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6年目からのアリスギアガレキディーラー

概要

私ロボとみいがガレージキットディーラーを始めて1年ほどとなりました。
4回イベントへ出展して体験したことの雑多なまとめです。
アリス・ギア・アイギスのガレージキットディーラーに興味がある方の参考になればいいなと思い書きました。
苦労もありますが、めちゃくちゃ楽しいのでチャレンジしてね!

ディーラーやってみた感想として
よかったこと
・趣味としてのディーラー参加は初めてづくしでもなんとかなった
・オンリーイベントから参加したのでハードルが低くてディーラーの知り合いも増え、ワンフェス出る前にイベント慣れできた
・リアルイベント参加の楽しさ、人に作ってもらえる嬉しさがある
・アリスギアマガジンに載せていただいた
・(追記)販売するため製作予算を大きく取れて、高価な3Dソフト使用やレジンキットやデカール印刷などリッチなことをして好きなものが作れる!(皮算用)

大変だったこと
・「作品」と「製品」の違い、生産は大変
・スケジュール管理
・おこづかい稼ぎにはならなかった

イベント楽しいよ!

記事タイトルはひすでー様の薄い本タイトルのパクリです。おもしろいのでぜひ読んで。
https://www.melonbooks.co.jp/circle/index.php?circle_id=33958


自己紹介

ガレージキットディーラー「ロボとみいオペレーション」主催(合計1名)のロボとみいです。
模型活動の遍歴は下記の通り。
・モデラー歴4年半:
塗装してのキット完成品20作程度。ジャンル問わずに色々作ってみて、その中でガレキの女の子は3作品。パチ組みはいっぱいします。
塗装した作品もストレート組みばかりなのでプラモ改造の経験は浅くてパテとかプラ板がメインの大改造とかしたことないです。

頑張ったやつ

・ディーラー・造形歴1年:
イベント出展4回(みんなでトライ!(※アリスギア同人イベント)3回、ワンダーフェスティバル1回)
メカ武器2点、フィギュア1体、エフェクトパーツ1点の4作品を出しました。
ディーラー始める前後から3Dプリンタやスカルプトソフトに触れました。

出した商品(左はエフェクトパーツのみ)

・アリス・ギア・アイギス隊長歴 6年:日向リンちゃん激推し

元気っ子!

他にものつくり活動としては、大学の工学部でロボットコンテストに出場したり、現職では産業機械の機械設計を行っています。CADソフト経験は大学時代から10年以上ありますが、ディーラー活動でのFusion360の使用や意匠的なモデリングは去年から始めたのでほぼ素人です。

モデラーとしては作品少ないですし、造形に関してはド素人もいいところです。
それでもアリスギアのディーラー活動やれてるので、みなさんももっと気軽にアリスギアディーラー参加してほしいです。
そしてリンちゃんのガレキもっと増やして!

アリス・ギア・アイギス立体界隈の特殊性

現在弊ディーラーはアリス・ギア・アイギス作品しか扱ったことがありません。アリスギア(含むメガミデバイス)の立体造形物界隈では下記の特徴があり、他のジャンルでは適用し辛い項目もあるかなと思ってます。

①ゲーム公式の二次創作活動への支援が厚い

・ガレキイベント以外にも、同人イベント(みんなでトライ、スクランブル宙域)でガレキやグッズが出せる
・版権料なし、サンプル提出が写真のみ
・ワンフェスに出ると「アリスギアマガジン」に掲載される←超重要
最近は年中イベントやっててピラミッド様の確認作業が大変じゃないかと思うのですが、毎回許諾頂きありがとうございます。

②アリスギア立体商品の豊富さ・ガレキ文化

・ゲームのサービス開始からもう7年目となっていますが、これまで出てきた公式のフィギュア・プラモが圧倒的に多い。特に1/12中心なのが珍しい。
・美少女プラモの流行に乗って、未商品化キャラクターや衣装の自作がユーザー内で盛ん。
・上記に伴ってガレージキットの需要も多く、オプションパーツや未商品化キャラのヘッドパーツ、果てはフルキットまでディーラーさんがめちゃ多い。(ワンフェス2024冬の当日版権許諾数が6位)もちろん大きなえっちなフィギュアも大好きです!

