
映像オタクが唸った呪術廻戦2期ED
初めまして、
スレッズからお越しの皆様、instagramからお越しの皆様。
Namと言います。少しだけ自分の話をするのでお付き合いください。
そのあと本題に入ります。
私は普段、映像ディレクターとして企画演出の仕事をしていまして
アニメ制作業界とは似たよりよったり、付かず離れずの仕事をしています。
昔からドラマやアニメのOP/ED、MVをこよなく愛していました。
思えば小さい頃に見たるろうに剣心のED「It's gonna rain!」に心を動かされ
この時から映像オタクの道を歩み始めていたのかもしれません。
そんな私…が!
2024年出会ったMAPPA制作の「呪術廻戦2期 渋谷事変 」
そもそもMAPPAとの出会いは「この世界の片隅に」の演出表現の上手さに
度肝を抜き、「ユーリ !!! on ICE」のドラマの完成度に平伏した経験があります。そのMAPPAがビビるくらいの総力を上げて作った呪術廻戦2期。
グラフィックは言うまでもなく音への拘り、1話ごとの構成。
毎週息を呑むような、アトラクションに乗った感覚で楽しんでいました。
本編でさえ言葉で表現しきれないほどスゴいのに
さらに視聴者の感情を揺さぶるものがありました。
そう羊文学 more than words のエンディングです。
このEDが物語を見終わった後のアンニュイ感、喪失感、この先の未来感
全てを表現し、まさにエンディングってこういうものだよね!と思わされました。
鳥肌が立ち、涙を流し、感動し、アニメを見る目が、人生が変わりました。
なので1つ目として大好きなこのEDを紹介していきたいと思います。
このEDの魅力はズバリ「背景」だと思っています。
-TOHO animation チャンネル から引用
TVアニメ『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」ノンクレジットEDムービー/EDテーマ:羊文学「more than words」
ココがすごいよ!more than words ED
圧倒的な背景力 時間軸の作り込み
呪術廻戦といえば背景のリアルさ。だと私は思っています。
実際呪術廻戦展でも背景についてしっかり解説されているゾーンが
あったりするのですが、この背景の作り込みがとにかくすごい。
このEDの背景が好きすぎて8月撮影ロケ(趣味)に行ったんですね。
これが8月の実際のロケ地の写真です。


TVアニメ『呪術廻戦』第2期「渋谷事変」ノンクレジットEDムービー/
EDテーマ:羊文学「more than words」
まんまロケ地。
そうなんです。呪術廻戦はとにかくロケーションの精密さがすごい。
そしてよくよく見てください。
トンネルを抜けた先の昼間の光の入り具合が若干、
エンディングの方が薄いのにお気づきになられましたでしょうか?
ここがすごいのですが、
呪術廻戦のアニメって季節の光を表現しているんですね。
8月に撮影した夏の日差しの光の強さより柔らかく、
秋の、おそらく時間は14時〜15時ぐらいでしょうか。
映像制作をしている方ならわかると思いますが
必ず実写の映像や写真の現場には「自然光」と向き合う時間があります。
冬に向けて日が落ちるのが早くなるし
日本では映像で捉える光の量が季節によって変わります。
この後のエンディングのシーンではどんどん日が暮れていくので、
このカットはまさに秋ごろの夕暮れ前といっていいと思います。
ここまで言えばお分かりですね?
そうです、渋谷事変の時期に合わせたロケ背景なんです。
おそらくこのエンディングを制作する時期、ロケハンしているときは
秋ではなかったと思うのですが
秋想定で背景の光を作り込んでいると考えられます。
いやいや、わかりづらい本当に秋設定なの??とお思いの方が
いらっしゃると思うのでもう1枚いきます。

これがEDで流れている空に鳥が飛んでいるシーン、夕暮れ時に飛んでいる光の描写が素敵ですよね。このシーンのロケ地は
最後に虎杖くんが手を叩いた景色で見える道路なのかな?この雲の散らばっている感じよーく覚えていてください。

お分かりでしょうか?10月に私が家の近くで撮影した空まんまやん。
夏は空が近く、
入道雲が多く雲が分厚いことが多いですが、秋になると雲が広がる空を
よく見かけることになるんですよね。
風景をここまで合わせて演出した人天才すぎない…。
この細やかさが作品のクオリティを高めていると言っても
過言ではないと思います。
ココがすごいよ!more than words ED
「写ルンです」ノイズと質感再現
少し淡い色が特徴のこのエンディング。
伏黒くんや釘崎がカメラを持っていることから分かるように。
この色合いの薄さ、「写ルンです」で現像した色合い…。
写るんです、特有のこの薄ーい白がかかった雰囲気を1枚ずつの絵に出しています。
再現度高っ!!写ルンですでロケハン時に写真撮ったのかな?

ロケ地は実際にもこんな感じです。


この暗闇のシーンも
インスタントカメラ特有の質感を出しています。
極端にフェンスの後側が暗いことや虎杖くんの前の方だけ光が落ちているところで自然光ではなくフラッシュの光であることがわかります。
というか写真じゃないの?本当に?って疑ってしまいます。
このようにリアルな背景がアニメーションという想像性と掛け合わされ
まるでキャラクターが実際に渋谷に遊びにきたような
記憶のない思い出(東堂現象)を視聴者に持たせていきます。
最後に、エンディングのストーリー構成について
勝手に解釈しちゃいました。
原作をお読みの方は分かるかと思いますが、
この「記憶のない思い出」は呪術廻戦の漫画を通して
最後まで楽しめるキーワードとなっています。
本編だけじゃなくこのエンディングはその記憶にない思い出を再現していると言えると私は思っています。
呪術廻戦はダークファンタジーです。本編は毎回心えぐられる展開が繰り広げられ、エンディングでも、渋谷事変のストーリーと重なり
虎杖は最初のシーンで暗闇を進ように夜の109前の道路を歩きます。
記憶のない思い出のような日常は眩しいような思い出の一つとして
写ルンですの写真のように美しく刻み込まれます。
途中で虎杖が頭を抱え落ち込むシーンが挟まります。
絶望に挫けてしまう時も、思い出は色褪せず記憶として残り、
また昼の渋谷109の前を顔を上げ歩いていく構成かな〜と…
…このエンディング本編へのイメージバッチリすぎない???