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はじめまして いま、ここ 美術館 です。
はじめに「いま、ここ 美術館」の目指すものについて、ご説明をさせて頂ければと思います。
自己肯定感をみがく美術館を目指して
美しいと思うあなたが美しい、という言葉があります。
美は、あなたが美しいと思わない限り、決してあなたの目に映らないからです。花を見て美しいと思うのは、見る人に、自然を愛し季節をいつくしむ思いがあるからで、赤ちゃんが顔をしわくちゃにして泣くのを見ていとしく感じられ美しいと思うのは、見る人に、幼い命をいつくしみ、命をうやまう思いがあるからに他なりません。
美は、その人の心を映す鏡に他ならないのです。
美術も同じことで、あなたが美しいと思う美術作品は、その時のあなたの心を映し出す鏡となって、あなた自身の美しさをあなたに見せてくれているのです。あなたがその作品に感動するのは、その美が、あなた自身の美しさをあなたに教えてくれるシグナルとなっているからであり、あなたが自分で自分を肯定するに足る尊い存在であることを、あなたに伝えてくれる祝福のメッセージとなっているからなのです。
私たちが、美に感動し、時に涙を流すのはそのためです。
美は、私たちが私たち自身の中にある美しいなにものかに気づいた時に、感動というかたちで私たちを励まし、私たちが私たち自身であることを肯定する力となってくれているのです。
「いま、ここ 美術館」は、そうした美と出会い、美術史上に輝く名作の簡単鑑賞レシピや雑学教養ナビといったわかりやすい記事を通して、自分を知り、自身の美しさに気づき、自分自身が輝くために、いつでもどこでも見られるようなNOTE美術館を目指しています。キュレーターは、わたくし西岡文彦、館長そして最も大切なお客様はあなた自身です。
いつでも、どこでも 「いま、ここ 美術館」
「空想美術館」という言葉があります。20世紀フランスの文学者で文化大臣もつとめたアンドレ・マルローが考えた言葉で、印刷や写真の発達した現代では世界中の美術作品からセレクトした美術館を「空想」できるようになったことを意味していました。
いまや、私たちを取り巻く21世紀の現実は、このマルローの「空想」をはるかに上回る手軽さで美術鑑賞を可能としています。スマホされあれば、いつでもどこでも、ルーヴル美術館をはじめ世界の有名美術館にアーカイヴされた名画を見ることができるからです。時間がある時は、好きなだけじっくりと見ることができ、時間がない時は、急いで見ることもできるのです。
「いま、ここ 美術館」は、そんな現代にふさわしく、いつでもどこでも「いま、ここ」で美術の感動に出会えるような美術館を目指しています。
私の師匠の師匠である柳宗悦は、鑑賞こそが創造であると説いています。柳宗悦が、暮らしの中に美を見出す民芸運動を提案したのも、日々の生活をいつくしみ美を見出すことこそが創造であると考えていたからです。
じつは民芸の父として知られる彼は、日本における西洋美術鑑賞のパイオニアでもあり、明治日本に初めて届いたロダンの彫刻を横浜税関で受取ったのは、若き柳宗悦でした。世界に先駆けて日本の若者の間に熱烈なゴッホ・ブームを引き起こしたのも、彼が武者小路実篤らと共に編集していた「白樺」という同人雑誌でした。
その日本の美術鑑賞のパイオニアでもある柳が、美とはなにかと聞かれて答えたのが、美しさとは見る人の心の反映であるという言葉でした。美しいと思うあなたの心が美しい、と柳は答えたのです。「いま、ここ 美術館」は、そんなあなたの美しさの鏡として、美術史上に輝く名作の数々を、いつでもどこでも見られるNOTE美術館を目指しています。
西岡文彦 略歴
1952年生れ 多摩美術大学名誉教授。「面白くてためになる」をモットーに、美術書や美術全集、テレビの美術番組の企画制作を多く手がける。
名画の謎解きブームを起こした『絵画の読み方』(宝島社)や『名画の暗号』(角川書店)、『ピカソは本当に偉いのか?』(新潮社)、『二時間のモナ・リザ』(河出書房新社)、『恋愛美術館』(朝日出版社)、『マルチメディア美術館』(NTT出版)、『印象派の発明』(勁草書房)、『柳宗悦の視線革命』(東京大学出版会)等、著書多数。「名画への旅」、「アート・ジャパネスク」(講談社)等の美術全集を企画編集。
民芸運動の父、柳宗悦の孫弟子にあたる版画家でもあり、日本版画協会、国展で受賞、国際版画ビエンナーレ等にも招待出品。松岡正剛編集の雑誌「遊」(工作舎)の表紙絵を担当したことから、山本寛斎パリ・コレクションやYMOワールド・ツアーのパンフ等に作品が採用され、出版・広告に活動の場を拡げ、「ジャパネスク」という言葉を創案、日産、IBM、ニッカ・ウィスキー、ネッスル、富士フィルム等の広告をを手がける。「日曜美術館」、「迷宮美術館」(NHK)「たけしの誰でもピカソ」、「芸術に恋して」(テレビ東京)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ)、「トリビアの泉」、「笑っていいとも!」(フジテレビ)、「タモリ倶楽部」(テレビ朝日)等、監修・出演。NHKスペシャル「驚異の小宇宙 人体」アート・ディレクター。
今日のSDGsや京都議定書への道を開いた1992年国連地球環境サミットの出版広報を担当。2005年愛知万博企画委員。