1/12用の作中小物などディーラーとしてキット作製のハードルが比較的低いものも需要があり、買って遊んで頂けるユーザーさんも多く感じます。みんトラは参加費も安いしアリスギアファンが集まるので初参加の場としてよかったと思います。

③資料の入手しやすさ・作れるものの豊富さ

・作中のモデルを360°眺められるモードが、更衣室/ギア装備/戦闘中スクショモードと3つもあります。もうこれだけで作りやすさ全然違うんですよ!
ただ参考になるだけでなく、立ち絵だけソシャゲとか某FSSみたいに背面を造形者のオリジナルで作り出す必要が無いのがどんなにありがたいことか。

360°眺められるありがたみ…
背面が見れる!

・アリスギアは「普通の女の子(成人含む)」がメカを装備して戦う世界です。そのためSFチックなスーツだけでなく普段着などの衣装や変な小物が多く、メカもイベントギアなど欲しいデザインのモノが多いです。
女の子、メカ、衣装、小物とマスプロで製品化されないけど造形のネタになるものがいっぱいあって、ディーラーとしてのネタに事欠かないと思っています。

探検帽子がほしいので誰か出して

総じて、市場が活発で小物を作って参加することもでき、イベントも多くてディーラー参加がしやすいです。

はじめての3Dプリンタ・ディーラー参加(みんトラ14)

この章、日記感覚なので読み飛ばして頂いても構いません。
思いつきと勢いだけでディーラー始められるよ!って体験談。

私は前々からアリスギアのガレージキットを買っていて、いつかディーラーもやってみたいなぁとぼんやり思っていました。

造形始めたきっかけは、Amazonでセールしてた3Dプリンタ(Saturn2)の衝動買いでした。

当時製作していた筆里様のリンちゃんウェポンギアが割り切った造形になっていたので自分で作っちゃおう!と思い立ったのが、CAD(Fusion360)と3Dプリンタとの戦いの始まりです。


…1ヶ月立たずにウェポンギアできちゃって、思ったより出来が良かったんです。俺って天才ですね。

はじめてのFusion360

これカッコいいし売ってみたくない…?

思いつきだけで、4/1の深夜に1時間でディーラーカット作ってみんトラへ申し込みしました。
思惑としては下記
・自分なりには満足できる出来だった
・設計が終わってるからあとは取説、梱包を作ればいい
・公式キットが出てないリンちゃん(いくつかのディーラーさんが過去に出してはいる)用のウェポンギアは需要無いから5個くらい作って2~3個売れればいい
・記念に1回出て終わろう

しかし予期せぬ出来事が…

やったー!かわいいー!!
まさかのhyena様、がけっぷち企画様からリンちゃんキット発売予告。(初報を見逃していた)
リンちゃん祭り開催!

めちゃくちゃ嬉しかったのですが、こうなるとウェポンギアの需要がまったく読めなくなり、とりあえずいっぱい作らなきゃとなるわけです。

…まったく量産を考えていない設計(バズーカ36パーツ、ハンマー&マサカリ23パーツ)で、使う時間もレジン量も多くて生産超しんどい。
これは後々のワンフェスまで改良しつつ泣き続けることとなりました。

そして頑張って用意したみんトラ14当日。
お隣が以前から交流があった猫月堂様で本当によかった…知り合いが居て安心感がありましたね。(開始10分もせずに完売するタマちゃんを横目に見つつ、最初ぼけっと突っ立っているのはちょっと辛かった)

筆里様のギアと猫月様のヘッドを使用してのちょっと詐欺みたいな展示でしたが…
ちゃんと売れちゃったんですよウェポンギア。いっぱい準備して8割くらい売れて、ちゃんと元が取れた上においしい焼肉行けるくらいでした。
リンちゃん祭り様々ですね。

みんトラ、開催1ヶ月前に飛び込み参加できる気楽さで、周りもアリスギアディーラー/サークルさんばかりなので知り合いも増えてとても楽しかったです。ディーラー/サークルってやっぱり目立つので作品見て頂けたり名前憶えていただけます。

そして1回限りの参加のはずが、調子にのってディーラー活動続けることにしました。
生産の辛さと売れるかどうかの不安に悩まされたのに、イベント参加当日の楽しさは麻薬ですね。

