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思ったことを何でも書いてみる

本との出会い、著者との出会いって不思議だ。
例えば、内田 樹先生の場合。
コマツは、内田先生とは公に認められた師弟関係にあるわけじゃないけれど、「ウチダタツル」なぞと呼び捨てにはできない尊敬の念を持っているのです。でも、内田先生の本を熱心に読むようになってまだ、10年にも満たない。コマツの場合は内田先生の編・共著『9条どうでしょう』が始まりだった。

Amazonの購入履歴をみると『9条どうでしょう』を購入したのが2013年4月23日で、医局の本棚最上段に1年半程 置きっぱなしにしていた記憶がある。
(誰かが護憲運動の記事でお勧めしていたので、参考までに買ったのだろうが、もう そこらの事情は忘却の彼方である)
ひょんな事から2015年10月に日本糖尿病医療学学会(当時はまだ研究会だった)に参加するために京都のゲストハウスに泊まった際、『上を向いてアルコール』という本を共用キッチン・ダイニングルームのゲスト用書棚に見つけて、あっと言う間に読んだのが、コマツの"内田体験"の始まりだった。
と言っても、この本自体は、つい先日惜しくも亡くなった小田嶋 隆さんという稀代の天才コラムニストが自分のアルコール依存症からの回復を書いたエッセイで、内田先生がこれに関わっている訳ではない。が、とにかく面白かった。特に、彼の自助グループの分析や、自分の回復プロセスの記述がユニークだった。京都から帰ってきてすぐ、小田嶋 隆さん のコラムを読むために日経IDを作ったくらい、小田嶋 隆という著者名が強く脳にインプットされたのであります。
さて、コマツには、半年に1回くらい、休日に医局の本棚棚卸をする習性がある。だいたい半年くらい経つと、新たに購入して病院に持ちこんだ本・雑誌が棚からはみ出してきて、身動きが取れない状態になってくるので、古い本・雑誌をどこかへ処分して、新しいものをしかるべき位置に入れ替える作業をするのです。(こういう「新陳代謝」を怠ると、ろくな事にならないのだ、経験上)
その時、最上段に置きっぱなしになっていた『9条どうでしょう』という やや おふざけなタイトルの文庫本が目に入った。なんとなく『上を向いてアルコール』と同じ雰囲気・匂いがした。そしてその著者の中に「小田嶋 隆」という著者名を見つけたので、ぱらぱらっと開いてみたら…棚卸作業そっちのけで半分くらい読み耽ってしまったのだ!!
慌てて自宅に持ち帰り、その日のうちに『9条どうでしょう』を全部読んでしまったのだが、意外なことに、この おふざけなタイトルで憲法9条を縦横斜めの奇想天外な視点から護っている本の仕掛け人は、内田 樹という人であり、彼の書いた稿が最もユニークで面白かったのですね。もちろん、小田嶋さんはじめ、他の3名の著者の稿も負けず劣らず面白かったけれど、内田先生の視野の広さ・視点のユニークさ・資料収集能力は抜群だとコマツは感じた。
彼の書くものは常に、『北に行くのか、南に行くのか、どっちかハッキリしろ!』と迫られるような課題に対して「ええっと、それは東南東でちょっと上り坂のあの道が良いと思ってますけど」と答える感じ。
それからずっと、何か鬱屈している時に内田先生の本を読むことが多い気がする。あ…鬱屈というより、「う~ん」と伸びをして、縮こまった筋肉とアタマをほぐして、へたれた気持ちを持ち上げたい時ですね。
最近読んだのは『戦後民主主義に僕から一票』『撤退論』『一神教と国家』。内田先生は、本当の意味での「憂国の士」ですね。誠実に天下国家を論ずる人だと思う。
あれほど多作で当たり外れが少ない著述家も珍しいと思うけれど、その秘密のひとつが、娘さんと父子家庭を営み「大学教師の仕事以外は家事育児を最優先にした生活」を12年間続けているとき、毎日とにかく何かをブログに書いていたことだった、という述懐を読んだのが2年程前だったろうか…。
それから、noteを始めようと思い、bookmark タブに登録し、解説を読み、本日ついに実行するまでの歳月は何だったのか…。
人間の中で機が熟するには、人それぞれ固有の時間が必要なんでしょう。

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