子どものころ、直感で受け取った大切なこと。
エドワード・アーディーゾーニ作品が大好きで、「チムとゆうかんなせんちょうさん」の邦訳シリーズは何度も読み返しています。
…が、わたしはこの「時計つくりのジョニー」だけは、次世代に手渡さなければいけない絵本だと思っています。
その理由はまず、これまでの「ものづくり」の歴史を持つ人としての本質を思い出させてくれ、子どもに真摯に伝えてくれていること。
また、目的を達成するためには困難がつきまとうことや、失敗しても行動するほうがいいってことを伝えてくれているから。
これらの事柄を、わずかなページ数で著している絵本は、そうないですよ。
堅苦しいと思うかもしれないけど、子供が育っていくためには、とても大切なことだもの。
これから先、数百年の歳月が経とうとも、そこのところは不変だと思います。
「時計つくりのジョニー」
エドワード・アーディーゾーニ/作 あまんきみこ/訳 こぐま社
主人公のジョニー少年は、大時計を自分の手で作ろうと思い立ちます。
もともと、ものづくりが大好きな男の子なんだけど、両親は彼のことをまったく理解していない。
作る過程で避けられない音や振動にもいちいち反応して、ジョニーの時計作りをやめさせようとするのです。
学校の先生や友人も例外ではありません。
小さな子どもに大時計作りなど出来るわけがないと言って、ハナからバカにしています。
叱られたり、からかわれたりしながらも、ひっそりとジョニーは大時計づくりを続けてゆく。
ジョニーのたったひとりの味方であり、理解者である友人の少女。
部品を揃える手助けをしてくれる鍛冶屋の男性を心の支えに、辛抱強くジョニーは大時計を完成へと近づけてゆきます。
信念って、なんて美しいんだろ…って、心から思える絵本です。
これを読んだら誰だって「ジョニー、きみは正しい!」って彼の肩をポンとたたいてあげたくなっちゃうハズ。
ジョニーが将来どんな大人になったか…ってことまで、丁寧に描いてくれたアーディーゾーニに感謝しながら…わたしは、この絵本を伝えつづけていく大人でありたい!と思ってます。
大切なことは、案外、地味で目立ちません。
「いまさら」とか「わかりきってる」なんて言わないで、懸命に成長しようとしている子どもたちと、初心にかえって共にに考えてみなくっちゃなー、と感じます。
地球は「次世代からの借りもの」っていいますよね。
絵本も子どもから借りて読んでいるって私は思っています。
子どもの頃、直感で感じていた大切なことを、もう一度はっきり思い出すために、わたしは絵本を読みます。
絵本を子どもに「与える」とか、絵本で「何かを学ばせる」なんて大人の目線を持たずに、子どもと一緒に絵本を読んでいると、実にさまざまなことに気づけますよ。
今日ご紹介したジョニーの物語も、ぜひ。
わたしなんか、もう、目からウロコがポロポロです(笑)