はじめてのフィギュア製作(みんトラ15〜ワンフェス2024冬)

ディーラーやるにあたって一度は出たくなるのはワンダーフェスティバル(以下ワンフェス)! 立体物のコミケに当たるやつですね。
みんトラ14終了時点(2023年5月)でワンフェス2023夏の申し込みは終わっていたため、狙いは2024年冬の10ヶ月後となります。余裕ですね。…そう思っていました…

初ワンフェスにあたっての当初目標

アリスギアマガジンに載せて頂きたい(元気に参加できればよい)
・ウェポンギアだけでなくリンちゃん、ドレスギアも自分がほしい!
・フィギュア作るならレジンキャスト、自分でレジン流してみたい
・費用は割り切って完売してトントン狙い(←これはよくなかった)

前述の通り、みんトラ14での販売が上手く行ったのは他ディーラー様のおかげでした。
ワンフェスでは自力で売る必要があるし、マガジンに載せて頂くならリンちゃんも居たら素敵じゃない?

リンちゃんの専用ギアは以前に筆里様が出しているし、ヘッドパーツはとても良いものが複数出ています。


そこでテーマにしたのが「対超大型ヴァイス決戦用ギア」と「1/12リンちゃんスタチュー」

ギアは右下画像。
バズーカが流用できるとはいえ、今思えば無謀にもほどがありました。
同人誌のイラストだったため版権申請不許諾で出展できませんでしたが、結果として良かったのか悪かったのか…

みんトラ14でのお隣がタカク&タケシ様(エポキシパフェ様)で、1/12安里ちゃんスタチューがとてもいいなぁと思ったんです。1/12なので既存の製品とも並べられるし、可動モノに比べて衣装のアレンジが少ない・お尻身体が自然なラインで好きなんですよね。首が動いてちょっと表情付けられるのも👍️

決戦用ギアがダメでもウェポンギア持たせられるリンちゃんがいれば様になるかなぁと思って申請していたのですが、結果的にうまくいってよかったと思います。

1/12スタチューを作る際に良かった点

・ZBrushの教科書がほぼそのまま使えて可動のノウハウが要らない
・パーツ数を抑えられるので複製しやすい
・表情1種類、最悪デカール無しでも許される。現在はヘッドパーツ販売だと複数表情当たり前でUV印刷も増えてきてるので辛い。結果的には製作スペースでデカール作成した。
・体積が小さい。1/7と1/12だと単純計算で体積が5倍違う。これは試作の3Dプリンタ出力のサイクルや費用、量産時の複製に大きく響き、製品原価に直接影響する
・(狙ってなかったもの)ワンフェスのメディア取材の際、1/12可動モノってスルーされやすい。うちのリンちゃんはなんと電ホビさんに取り挙げて頂けた!本当にびっくりした。

悪かった点?
・アリスギアファンでもスタチューに興味無い方にはスルーされる。これは好みなのでしょうがない。

初めてのフィギュア原型

パテもろくにこねたこと無いのですが、どうせ右も左もわからないならと最初からZBrushのデジタル原型でフィギュア製作を行うことにしました。
Ctrl+Z、途中経過を残せる、サイズを後から変えられる、左右対称に作れるだけでもデジタルの恩恵はすごいですね。ソフトの操作覚えるだけで大変ですが。
末尾の参考資料に私が読んだ教科書を記しますが、ほぼ本の流れにそってリンちゃん作りました。

ZBrushの操作をおぼえながら「今日のリンちゃん」という形で進捗をXに上げていったのは、結構上手く行ったと思います。
https://min.togetter.com/7knwUZW

秋のみんトラ15で3Dプリンタ出力品を原型展示、冬のワンフェスで販売のスケジュールでちょうど良かったです。終盤複製で死にかけたけど。
みんなもフィギュア作ろう!はじめてでもなんとかなったぞ!(俺もまだ1体だけだけど)

さいしょのすがた
なんとかなった

複製

ぶっちゃけ辛いです。でも自分でやってみたかった。
作品作るのには要らないのだけど商品にするにはやらなきゃいけない。必要なモチベが違うんですよね…

粘土埋め・シリコン型の作り方がわからない、出来た後も無心にレジン流すのがつらい…冬で部屋寒くて硬化するのに時間かかってたのも良くなかったですね。
複製についての色々なノウハウを個人で情報収集・トライアンドエラー繰り返すのはかなり大変だと思います。私は他のディーラーさんに教えを請うことができて本当に運が良かったです。

