パスワードレス認証のすすめ
そもそも認証とは何?
皆さんはクラウドサービスを利用する際、IDとパスワードを入力してログインすることが一般的だと思います。では、なぜIDとパスワードが必要なのでしょうか?
個人情報を守るため?
ログイン後に個人向けの画面を表示するため?
ここで知っておきたい重要なポイントが 「認証」と「認可」の違い です。それぞれの意味を整理してみましょう。
認証とは?
認証とは「利用者が本人であるということを確認すること」です。
つまり、ログインしようとしている人が本当に本人かどうかをチェックする仕組みです。専門用語では「真正性の確認」とも呼ばれます。
認可とは?
認可 とは、「利用者に許可された権限に基づいてリソースへのアクセス権を付与すること」です。
例えば、Google Driveを使って説明します。
Google Driveにログインする際、システムはログインしようとしている人が本人かどうかを確認します。これが 認証 です。
認証が成功すると、Google Driveの画面が表示され、保存している写真やファイルにアクセスできます。
しかし、そのファイルにはアクセス権が設定されており、本人または共有された相手しか閲覧できません。これが 認可 です。
今回はこの 認証 に焦点を当ててお話ししていきます。
ID/パスワード認証の問題点
先ほど 認証とは、利用者が本人であることを確認すること と説明しました。しかし、従来の ID/パスワード認証 には問題点があります。
本人確認の確実性が低い
IDとパスワードを持っていれば、誰でもその人になりすますことが可能。
複数人でアカウントを共有することもできる。
パスワード漏洩のリスク
フィッシング詐欺やパスワード流出によって、第三者に不正利用される危険がある。
このような問題から、IDとパスワードによる認証方式が十分に安全とは言えないことが、最近になってようやく広く認識されるようになりました。
パスワードレス認証とは?
そこで、最近注目されているのが パスワードレス認証 です。
パスワードレス認証の仕組み
パスワードレス認証では、IDとパスワードの代わりに 以下の方法を使って認証 します。
生体認証(指紋認証、顔認証)
ハードウェアトークン(物理デバイス)
認証アプリ(Google Authenticatorなど)
最近では パスキー(Passkey) という新しい認証方式が登場し、GoogleやMicrosoftなどが積極的に導入しています
パスキーとは?
パスキー とは、パスワードを使わずに スマートフォンや生体認証デバイスを利用して認証する仕組み です。
パスキーのメリット
安全性の向上
固定パスワードを使わないため、フィッシング詐欺などによるパスワード漏洩のリスクがない。
利便性の向上
利用者は多数のパスワードを覚える必要がなく、簡単にログインできる。
パスキーの仕組み
パスキーは、公開鍵暗号技術 を利用しています。
サービス利用開始時に、公開鍵と秘密鍵のペアを作成
公開鍵 → クラウドサービス側に保存
秘密鍵 → 利用者のスマホやPCに保存
ログイン時に秘密鍵と公開鍵を照合して本人確認
この仕組みにより、パスワードを入力することなく、安全にログインが可能になります。
企業でパスワードレス認証の導入
これまで個人向けの話をしてきましたが、企業でもパスワードレス認証を導入できるのでしょうか?
Microsoft 365を活用したパスワードレス認証
Microsoft 365 Business Premium / E3 / E5 を利用している企業 は、以下の技術を組み合わせてパスワードレス認証を実現できます。
Windows Hello for Business(生体認証によるログイン)
Entra ID(旧Azure AD)によるシングルサインオン(SSO)
企業導入のメリット
社員が単純なパスワードを設定するリスクを軽減
パスワードの管理負担を削減
セキュリティ強化
パスワードレス認証の導入は 企業にとってもメリットが大きい ため、積極的に検討する価値があります。
まとめ
パスワードレス認証は、Apple、Google、Microsoftをはじめ、多くのクラウドサービスで利用が広がっています。
従来のID/パスワード認証のリスクを考慮すると、パスワードレス認証を導入できるサービスでは積極的に活用することをおすすめします。
今後、さらに普及が進む パスワードレス認証。皆さんもぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか?