた。
当時、大学は問題はなかったけど、お互いが顔を合わせないように、環境調整という物理的な配慮をするようにといった結論を出した。一応、曜日ごとに担当を決めるなどしていたが、そんな曖昧な結論だから、一方の教員は問題がなかったというお墨付きをもらったように振る舞っていた。
そもそもそのお墨付きをもらった教員はあまり職場に来なければ、残って仕事をすることも少ない。良くも悪くもそんな自主性に委ねられた職場である。でもその教員はときおり予期しない行動をとった。
その度に、学生がドラマや映画の刑事みたいに、ラインで教員の居場所や向かう先を共有して、なんとかふたりを鉢合わせしないようにしていた。