また、思い切って最初から真空注型環境を整えたので初心者でもある程度きれいな複製ができたかなと思います。

レジンキャストになると感慨深い

ワンフェス手続き~本番

ネットに色々と情報があるため割愛します(1回しか出てないし)が、
めちゃ楽しかった、日本中からお客さん・ディーラーが集まるだけあってお祭り感がすごい。
おかげさまで完売も!初参加にしては大成功だったと思います。

展示は手伝って頂いたナカプラ様の功績です

その後、念願だったアリスギアマガジンにも掲載頂きました!


収支

完売は嬉しいものの、結果は大赤字でした。
真空注型環境の初期投資にかかった10万を引いても、GTMのガレキ買えるくらいは赤字でした。

当初、決戦用ギア込みトントンで計算していたため、リンちゃん本体の見積もりが甘かったです。他の方の1/12キット価格から私が初心者なのでちょっと価値を引いて7000円としていたのですが、レジン代・シリコン代の見積もりが甘々であまりにも安すぎました。
ハンマー、バズーカは諸々の費用の回収が終わっていたのですが、申請個数を見誤ってリンちゃんより少なくしてしまったために早々に売り切れたのも誤算でした。

主要な費用
・ワンフェス参加費:3万
・ZBrush:年間5万
・真空注型用品:10万
・シリコン・キャスト・複製用品等々:5万(初期投資が大きい)
・アイデカール作製:3.5万(半分はIllustrator代)
・パッケージ印刷代:1万

真空注型環境抜きにしても採算度外視で好きにやりすぎてるので、真似しちゃだめなやつです。

スキル発動リング(みんトラ18)

力つきたので今度書きます。
自分が欲しくてお手軽なものを作ってみたら、思った以上に反響があって生産がお手軽じゃなくなったお話。

参考:パッケージイラスト

うちのキットのパッケージは趣味でイラスト描いてもらってます。
以前からXで会話があった方々だから頼めてるので運が良かった…
Skebだと内容についてやりとりが出来ないので、別のサービス使うか直接凸るしかないと思います。

キットの中身がイラストに追いついてないんじゃないかという不安が発生するので、パッケ描いていただくのもちょっとこわいぞ!

参考資料

現在の活動にあたって、下記記事・書籍は大変参考になりました。
ありがとうございます。

ディーラー活動

OM-11様:心持ちが大事

柚P様:ワンダーフェスティバル参加の流れがわかります。ありがたい…

Fusion360

個人利用だと基本無料で使えるCADです。カクカクしたメカ作るならこれ。
3DCADとして欲しいものが一通り揃っていて、資料もネット上に豊富なのでコレを使っておけばまず大丈夫かなと思います。
ディーラー・Maker用途としては年間売上1000ドル(15万円くらい)までなら利用可能なのですが、単価高めなガレキ出してイベント参加が多いと超えちゃってそこそこお高い年間サブスク入らなきゃいけなくなります。
そのため私は別のCADへ乗り換え検討中です。

ZBrush

フィギュア作るならこれ!って3D粘土こねこねするソフトです。
日本語の教科書が豊富なのがありがたい。
CoreとかCore miniって廉価版もありますが、カスタムブラシ使えないので通常版一択です。
ちょっとお高いけど私は年中使っているわけではないので最初は月間サブスクでした。
最近はBlenderでもスカルプト機能がありますが、資料が英語の動画ばかりで探すの大変なんですよね…
ペンタブ使いながらキーボードショートカット使いまくるので、左手デバイス買ったら楽になった(気がします)。

先日現代版の補足動画がでましたね

ちょっとお高いけどおもしろい本でした

左手デバイスはCADとかフォトショでも使えて便利です

製作スペース

明神下くるーむFACTORY様
 レーザーカッターやUVプリンタが使用できます。
 リンちゃんのアイデカールはここで印刷させて頂きました。
 スタッフさんも丁寧に教えて頂けるので本当に助かりました。


以上。
長くなりましたが何か参考になれば幸いです。


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